やっと取れた一週間の休暇。せっかくだから海外へ行って、あそこもここもとガイドブック片手に名所巡り・・・結果、日本にいるとき以上に疲れて帰国。休みに行ったはずが、心身ともに休まらず・・・そんな忙しい旅は卒業して、そろそろ本当に“休み”に行きませんか? おすすめは日本から一番近いヨーロッパ、フィンランドの湖水地方。森と湖に囲まれた美しいこのエリアには、旅人を心地よく癒やすギフトがたくさん用意されています。
GINGER取材班が湖水地方の街、ラハティ、ハメーンリンナ、タンペレ、ユヴァスキュラを巡る現地取材で見つけた、観光よりも“感じる”ことをメインにする旅のトピックスをご紹介します。
湖と森と空と。視覚から癒やされる時間
世界で最も緑が多く(国土の70%が森!)、なんと20万個の湖を有するフィンランド。そのなかでも中央フィンランドに位置する湖水地方は、驚くほど澄んだ湖と手つかずの神秘的な森が広がるエリア。透明な湖面に映り込む朝焼けや夕焼けのドラマティックな美しさは、他では類をみません。湖水地方はフィンランド人も認める、国内でも特に素晴らしい景観に出合える場所なのです。
仕事ではパソコンに向かい続け、プライベートではSNS漬けの日々を過ごしてて、脳も目も疲労困憊の私たち。この雄大な景観を前にすれば、そんなデジタルホリックから解消されて、視覚から元気に。湖のようにクリアな思考が戻ってきます。
オフィスに通う生活は、高層ビルに囲まれた狭い空を見上げることも忘れてしまう日々。世にも美しい湖水地方の広大な空を観るだけでも、この地を訪れる価値があります。
サウナで体と心を整える!
フィンランドといえば、言わずとも知れたサウナ国。サウナでじっくりと体の芯まで温まって、冷たい湖にダイブ!なんてシーンを、テレビの旅番組で観たことがあるのでは?
あれは、テレビ用の演出ではありません。正真正銘、フィンランド人の日常。特に湖だらけの湖水地方では、飛び込めるスポットがいっぱい。夏はもちろん、雪に覆われて湖が凍っていても構わずにボチャーンといくのが快感なのだとか。
フィンランドのサウナは、日本のサウナにありがちな“我慢大会”のように汗を大量にかくことだけが目的ではありません。
自分のペースで心地よさを楽しみながら、体と心を解きほぐして、デトックスする場所なのです。
湖水地方の森の中に点在する湖畔のコテージに滞在して、サウナのバリエーション(スモークサウナから薪サウナまで、いろいろあるのです!)を楽しみながら、じっくりと温まり、湖でクールダウンを繰り返す。ぜひ、そんなスロートラベルな一日を過ごしてみましょう。
サウナの中で、目を閉じてメディテーションしてみて。そして、体がぽかぽかと火照ったところで、大自然の水と風の洗礼を受けるスピリチュアル体験! 体も心も“本来の自分”にリセットされ、信じられないほどの爽快感を味わえることでしょう。
体にいいものをシンプルに味わう悦び
フィンランドの料理は、素材の味を生かした“カッコつけていない”料理。きれいな空気、水、土が育んだ“地産”の食材を使うことが第一で、野菜の味は濃く、湖で採れた魚はフレッシュ、どれも忘れられない美味しさ。必要以上に凝りすぎず、オーブンで焼く、コトコトと煮る・・・など、素材を生かした調理でサーブされます。
取材班が出合ったフィンランドの美味をいくつかご紹介。
まずは、ザリガニのスープ。ザリガニは北欧の食生活に欠かせない食材のひとつ。7月21日から10月末まで漁が解禁になり、その時期にはザリガニパーティーも開かれるそう。期待を裏切らない濃厚な旨味、絶対にオーダーしてほしい一品です。
カレリアパイことカルヤランピーラッカは、ライ麦のバイ生地にジャガイモや米などを詰めたもの。ほっこりする素朴な美味しさ。
主食はルイスレイパ。天然酵母から作られるライ麦パンは、美味しいバターやベリージャム、チーズなどと一緒に。ライ麦パンの独特の風味とこおばしさは、記憶の中でフィンランド料理といつもセットになって思い起こされることでしょう。
もちろん、きれいな空気と自然環境のなかでとれるフインランド産の魚や肉類も特筆すべき美味しさ。
左は湖で獲れるパイクパーチ。右は北カレリア地方で育てられている牛肉。地域色あふれる料理法で、魅了してくれます。
遊び場は森。その深さに癒される
時間に追われて、時間が足りなくて、毎日の生活にきちんと向き合えていないフラストレーション。旅先ではそんなモヤモヤから離れて、穏やかな時間を過ごしたいものです。
そこでおすすめしたいのが、フィンランドのローカルライフ体験。
たとえば、フィンランド人にはお馴染みの“ハイキング”を体験してみるのはいかが? この国では、家族や友人たちと「ちょっとハイキングに行こう!」は、週末のあるあるなイベントなのです。
そんなお国柄ですから、みんながピクニックで行くような森の中には、誰でも利用可能なLaavu(小屋)とキャンプファイヤのできる場所が用意されています。
夏はベリー摘み、秋はキノコ狩り、冬だって雪の森の中に入って行って、このピクニックスポットでコーヒーを淹れて休憩したりするそうな。
火をおこし、グリッリ・マッカラ(ソーセージ)をこんがりと焼いていただくのがピクニックのお楽しみ。飲み物やサラダを持参して、森のなかでの小休止。聞こえてくるのは、薪がパチパチとはじける音と、風の音と、鳥の声だけ。自然のなかでゆったりと過ごす贅沢。もう時計を見る気持ちも無くなって、森の神秘的な空気に包まれながら、“今”この瞬間を楽しむことに没頭できます。
そして今回は、ハンナさんのガイドでハイキングを楽しんだのち、自宅にお邪魔してベリーパイ作りを教わる機会を得ました。
フィンランドの人々の、文字通り“丁寧な暮らし”ぶりを知るチャンス。日本との住環境の違いはあるものの、広い敷地にゆったりと建てられたノルディクハウスがとっても素敵で、参考にしたい見どころ満載。
センスよくて居心地のいいインテリアや、庭のハーブガーデン、おうちサウナ(逆にバスタブはありませんでした)など、家で過ごす時間を美しく整え、大切にするその暮らしぶりを見学。アラサー女性には、楽しい学びの時間になるはず!
ハンナさん手作りのベリーパイをいただきながら、幸福感に満ちたティータイム。のんびりとした午後が過ぎていきました。
ラハティ観光局では、そんなローカル体験ツアー(Cosy visit at Finnish home)を用意しています。ぜひ、申し込んでみて!
五感で楽しむ、湖水地方の旅へ
フィンランドの魅力をたっぷりと堪能できる湖水地方は、ヘルシンキ空港から移動しやすいデスティネーション。
これから本格的な冬を迎えると、スキーやスケートなどのウィンターアクティビティが盛りだくさん。春は大自然の芽吹きを満喫、夏は湖でのウォータースポーツそして白夜、秋は名物のベリー摘みやハイキングが楽しい季節。――とにかく、いつ訪れても、心から安らぐ時間を堪能できます。ここで過ごすゆったりとした“休み”は、たとえ一週間でも倍以上休んだような効果を、心と体にもたらしてくれることでしょう。
さあ、ダイアリーを開いて! 年末年始、来年の休暇の行き先を「フィンランド・湖水地方へ」と書き込みましょう。
Hyvää matkaa(ヒュヴァー マトカー)! どうぞ良い旅を!
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