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TIMELESSPERSON

2026.11.02

神木隆之介「守るべきものがあるから、人は強くも弱くもなれる」『ゴジラ-0.0』で描いた愛と覚悟と責任

世界中を熱狂させた『ゴジラ-1.0』から続く新たな物語、『ゴジラ-0.0』が11月3日(火・祝)より全国ロードショー。主人公・敷島浩一を再び演じる神木隆之介さんは、続編決定に「驚愕した」と振り返る。前作で守るべきものを見つけた敷島は、本作では最初から家族を守る覚悟を背負い、再びゴジラと向き合うことになる。公開後の“夢のような時間”、変わらない山崎貴監督の存在、進化したゴジラ&今作に登場するキングギドラの魅力、そして作品に込められたメッセージ。神木さんが語る言葉からは、ひとりの俳優としてだけでなく、長く愛される「ゴジラ」という作品への深い敬意と責任感が伝わってきた。

「あの時間は、今思い返しても夢みたいでした」

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前作『ゴジラ -1.0』が公開されてからの時間は、本当に夢のようでした。正直なところ、当時は海外でも大きな反響があったという実感があまりなかったんです。

前作のときはプレミア上映で現地(ロサンゼルス)に行かせていただいて、海外のお客さんの熱量を直接感じることができました。そのときに改めて「ゴジラって本当にすごいんだな」と実感したんですけど、その後はなかなか海外へ行く機会がなかったので、実際に公開後の反応を直接受け取ることはできなかったんですよね。エゴサーチをしても、日本語だと引っかからないんですよ。海外の方はローマ字でポストしてくださるので、そこが盲点だったなと思いました(笑)。

特にうれしかったのは、海外の賞にノミネートしていただいたこと。まさか自分の出演作が海外の賞の候補になるなんて思ってもいなかったですし、名だたる方の名前のなかに「Ryunosuke Kamiki」って書いてあるのを見て、本当に光栄でした。こんなに海外の方にお芝居を見てもらえることも想像していなかったし、名前を挙げてもらえるとも思っていなかった。本当に幸せな人生を歩かせてもらったなと思います。

公開された後は、日本アカデミー賞もそうですし、ブルーリボン賞もそうですし、それまで賞とはあまり縁遠い人間だったので、一気にいろいろな経験をさせていただきました。あんなにタキシードを着る年は、もうないんじゃないかな(笑)。今でもどこか夢のなかにいたような、ふわふわした感覚があります。

続編については、よく周りからは言われていたんです。「絶対続くでしょ」とか、「何かあるんでしょう」とか。でも僕はずっと「いや、本当にないと思うよ」と言っていたんです。

だから続編のお話を聞いたときは、本当に驚きました。僕は本気で終わったと思っていたので(笑)。うれしさ半分、同時に「またゴジラと向き合って、敷島は苦しい思いをするのか……」という気持ちもありました(笑)。

プレッシャーはもちろんありましたよ。前作のときもそうでしたし、今回も全く同じです。むしろ続編だからこそ、より覚悟を持って向き合わなければいけないと思っていました。

ゴジラという存在は、日本にとっても世界にとっても本当に大きな存在です。

そのシリーズのなかのいち作品で主演を務めるということ自体が、僕にとってはものすごく覚悟のいること。だから前作以上に責任を感じていました。さらに今回は、「前作を超えなければいけない」というプレッシャーもありましたからね。でも、その覚悟やプレッシャーを抱えながらも安心して現場に立てたのは、やっぱり監督がいてくださったからだと思います。監督のおかげで最後までやりきることができました。

敷島という“人間”が、より見える物語になった

台本を読んでまず思ったのは、「今回もVFXがすごいな」でした(笑)。前作と同じで、読んでいるだけでは何が起きているのかよく分からないところばかり……。とくに難しかったのは、戦闘機のシーン。敷島は優秀なパイロットとして描かれているので、複雑に熱線を避けたりものすごく変則的な動きをするんです。

台本を読んでいて、「今、機体どっち向いてるの?」「表なの? 裏なの?」みたいな(笑)。あれはト書きだけでは分からなかったので、「これは現場で教えてもらおう」と諦めていました(笑)。

