身を委ねた瞬間、ふわっと心が解き放たれるような極上の家具や、目に留まるだけで気分の高まるインテリア。多少の背伸びをしてでも“居場所”には投資の価値がある。なかでも誰しもの家にあるイスは、一緒に過ごす時間が長い相棒だからこそ、惜しまず投資すべき家具のひとつ。そこで、インテリアスタイリストのYuki Nakabayashiさんが、時代を超えて愛される名品を選出。
George Nakashima(ジョージ ナカシマ)
ジョージ・ナカシマがデザインしたチェアのなかでは、個人的に一番好きなのがこのグラスシートチェア。ウッドの色と座面の天然素材によってスタイリングが多方面に広がり、奥行きを持たせてくれます。プリミティブなものや民藝、エスニックとも相性が良く、カラフルななかに1脚佇むカッコいい違和感もある。名品すぎます!
Artek(アルテック)
スタッキングもできるし、サイドテーブルにもなるスツールの代名詞的存在。座面、脚、カラーバリエーションを楽しめるうえ、ヴィンテージも出回っているので、今後も時代に沿ったあらゆるパターンを目にするのが楽しみです。自分好みのデザインに出合える確率も高く、名品でありながら比較的手に入れやすい価格帯も魅力です。
CARL HANSEN & SØN(カール・ハンセン&サン)
「ママ・ベア」の呼称で長年愛され続けるカール・ハンセン&サンの名品チェア。ウェグナーが手がけるデザインは木の印象が強いですが、隠れた名品がこちらのラウンジチェア。パーソナルなひとときを過ごすリラックスチェアは、こういったハイバックが落ち着くと思っています。
Vitra(ヴィトラ)
フランスのデザイナーであり建築家、エンジニアでもあったジャン・プルーヴェが生み出したイス、「スタンダード」。座ったとき、後脚にもっとも負担がかかるというイスの本質を見抜き、活かされたデザインが特徴的。最近、フレームのカラバリが豊富に広がったので、色の組み合わせまでも楽しめるようになりました。
Knoll(ノル)
ハリー・べルトイアのサイドチェア。一見クールな印象を与えるチェアですが、個人的なおすすめは、シートパッドなしで使用すること。想像以上に何にでもマッチするので、まずはお手持ちのテーブルに合わせていただけるのではないかと思います。個人的にはクロームではなく、白や黒のストラクチャーが合わせやすくて好きです。
THONET(トーネット)
クラシックな曲木を用いたチェア。ここ数年、塗装が淡い木製のナチュラル系チェアが注目され、一気に人気が再燃しています。背もたれからアームレストまで、継ぎ目のない1本のビーチ材から成型されており、装飾を削ぎ落とした有機的フォルムで、彫刻作品のような美しさが魅力です。
Yuki Nakabayashi
インテリアスタイリスト。『VOGUE JAPAN』『ELLE DECOR』などの雑誌をはじめ、カタログや広告のスタイリング・ディレクションなど、その審美眼を活かし幅広く活躍中。