美しい日本語と丁寧な言葉遣いが印象的で、コメンテーターや執筆活動など“言葉”にまつわるお仕事の多い壇蜜さん。ここでは書き言葉について、気持ちを伝えるために意識したいことを教えていただきました。
お礼をしたためるときの3本柱
いいものをいただいたことへの感謝、そしてそれが今、どんな風に影響しているのかを記し、最後は共感や共有の言葉を。この3本柱を意識して書きましょう。
- 1. 親切にしていただいた経緯
「ありがとうございます」の感謝とともに、親切にしていただいた経緯、気持ちの詳細を自分の言葉で。 - 2. どんな風に影響しているか
「もらったことで母も喜んでいる」や「仕事で本当に助かった」など、いただいたものがどんな風に影響しているかを具体的に。 - 3. 共感・共有
また会える人には「またお会いしましょう」、会いにくい人は「お体に気をつけて、私も気をつけます」と、離れていてもあなたと共有するものがありますというメッセージを。
季節の挨拶は定型にこだわらず自分らしく
手紙の書き出しは定型文にこだわりすぎずに、感じた季節の瞬間を書けばいいと思います。かしこまった時候の挨拶よりも、日常のちょっとしたことの切り取りで、その人らしさが出るはずです。
秋の終わり~冬のはじまりの書き出し例
・少しずつ涼しくなってきて、蛇口をひねったら冷たい水が出てきて驚いてしまいました。
・サンダルで買い物に行ったら、寒くてすぐに戻ってきてしまいました。
・窓を開けたら乾燥した風を感じました。
ちょっとしたメモに添えたい言葉
手紙は便せんとはがきだけではないし、付箋に書いたメモも、小さな紙にありがとうと書いたひと言も手紙です。最後に気遣いをひと匙入れると、気持ちを伝えられます。
- お疲れの出ませんように。
少し堅い言い回しかもしれませんが、全世代に対応できるひと言です。 - どうかお気をつけて。
シーンを選ばず使えます。どこに行くわけでもないのですが…。 - ひと息どうぞ。
身近な人に。私はよくこのメモとともに、飴やチョコなどを添えていました。
プライベートで“書き言葉”を使うのは、家族に荷物を送るときくらいという壇蜜さん。手紙文化についてどう感じているのか聞いてみると「手紙は、ずっと根強く残っていてほしいと思う文化ですね。ただ、これから手紙文化をもっと盛り返したいっていう気持ちはあまりないです。通じる相手に、通じるように書けばいいと思っていて。手で書くものは、より自分の心が伝わるものだって考えていれば、手紙ももっと広い意味で理解できるのではないかと思います」と教えてくれました。
オフィスシーンでよく使われるメモも、少しだけ意識を変えて気持ちを込めて書いてみると、コミュニケーションの幅がより広がるかもしれません。