常識や固定観念を超えた先に、自分たちらしい幸せを見つけた人たちをフィーチャー! 今回は、お互い発達障害があることを公表している西出弥加さん&西出光さんにお話を伺いました。
義務が欲しかった
TwitterのDMから交流が始まった画家の弥加さんと、現在訪問介護の仕事をしている光さん。
「当時の彼はうつ病を患っていてタイムラインがかなり荒れていたのですが、まるで昔の自分を見ているようで…『このままだとこの人やばいんじゃないか』と、いてもたってもいられなくてメッセージを送りました」(弥加さん)
「周りにも心配してくれる人はいたのですが、『あくまでも友人として助けるよ』という線引きや、見返りを求められたりといったスタンスに壁を感じていました。そんななか、弥加さんだけは壁をぶち破って親身になって助けようとしてくれて。今思うと、発達障害ならではの距離の詰め方に救われたなと思います」(光さん)
初めて会った翌日から弥加さんの家で暮らし始め、交際0日で結婚したふたり。
「私は曖昧な関係が苦手なところがあって。ビジネスで契約書を交わすように、婚姻届を提出すれば扶養義務が発生するので、明白な関係になって安心したかったのです」(弥加さん)
「僕も夫婦という契約を結んで安心しましたし、精神的にも安定しました」(光さん)
放っておく勇気
光さんの発達障害のADHDは片付けが苦手という特性があり、それが弥加さんの気がかりに。
「私が家で仕事をするので、どうしても部屋が散らかっているのが気になってしまって。一日の大半を掃除をして過ごす日だけが続き、だんだんと仕事に支障が出始めてしまったんです」(弥加さん)
精神的な相性は良いふたり。夫婦としてこれからも仲よくいるために東京と名古屋で別居することを決めます。
「私も当初は彼のことが心配でしたが、離れて暮らすことで彼が自発的に動くようになり、ひとりでできることも多くなって。放っておく勇気というか、干渉しすぎるのも良くないなと学びました」(弥加さん)
今また恋人気分に
お互いのためを思って始めた別居生活でしたが、周囲からはなかなか理解してもらえないことも。
「『離婚したほうがいいんじゃない?』と言われたこともありました。でも、離れて暮らすようになったことで関係が良好になりました。彼は今は訪問介護の仕事も続いていて収入も多くなりましたし、互いに成長できているのかなと思います」(弥加さん)
「弥加さんとは、夫婦だから“こうすべき”ではなく、せっかく夫婦なんだから“こうしてみよう”というスタンスで付き合える、心地よい関係です」(光さん)
西出弥加(にしでさやか)
1988年生まれ、埼玉県出身。画家、グラフィックデザイナー。20歳のときにmixiに投稿したイラストがきっかけで絵の仕事を始める。発達障害であることを公表し、SNSなどを通して発達障害の当事者や親子に向けて社会活動が困難だった幼少期の自身の体験などについて発信している。