週末の過ごし方で、来週の気分はきっと変わる。だからこそ、観る映画にはちょっとこだわりたい。気分転換にも、インスピレーションにもなる一本をピックアップ。今回は、11月6日(金)公開の映画『男ともだち』をお届け!
曖昧で厄介で、ふたりにしかわからないこと

男女の友情は成立するのか——。
映画『男ともだち』はその問いに答えを出そうとはしない。むしろ、答えが出ないまま続いていく関係の愛おしさと厄介さを、そのままスクリーンに映し出している。
主人公の神名(役/松岡茉優さん)は、仕事にも恋愛にも行き詰まりを感じながら日々を生きているイラストレーター。そんな彼女の前に現れるのが、大学時代からの“男ともだち”ハセオ(役/成田凌さん)。出会って12年。一度も恋人同士になったことはない。それでも神名にとってハセオは、恋人にも家族にも埋められない場所にいる特別な存在であり続ける。

神名には同棲相手がいて浮気相手がいて明るくない日常を送っている一方、ハセオにもハセオの人生がある。それなのにふたりは、何の気なしに会って、楽しそうに時間を過ごす。近すぎるのに手を伸ばさない。離れているのにどこかでつながっている。好きとは言わない。愛しているとも言わない。それでも視線ひとつ、沈黙ひとつで、言葉にならない感情をこちらに突きつけてくる。
男と女、友情と恋愛、正しさと身勝手さ。そのどちらにも整理されない感情が、京都、富山、広島を巡る特別な夜に静かに浮かび上がる。

恋人じゃないけれど、誰よりも理解してくれる。そんな相手が人生にいることは幸せなのか、不幸なのか。
筆者は、こんな関係が世のなかにあふれていたらたまったものじゃないと思う。神名、甘える相手を選びなさいよ。ハセオ、いてほしいときにいてくれるなよ…。恋人がいるのに声が聞きたいと思う。会いたくなってしまう。失いたくないと思ってしまう。それって本当に友情なのかしら? 男ともだちってずるい言葉。
観終わったあと、できれば恋人ではなく、気兼ねなく本音を言い合える“女ともだち”と答え合わせがしたくなる。「あのふたりって結局なんなの?」「友情? 恋? それとも愛?」。そんな終わりのないおしゃべりを誘うところに、『男ともだち』のいちばん厄介で、いちばん魅力的な魔力がある。
【11月6日より全国公開中】映画『男ともだち』

出演/松岡茉優 成田 凌
原作/千早 茜『男ともだち』(文春文庫)
監督/三島有紀子
配給/ハピネットファントム・スタジオ
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