アメリカ在住の料理研究家・フードコンサルタントのブライデン陽子さんによる連載。世界中を旅するなかで得た自由な発想で、最新のフードトピックスや、スタイリッシュで美味しいレシピをご紹介します。
さまざまな移民が集まるアメリカは、B級グルメの宝庫です。新しくやってくる移民たちが持ち込んでアメリカナイズされた料理は、ちょっとジャンキーだけど同時に素朴でクセになる味。どこか魅力的なのです。今回は東海岸から中西部にかけてドライブした際に出合った、そんなグルメたちをちょこっと紹介したいと思います。意外にも普段のお料理で使えそうなアイデアがいっぱいですよ!
トマトパイ(フィラデルフィア)
パイというのはピザの別名で、いわゆるトマトピザのこと。ただし普通のトマトピザとは違い、四角い深めの生地に濃厚で甘みの強いトマトソースとパルミジャーノチーズがかかっただけ。とってもシンプルです。熱々ではなく室温で食べるのにも驚きましたが、食べ始めるとなかなか美味しく、手が止まりません。イタリア移民がもたらしたこのピザ、今でも地元民からとても愛されています。
フィリーチーズステーキ(フィラデルフィア)
この料理は名前に反しステーキではなく、炒めた細切れ肉で作るサンドイッチです。フィラデルフィアのイタリア移民によって作られた料理ですが、今ではアメリカ中で食べられている人気のファストフード。地元ではそれぞれにこだわりの店があり、評判のあるところは行列ができています。炒めた細切れ牛肉と玉ねぎに、塩・胡椒・ウスターソース少々で味付けし、ピザ用チーズを乗せ、焼いてバターを塗ったコッペパンに挟むだけと、家庭でも簡単に作れます。
シンシナティチリ(シンシナティ)
オハイオ州シンシナティの名物として知られるシンシナティチリは、豆なしのチリコンカーンをパスタにからめ、上からチーズをたっぷりかけた料理で、マケドニアからの移民によって作られました。大抵の店で、豆や玉ねぎのみじん切りをトッピングとして選択できます。チリコンカーンを作る機会があれば、ぜひシンシナティチリ風に仕上げてみてください。美味しいですよ!
ボストンクーラー(デトロイト)
一般的にはカクテルの名前で知られているボストンクーラー、ここミシガン州のデトロイトではジンジャエール入りのミルクシェイクのことを指します。その名の由来は定かではありませんが、「ボストン大通り」から名付けたとか。地元ではVernorsというブランドのジンジャエールを使いますが、どんなブランドでも美味しくできるので、ぜひ作ってみてください。バニラアイスとジンジャエールをミキサーにかけるだけです。意外にもさっぱりと美味しいですよ。
ブルームーンアイス(中西部全域)
鮮やかな水色が印象的なこのアイスクリームは、中西部でとても人気のブルームーンと呼ばれるフレーバーです。バニラや柑橘類、綿菓子、バブルガムなどが混ざったような味がし、一見子供向けのようですが、なんとなく懐かしい味で後を引く美味しさです。
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