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LIVING仕事

2021.09.05

夫がいくら育児に積極的でも、男女平等には遠いワケ【産んだらどうなる?】

「仕事を続けながら、結婚して、いずれは子育てしたい」――多くの読者の皆さんからそんな声を聞きます。でも、いざ妊娠して子供が産まれたら自分の暮らしはどう変わるのか、なかなかイメージしづらいもの。そこでこの記事では、働きながら出産・子育てしている先輩女性を取材。「幸せ」だけど、それだけでは割り切れない、リアルな声をお届けします。

夫婦と赤ちゃん――夫がいくら育児に積極的でも、男女平等には遠いワ

(c)Mary Long/Shutterstock.com

“自分は恵まれた環境”なのに違和感を感じるのはなぜ?

「会社の福利厚生は整っているし、私が仕事を休みがちでも上司や同僚は温かく見守ってくれています。夫も育児に積極的です」

穏やかな表情でそう語るAさんの姿に、拍子抜けした。これが本当に、妊娠・出産にまつわる読者アンケートに「父親は今まで通り働けるのに、母親が仕事をセーブして家事・育児を担うのは不公平」とキッパリと記した人の言葉なのだろうか。

Aさんは、新卒入社した医療系IT企業でエンジニアとして働く28歳女性。学生時代から付き合っていた夫と数年前に結婚し、2020年春に第一子を出産した。産休・育休を経て、この春に職場復帰。現在は子育てをしながら16時までの時短勤務で働いている。

「もともとブラックな職場というわけではまったくないのですが、職業柄、キリがいいところまで残業して仕事を仕上げるのが常だったので、今はちょっぴり不完全燃焼ですね。周りは理解してくれているのに、むしろ自分自身が『もう終わり!?』と残念に思っているところがあります」

仕事を終えると、子供のお迎えに。帰宅後は夕飯の支度をし、子供に食べさせつつ自分もそそくさと食事を摂る――と書いてしまえば簡単だが、実際のところ、ちょっとしたことで泣きわめいたりする1歳児を連れて公共の場を移動し、足元に絡まれながら台所に立ち、出来上がったものを一瞬でぐちゃぐちゃに散らかされながら食べさせるのは、非常に骨が折れる仕事だ――。そうこうしているうちに帰宅した夫が、子供をお風呂に入れる。就寝準備と寝かしつけは、再びAさんが担当する。

「夫も19時頃には帰宅するなど頑張ってくれているから、これ以上は言えないな、というのが正直なところです。でもよく考えてみたら、私は時短勤務だけど夫はフルタイムだし、必要があれば残業して帰ってこられる。うらやましいなと思ってしまいます」

Aさんが不公平感を感じるのは、普段の役割分担だけではない。子供が体調を崩して保育園から連絡がきたとき、そして保育園を休まなくてはならないとき。あらゆる調整をするのはAさんの役割だ。

「夫はできる限り、仕事を休んだり早退したりするのが私と交互になるように気を遣ってくれてはいるのですが…私に『どう?』と聞かれて『いいよ』か『今日は難しい』か、どちらか答えるだけで済むので、いいですよね。難しいと言われたら、あとは私がなんとかするしかない。非対称だなと思います」

今の世の中的には、育児に積極的な自分の夫は「いい夫」「育メン」と言われる部類に入るのだろう。それがわかっているからこそ、現状に不満は言いづらい。でもちょっとしたところで違和感が募っていく。Aさんと同じような思いを抱えている女性は日本中にたくさんいるのではないだろうか。

「よく言われることですが、女性が同じことやそれ以上のことをしていても当然とされるのに、男性は“偉い”と言われる。それに疑問を抱きつつ、そういうものかな、と諦めている自分もいます。私自身にも、女性が家事・育児を担うものだという刷り込みがやっぱりあって、根深い問題だなと思います」

