日々言葉について思考を巡らせている書画家・夏生嵐彩の連載「言葉の森」。日本語の新しい側面を発見しながら、一緒に探険してみましょう。
3つの野菜には関連があった!
すっかり秋めいてきて、これから美味しいものがどんどん増えていく季節になりましたね。
そこで今回は秋から冬にかけて旬をむかえる野菜の漢字と、その意外な由来のお話をしましょう。
さっそく問題です。次の3つは何の野菜の漢字でしょうか?
1. 甘藍
2. 芽花椰菜
3. 花椰菜
答えは…
1. キャベツ
2. ブロッコリー
3. カリフラワー
音からは全然想像できない漢字ですよね。
実はこの3つには意外な関係性があります。順番に見ていきましょう。
キャベツ【甘藍・葉牡丹・玉菜】
キャベツはアブラナ科の野菜で、別名で「かんらん」といいます。
中国語でキャベツは「甘藍」といい、日本でも現在の「キャベツ」という呼び方が定着するまでは、甘藍が一般的な呼称でした。
かつてキャベツは食用ではなく観賞用だったようで、中国では別名「葉牡丹」と呼んでいます。葉牡丹の果実は熟すと藍色のものがあるため「藍」の字が使われているようです。(諸説あり)
江戸時代にオランダから伝わったキャベツは観賞用で、明治時代になり現在のような球状の食用キャベツ「玉菜(たまな)」が入って来ました。
当時は「甘藍」と「玉菜」を観賞用と食用とで表記を分けていたようですが、現在はどちらもキャベツのことを指しているようです。
ブロッコリー【芽花野菜・緑花椰菜・緑花野菜】
ブロッコリーはキャベツと同じアブラナ科アブラナ属の野菜です。
ブロッコリーの葉はキャベツの葉に似ていますが、それもそのはず。実は元々は同じケールという野菜から生まれています。
食用部分のブツブツ部位は花のつぼみが集合したもの。
「芽花椰菜」の漢字は、ブロッコリーの和名である「メハナヤサイ」からきています。
ちなみに「ブロッコリー」という呼称は、イタリア語で芽や茎を意味する「Brocco(ブロッコ)」が由来。
ではブロッコリーにとても見た目が似ているカリフラワーはどうでしょうか?
カリフラワー【花椰菜・花甘藍】
カリフラワーもキャベツやブロッコリーと同様、アブラナ科アブラナ属の野菜。
さきほどケールから分化したものがブロッコリーと説明しましたが、なんとそのブロッコリーが突然変異により白化したものがカリフラワーだといわれています。
どうりで見た目がそっくりなわけですね。
カリフラワーは漢字で「花椰菜」と書きます。
和名である「ハナヤサイ」に当てられた漢字です。ブロッコリーと同じ由来ですね!
また、カリフラワーはキャベツの野生種であるケールから分化し、突然変異から品種改良された野菜であることから「花キャベツ」とも呼ばれ、「花甘藍」とも表記されます。
外来語をそのまま呼ぶと知らなかったことが、和名や品種の繋がりを知ると3つが1つに繋がった気がしますね。
私たちの身の回りには、親戚同士の野菜や果物がまだまだたくさんありそうです。
夏生嵐彩の記事をもっと読む。