前作は敷島や典子、それぞれのキャラクターが何を背負っているのかを説明していく物語でもあったと思うんです。どうしてもセリフや行動のなかに説明しなきゃいけない部分もあった。でも今回は、その前提を共有した状態から始まるので、敷島がさらに人間らしくなったなという印象を受けました。キャラクターというより、“人間”になった。だからこそ、前作との違いをどう出すかということは、台本を読みながらすごく考えましたね。

とくに引き込まれたポイントで言うと、明子(※前作で典子が託された赤ん坊)です。前作の明子は、「やだ!」とか「なんで?」とか一言だけのセリフでしたが、今回は、明子のセリフが増えたんですよ。それによって、明子が何を感じているのか、何を考えているのかが、より伝わってくるので、家族感も前作以上に強くなっていると思います。

敷島に巻き込まれていく明子じゃなくて、明子自身の物語があって、典子の物語がある。家族それぞれにストーリーがあって、それが重なり合っている。そこが物語をより強固なものにしているなと思いました。だから観てくださる方も、前作以上に感情移入できるんじゃないかなと思います。

あと、読んでいて不思議だったのが、何回もフィナーレみたいな瞬間が来るんです。「もう終わるのかな」って思ったら、まだ何十ページもあるみたいな。なんだかすごいフルコースを食べている感覚でした。でも重いとか長いとかは全然思わなかったんですよね。むしろどんどん食べられる。

完成版を観たときも、いち観客として純粋に「すごいな」と思いました。台本で読んだときよりさらに美味しくなっていて、それでもまだ「もっと観たい」と思わせてくれるような作品でしたね。やっぱり前作といちばん違うのは、前作は“世界前の山崎貴”が作った作品で、今回は“世界後の山崎貴”が作った作品だということです(笑)。さすが世界のタカシです。

「“世界のタカシ”になっても、監督は監督でした(笑)」

前作が世界中で評価されて、じゃあ現場の山崎監督は変わったのかって言われたら、監督は監督でした(笑)。本当に変わらず素敵な方で、ゴジラを誰よりも愛している人。前作の取材でも話したんですが、本当に少年みたいなんですよ。「これがこうなって、光線がこうなって、うわーってなって!」みたいな話をどんどんしてくれて(笑)。監督自身が盛り上がっちゃって止まらなくなるんです。そうすると助監督さんに、「もういいですか? 撮りますよ」って言われて、「ごめんごめん」って戻っていく(笑)。変わらない監督だからこそ、キャストもスタッフもみんな「この人についていこう」と思えるんです。ちょっとくらい英語が出てきてもいいんですけどね。「ごめんね、最近海外長かったから英語出ちゃった」みたいな(笑)。“世界のタカシ”なんだから、それくらいあってもいいのに(笑)。

現場ってチームプレーだと思っているんです。だからこそ、僕が主役をやらせていただくときは、できるだけみなさんに「楽しかった」と思ってもらえる現場にしたいという気持ちがあります。僕は、笑えるときは笑って、ふざけるときはふざけていいと思っています。もちろん本番はみんなプロなのでちゃんとやると信じていますし。それ以外の時間は、できるだけ楽しくやろうよっていうスタンスですね。撮影が終わったあとに、「大変だったけど楽しかったよね」ってスタッフさんやキャストのみんなが思える現場だったらいいなと思っています。

僕、ピリピリした現場が本当に苦手なんですよ(笑)。「絶対セリフ間違えちゃいけない」って思うと、逆に間違えちゃうので。だから、「間違えても大丈夫」「ナイスファイト!」くらいの空気の方が好きなんです。むしろ主演は一番ポンコツでいた方がいいと思っていて(笑)。「しっかりしてくださいよ!」って言われるくらいの方が、周りのみんながやりやすいんじゃないかなって。そうやって甘えさせてもらいながら、みんなで作品を作れたらいいなと思っています。

今回はたまたま山崎監督がそういう方だったので、その空気を作りやすかったです。端から見たら、長話している悪ガキふたりが現場を止めているように見えたかもしれないですけど(笑)。

守るべきものがある敷島をどう演じるか

ジャケット¥492,800/ロエベ(ロエベ ジャパン)

