女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。
まずはコスメの成分について知ろう!
化粧品の成分表示を読み解いて、自分らしい“キレイ”のために、知識をレベルアップしましょう。
化粧品の成分とは、化粧品を形づくる原料すべてのことを指します。化粧品は、植物から鉱物まで、さまざまな原料の組み合わせによってつくられています。その原料の一つひとつを「成分」といいます。
たとえば、ある美白化粧水を例にとってみると、「水、グリセリン、コラーゲン、ステアリン酸、エタノール、アスコルビン酸、パラベン」などと、表示されています。これらが、化粧品の成分に当たるわけです。
化粧品に使われる成分はいくつある?
化粧品の成分は、米国の化粧品業界団体である「PCPC」に登録されている名称だけで、2万種類あります。
「日本化粧品工業連合会」に登録されている化粧品成分の名称は、1万5千種類以上あります。また、厚生労働省の認可が必要な「医薬部外品」の成分については、約2,700種類が掲載されています。
これらを組み合わせて、数々の化粧品が生まれているのです。ここまで種類があると、化粧品を使う順番が気になったり、さまざまな化粧品を組み合わせて使って大丈夫?という不安が出てきたりするかもしれません。詳しく説明していきましょう。
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基礎化粧品を使う順番は大事?
化粧水、乳液、美容液、クリームなど、複数の基礎化粧品を使う場合、順番や使用量に迷うことは、ありませんか?
基礎化粧品を使う順番や使用量は、メーカーに決められた使用順序や使用量を、極力守ったほうが、その化粧品の効果を得られます。
化粧品のなかには、次に使う化粧品の成分を浸透しやすくするものや、成分を肌内部に閉じ込めるために、肌に密着して蓋の役割をする成分を配合したものがあるからです。これらは、使用順序を守って、初めて効果があるので、スキンケアは同じメーカーのラインで使うのがおすすめです。
また、決められた使用回数や使用量も、メーカーの研究による根拠がある場合がほとんどなので、守ったほうがメリットがあります。
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組み合わせは?相性の悪い成分、良い成分/h2>
とはいえ、同じメーカーの化粧品をラインで使うだけでなく、違うメーカーのお気に入りの化粧品も一緒に使ったりしたいですよね? そこで不安材料となるのは、相性の悪い成分の組み合わせはあるのか?ということです。
これについては、異なるメーカーの化粧品を組み合わせて使っても、トラブルが起こることはありません。組み合わせの相性が悪い成分は、化粧品には使われていないからです。安全性に関しても、細心の注意を払っているので、問題はありません。
一方で、相性の良い成分の例としては、グリセリンとヒアルロン酸があげられます。この2つを一緒に使うと、保湿効果はグンと上がります。しかし、成分を見ただけで判断するのは、素人では難しいかもしれません。自分でグリセリンとヒアルロン酸の化粧品を別々に買うよりも、グリセリンとヒアルロン酸の両方を配合した保湿化粧品を選んだ方が、より良い効果を期待できます。
使い方に注意したい成分
組み合わせの相性が悪い成分はありませんが、使い方に注意が必要な成分はあります。レチノールや刺激性オイル、アルコールがそれに当たります。
アンチエイジングに効果的なレチノール(ビタミンA)は、刺激性が強くなると肌が赤くなる場合があります。
レチノールを肌に塗ったあとは、紫外線の影響を受けやすいので、昼間は使わず、夜のケアで使用しましょう。
ミントオイルやグレープフルーツオイルなどの精油成分も、刺激性があるので目の周りなど、肌の薄い部分は避けましょう。
また、お酒が苦手な人は、アルコールアレルギーの可能性もあるので、アルコールの入った化粧品には注意が必要です。
成分は肌に吸収・浸透する?
「化粧品の成分は、すべて肌に吸収されるの?」という質問をよく受けますが、すべて肌に吸収されるわけではありません。肌の上に留まり、ほかの成分を維持したり、肌表面に働きかけたりするものもあります。
また、化粧水などの広告で、よく「浸透」という言葉が使われています。薬事法では、化粧品に配合された成分が浸透するのは、表皮の最表面の厚さ0.02mmの角質層までと定められています。浸透という表現があるものは、“角質層まで成分が届く”という意味に受け取りましょう。
成分や表示について知識を持っていると、購入する際、基準の一つになります。自分に合った化粧品を選ぶためにも、覚えておきましょう。
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