旬野菜を使った料理や、季節に合わせたメニューをフードライターの坂本ちなみさんが提案する連載最終回。今回は、お気に入りのキッチンツールについて。
5年間続けてきたお料理記事ですが、今回で最終回となります。皆さんにぜひ、私が長年使ってきて使用頻度が高く、買って良かったと思うアイテムをご紹介したいと思います。キッチンツールについて、迷っておられる方や、買い足しをご検討中の方、ぜひぜひ参考にしていただければ幸いです。
チボリ プレート(サタルニア/Saturnia)
サタルニアプレートに関しては、ラウンドからオーバルまで大小数セットずつ愛用しています。何を盛り付けても絵になり、肉厚な素材が光と影の濃淡を生み出して奥行きを出してくれます。まばゆいばかりに真っ白でシンプルで、少々雑に盛り付けても良い雰囲気。
ラウンドは昔ながらの洋食屋さん的な印象。クリームコロッケカレーはサタルニアと決めている。お皿にスプーンを置いたときの調和がなんとも言えません。
STAUB ダブルハンドルスキレット20cm グレー
おすすめするなら本当に使える良いものをお伝えしたいなぁと思いつつ、真っ先に頭に浮かんだのがこちらストウブのダブルハンドル。さすがストウブと使うたび感嘆のアイテム。特殊な加工による表面の細かな凹凸が焦げを最小限にしながらも火の通りを深くする。熱伝導が素晴らしくてパンを焼くのもなんのその。出来上がりが楽しみで仕方なくなるアイテム。
リムラウンドプレート30cm ジャルディン
かれこれ長い間愛用している私の相棒。朝食から夕食まで1日を通してお世話になる日もある。愛着があり、感謝も大きい。
真っ白なお皿を手に取るとキャンバスに見えてくる。色彩を楽しみたいときはホワイトプレートの使用がとても心地よいのだ。気持ちを表現できる醍醐味も加わる。
大皿は、リム無しも便利。盛り付け時の輪郭を浮かび上がらせてくれるメリットや、キャンバスの余白効果が食す側をウキウキさせてくれる。ちょっと背筋を伸ばして食べてしまうのは、食材の輪郭を凛々しく魅せる効果のせいだと思う。
北欧ヴィンテージトレー & アンティークカトラリー
木の取っ手が優しさを滲ませる、デンマーク製特有の風合いがとっても可愛いステンレストレー。盛り付けると魔法がかかって、どんなものでも特別にしてくれる。見ていて飽きないチークのフォルムがまた格別。パンやお菓子のみならずスープとの相性も抜群! 食材の魅力を存分に引き出してくれる。
海外に行くと必ずその土地の蚤の市に出かける。お目当てはアンティークカトラリー。手に馴染む独特のフォルムが呼吸を整えてくれる。使うときは勿論だけど、引き出しで出番を待つ佇まいにも惹かれる。長く使い込まれた用の美、古い物が放つ心的作用には憧れが募る。使えば使うほどに風合いが増していくアンティークカトラリー、とっても表情が豊かで愛おしい。
野田琺瑯 ホワイトシリーズ レクタングル浅型(シール蓋付)
今まで読んでくださっていた読者の皆様には、幾度となくおすすめしてきたこちらのアイテム、野田琺瑯のホワイトシリーズ。もちろん10選に入っています。サイズに関しては、S、M、L、また様々な形も販売されているので、お料理手順や用途によって使い分けるのもおすすめです。
また、オーブンイン出来るのも魅力の一つ。プチパンだって美味しそう。琺瑯の和やかな印象や、丸みがかったスタイルがほのぼのしていてほっこり。作り置きしたものをそのままオーブンで温め直して食卓へ、なんて技もへっちゃら。
白木重箱
モダンな雰囲気を醸し出す白木の上品さ、素材を一層美味しくさせる調湿効果、職人さんの手仕事を垣間見れる質感、どこをとっても申し分無し! 日々のお弁当からおせち料理、おもてなしの席まで幅広く使えます。季節ごとの行事やハレの日を満ち満ちた気持ちで迎えさせてくれる。長い年月使えるので胸を張っておすすめしたい。