ゴジラはもちろん、キングギドラ……やっぱりカッコいいですよね。僕ら世代も、もっと上の世代の方もそうだと思うんですけど、小さい頃からずっとゴジラとキングギドラを見てきてるんですよね。とくに男の子って、やっぱりキングギドラ好きじゃないですか。フィギュアを持って遊んだり、ゴジラと戦わせたり。きっと誰もが一度は手に持って、わーってやっていたと思うんです。

それが白組のVFXで、本気でリアルになったらこうなるんだっていう。子どもの頃に想像していた夢の続きを、そのまま映像にしたような感覚でした。ゴジラとキングギドラが好きだった人たちの夢が叶う映画だと思います。あの白組で、あの山崎貴が作るキングギドラですから。やっぱり最高ですよ。

ゴジラがなぜここまで長く愛されるのか——僕は“余白”があるからだと思っています。ゴジラがどうやって生まれたのかというのは諸説ありますが、まだまだいろんな解釈ができる余地が残されているんです。なぜゴジラは現れるのか、なぜ人類と戦うのか、何を象徴しているのか。シリーズによっても違いますし、監督によっても違うし、観る人によっても全然違う。そこに正解がないんですよ。だから語り続けられるし、愛され続ける。

僕はUFOとかピラミッドとかも似ていると思うんです。分からないからロマンがある。分からないから人それぞれの解釈が生まれる。ゴジラも同じで、ずっと語り継がれていく存在なんじゃないかなと思います。だから『ゴジラ-1.0』もそして今回の作品も、観た人それぞれの解釈があっていい。「こういう作品だ」とひとつに決めなくていいと思うんです。そういう余白があることこそが、ゴジラが愛され続ける理由のひとつなんじゃないかなと思っています。

今回、敷島を演じる上で一番意識したのは、セリフの言い方や行動です。前作のときの自分の芝居を振り返ると、ある種のセオリーというか、規則性みたいなものが自分のなかにあった気がするんです。だから今回は、その規則性をあえて無視しようと思いました。

もっと本能的に、もっと直感的に。「敷島だったら今どう動くかな」ということを優先してやらせていただきました。その結果が皆さんにどう映るかは正直分からないです。「神木隆之介の芝居が変わった」と見えるのか、「敷島が成長した」と見えるのか、「ちゃんと時間が経ったんだな」と見えるのか。でも、前作とは違う何かを感じてもらえたらうれしいなと思っています。守るべきものが増えた男としての敷島を感じてもらえたらいいなって。

今回の作品を象徴するキーワードは、僕のなかでは「愛」「覚悟」「責任」です。前作の敷島は、典子と出会って、「自分にも守りたい人がいる」「守るべきものがあるんだ」と気付いていく物語だったと思うんです。でも今回は最初から守るべきものがある状態で始まる。だから覚悟も責任も、まったく違う形で敷島のなかに存在しているんです。

人が動く理由って、結局のところ「守りたいものがあるから」なんじゃないかと思うんですよね。誰かを守りたい。何かを守りたい。だから人は想像以上に強くなれる。

守りたいから戦える。守りたいから前に進める。それが一番の武器になる。

でも逆に、守りたいものがあることって、一番痛いところでもあるんですよね。失うかもしれない。傷つけられるかもしれない。そういう恐怖も全部抱えながら進まなきゃいけない。強さと脆さが、本当に紙一重なんだと思います。それぞれの人が、それぞれの守りたいものを思い浮かべながら観てくれたらうれしいです。

【11月3日(火・祝)公開】『ゴジラ-0.0』

出演/神木隆之介 浜辺美波
山田裕貴 佐々木蔵之介 國村隼 田中美央 安藤サクラ
長澤まさみ 田中泯 吉岡秀隆
監督・脚本・VFX/山崎貴
製作/東宝
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神木隆之介(かみきりゅうのすけ)
1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。2歳でCMデビュー。映画『妖怪大戦争』(05)で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後、映画『桐島、部活やめるってよ』(12)、『君の名は。』(16)、「るろうに剣心」シリーズ(14-21)など話題作に出演。近年の出演作品に、連続テレビ小説「らんまん」(23)、「海に眠るダイヤモンド」(24)、「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(25)、映画『大名倒産』、『ゴジラ-1.0』(ともに23)、『君のクイズ』(26)などがある。
X @kamiki_official
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PHOTO=須田卓馬

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HAIR & MAKE-UP=大野彰宏(ENISHI)

TEXT=GINGER編集部

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