知っておきたいファッション用語やテクニック、今どきの常識を、スタイリスト青木貴子さんが独自の視点を交えながら解説する連載「大人のおしゃれワード集」。今回はサステナブル&エコフレンドリーな素材をテーマにお届けします。
SDGsが浸透してきて、サステナブルな視点やエシカルな考え方も身近になってきましたね。ファッション業界でも随分と取り組みが促進され、エコ素材を使用した衣服が増えてきつつあります。実際にショップで目にしたり、身につけたりする機会も増えていると思います。せっかくならその成り立ちも知っていた方が、よりポジティブにエコ素材と向き合えるはず! 今回は知っているようで実態は知らなかったりする、サステナブル&エコフレンドリー素材についてレクチャーします。
リサイクル素材にはどんなものがある?
サステナブル&エコフレンドリー素材とは、環境負荷の少ない素材のこと。いくつかのカテゴリーがありますが、大きくは「リサイクル素材」と「天然素材」に分けられます。
まずは今どきな取り組み、リサイクル素材からご紹介しましょう。リサイクル素材とは、破棄するはずだったものを再利用した素材のこと。
いちばん代表的でイメージが湧きやすいのが「リサイクルポリエステル」。これは再生ポリエステルのことです。生産手法はいくつかあります。
1. ペットボトルから
ペットボトルを細かく砕き→粒状化→紡績糸にすると、なんと500mlサイズのペットボトル8本で1枚のTシャツができるそうです。意外と少ない素材からたくさんの糸になるものなんですね!
2. ポリエステル生地を分解して再生
廃棄・焼却する予定だったものや、古着などの衣服を分解して再生。ZARAやユニクロなど、着なくなった衣服を回収するブランドも増えています(ほかにも多数のブランドが実施しています!)。回収条件などはネットで検索すると簡単に見つけられますし、ブランドによってはお買い物に使えるクーポン券などを付与してくれるところも! 環境に良いことに貢献できて、そのうえクーポンももらえちゃうなんて一挙両得、持って行かない手はないですね。
3. 衣服の製造工程で出た余り布やくずを利用
こちらの難点は手間がかかるので、ちょっと割高になってしまうこと。環境負荷が低くても価格に跳ね返ってくると「むむむ…」となっちゃいますね。技術が進んで、そのあたりが改善されていくのを期待したいところ。
ちなみにリサイクルコットンやリサイクルウールというのもあり、2や3の手法で作られています。
もともと、パルプや綿花くずなどの天然素材から化学処理で繊維を取り出し、糸として再生する「再生繊維」もエコフレンドリーな素材として知られていますが、最近はその原料として綿製品などを利用する動きも。
天然素材のなかでもサステナブル&エコフレンドリーなものって?
お次は天然素材。いち早くエコ素材として認知されていたのは「オーガニックコットン」ですね。みなさん馴染みのある素材だと思います。どこがエコかと言いますと、環境や生物に影響を及ぼす農薬や化学物質を2、3年まったく使わない農地で、有機栽培するコットンだから。綿花を栽培するには通常、大量の殺虫剤や除草剤を使用するため、環境への影響はもちろんのこと、栽培に従事する人々に重大な健康被害を与えていたのです。コットンという身近な素材の生産に、そんなにも大変な過程があったなんて、昔は知らなかったですよね…。
また、アニマルフリー素材である「ヴィーガンレザー」。以前は化学繊維を織り上げたものにポリウレタン樹脂を染み込ませて作る「人工皮革」や、生地の表面をポリウレタンなどでコーティングした「合成皮革」が主流でしたが、近年は天然由来の「植物皮革」というものが登場、注目されているのです。パイナップルの葉やサボテン、りんご、ぶどう、きのこ類の菌糸体などから作られた、天然由来の素材(りんごやサボテンなんて、なんだか可愛いですよね)! リアルレザーと身紛うほどの質感で、エルメスやステラ マッカートニー、アディダスなどが使用して話題になりました。
大手企業の、環境に配慮したモノづくりは、環境問題に取り組む意義を世間に広く知らせていくという意味でも、本当に素晴らしい活動だと思います。サステナブルな取り組みをする企業が急速に増えているのは、環境危機が迫っていることの証でもあります。そこは念頭に置いておきたいですね。
これからどんどんサステナブル&エコフレンドリーな製品が増えていくことと思います。環境に優しい製品を購入することはひとつの社会貢献になります。そしていまあるものをきちんと大切に使っていく。それも社会貢献につながる大きな行為となりまーす!
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