LODGE ロッジスキレット6 1/2インチ
10年ほど前に購入したロッジのスキレット(15.5cm)は、おやつにも朝食にも大活躍している。柔軟だなぁと声が漏れてしまうほど。鋳鉄独特の熱伝導の良さと保温力の高さのおかげでダッチベイビーも予想以上の仕上がりが可能に。フワサク感を味わうと心がまあるくなる。おうちでいただくスイーツ時間がグッと恋しくなる。和気あいあいのひと時にきっと癒されるはず。
無印良品 こども食器・磁器皿16cm
子育て中は、MUJIの「こども食器シリーズ」に大変お世話になりました。(今も引き続き愛用中)小さいこどもでも使用しやすいよう縁の設計が絶妙。高さの加減も配慮されていて、サラダやスイーツを一層美味しくしてくれる。
バッラリー二/Servin Tavola セルヴィン・ターヴォラ サービングパン 14cm
オーブンで仕上げる料理の頻度が高い我が家にうってつけアイテム。鍋で煮込んだビーフシチューをサービングパンに取り分け、チーズ適量をトッピングしてオーブンで数分間温める。仕上がり加減に驚きと笑みを隠せないほど、普段の料理にマジックがかかる。本格的深い味わいが楽しめる推奨アイテム。
WECK
スパイスから常備菜、プリンにジャム、ヨーグルトからグラタンまで、その振り幅は無限大に広がる。世界中から愛され続けるにはそれなりの理由があるのだと確信のアイテム。いくつあってもうれしい。
作家、佐藤敬さんの浅鉢
我が家の食卓において、佐藤敬さんの黄粉引浅鉢の出番頻度はダントツNo.1。何を盛り付けても、どのように盛り付けても、どういうわけだか素敵に見事に美味しく見映え良くさせてくれる。一生のお付き合いになると思う。しっかりした厚みがあり、子どもにも気兼ねなく出せる。スタッキングしてもびくともしない。サッと盛り付けただけでも、特別感が出て粒々の黒点とザラッとした質感による素敵な効果で味も数段アップする。
ほんわりした深さがまた良い加減。汁物もスイーツも絶品に魅せてくれる。ちなみに、海外から来た友人にもプレゼントしたら、自国に戻った際に皆から羨ましがられたとのこと。次回日本に来ることがあったら、買い足すそう。
骨董の器やアンティークのお皿
夫と共通の楽しみは、掘り出し物に出合える骨董市めぐり。どんな経緯を経てここに辿り着いたかなど、品物を見ながら思いを馳せる楽しみはひとしお。こちらは年に数回足を運ぶ京都アンティークフェアで出合ったお皿。この骨董市は規模も大きく様々な年代ものに触れられる。日本中の骨董市をまわってみたいな。
こちらは、京都東寺の骨董市で見つけた温もりが伝わる菊皿。貫入が辺りの空気を調律しながら季節感を漂わせる。肌触りも果てしなく優しい。
澄み切った空気にぽっと色をつけたような典雅な印象のクイストゴー作品。こちらはコペンハーゲンのトーヴァルセン美術館広場で開催されている蚤の市で見つけた宝物。
豆皿類を物色していると、店主が歴史や謂(いわ)れを詳しく説明してくれたおかげでつれて帰りたくなった器。その後食卓でお目見えするたびに、昔ながらの趣を感じ、経年への特別な思いとともに「今」という時間に焦点が合ったりする。お気に入りの器がもたらす日常への作用は結構大きいな、と思う。
最後は、感謝の気持ちを込めてやっぱり佐藤敬さんの作品で締めたいな。
おすすめアイテム10選いかがだったでしょうか。少しでも皆様のお役に立てるととってもうれしいです。長い間読んでくださり本当にありがとうございました。心から感謝しています。今後ますます皆様の食卓が素敵に彩られますように。また、どこかでお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。
坂本ちなみの記事をもっと読む。