親子の手――夫がいくら育児に積極的でも、男女平等には遠いワ

(c)Qualivity/Shutterstock.com

育休も時短勤務も、女性である必要はない。でも…

フラットに考えてみれば、育児休暇を取得するのも、時短勤務にするのも、女性である必要はまったくない。Aさんも、育休は自分と夫と半々でもよかったのではと感じているという。

「産後は自分の体力回復にも時間がかかるので、産後休暇(2ヵ月間)のあとすぐに働けたかというと、私も自信はありません。でも半年くらい経つとさすがに、コロナ禍ということもあり閉塞感を感じてきて、早く仕事復帰したいと思いました。とはいえ希望するタイミングで保育園に入れるわけではないので…あとから振り返ってみれば、残りの半年は夫に育休をバトンタッチすることも考えてみたかったなと思います」

実は一度、半年くらい育休を取れる可能性があるか、夫にやんわりと聞いてみたこともあるという。

「やっぱり難しいという返事でした。過去に1ヵ月ほど育児休暇を取った同僚男性がいたらしいのですが、周りは『そんなに休むのか』という雰囲気だったそうです。そんななかで半年休むだなんて言えない、という夫の気持ちもわかります。実は夫の会社では、妻の出産前後に2週間の特別休暇を取ることが義務づけられているのですが、そんな会社であっても、男性が育児をすることへの理解はまったく進んでいないのだということを痛感しました」

勤務先での風当たりの強さは、精神的な負担になるだけでなく、経済的な不安にも直結する。もともと夫とAさんでは、月の手取りに大きな差はない。しかし、夫の会社のほうが規模が大きく、手当てや賞与が充実しているため、年収にすると夫のほうが額が大きい。自分と夫、どちらかが負担を負うなら自分という結論になる、とAさん。

「育休や時短勤務によって一時的に下がる収入分だけを考えたら、夫と私、どちらでもあまり変わらないかもしれません。でも、もし育休を取ることによって夫の評価に響いてしまったら、将来的なキャリアや収入にも影響が出てくるかもしれない。男性が育児することへの理解が深まっていないこの社会で、夫に育休や時短勤務を求めることには、計り知れないリスクを感じてしまいます」

出産・育児がキャリアや収入に影響することは、Aさん自身が実感している――育休に入る1年ほど前に部署異動があったため、復帰後もまだ、在籍年数のわりにスキルが十分でないことを実感する日々だ。中途入社してきた年下の男性社員のほうが、人材として重宝されているように感じ、悔しい思いもしている。時短勤務になった分、基本給が減った。残業代も発生しないため、手取りの減り方は想像以上だった――。

「どれも最初からわかっていたはずのことなのに、やっぱり悲しくなりますよね。私だけでなく、育休や時短勤務を選ぶ人たちは、決して休んだりサボったりしているわけではなく、将来の社会の担い手を育てることに時間を使っているだけなので、それがキャリアにとってマイナスになるのはおかしい。女性はもちろんのこと、男性が一年くらい育休をとってもその先のキャリアに響いたりしない、そういう考え方が当たり前になってほしいなと思います」

最後に、これから妊娠・出産・育児を考えている読者の皆さんに伝えたいことがあるか聞いてみた。

「よく『産んで後悔する人はいないよ』などと言われたりしますが、私はそういう安易な考えは捨てたほうがいいと思います。それくらい育児って大変だし、その後の人生に大きくかかわること。なんとなくではなく、情報を集めて、パートナーとも話し合い、しっかり意志決定してほしいですね」

家事・育児をまったくしない、という男性は減ってきているだろう。共働きが主流となっている現在、当たり前のことである。しかしそれだけでは男女平等な仕事・子育てにはほど遠いという現実が、Aさんの話から見えてくる。これは、夫婦であらかじめ役割分担を話し合っておく、といった個別の努力で解決できる話ではなさそうだ。社会全体で、子育てというものの捉え方をアップデートすることが、今、求められている。

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TEXT=GINGER編集部

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