コロナ禍を経て、世界中の人々(私も含む)が健康管理への意識が高まっているということもあり、実はこのピーナッツが“栄養価の高い食材”としてあらためて注目されています。ということで、今回はピーナッツバターをフィーチャー!
アメリカ人はピーナッツバターがお好き
私が住んでいるアメリカは、ピーナッツの生産量そして消費量も、世界のトップ4にランクインしているそうな。毎年3月には「ピーナッツ月間」というのがあるくらいピーナッツが人気。
そしてピーナッツを使った食べ物のなかでも、とりわけ愛されているのがピーナッツバターなのです。毎年11月は「NATIONAL PEANUT BUTTER LOVER’S MONTH(ナショナル・ピーナッツバター・ラバー・マンス)」で、ピーナッツバター愛好家たちがいつも以上に盛り上がって、ピーナッツバターを食べるという月なのです(笑)。
11月11日はピーナッツの日!
なんと日本でも、11月はピーナッツの新物が出回る月ということもあって、11月11日は「ピーナッツの日」なのだそう。知らなかった(笑)。
それに先がけ、先日、一般社団法人ウェルネスフード推進協会とアメリカンピーナッツ協会の主催のもと、ピーナッツとピーナッツバターに関するオンラインセミナーが開催されました。私も今、ピーナッツに高い関心をもっていることもあり、ここニューヨークからZOOMで参加しました。
ピーナッツやピーナッツバターについて初めて知ることも多く、いろいろと学びが多かったので、皆さんとシェアしたいと思います!
ナッツと豆のいいとこどりしたハイブリッド
その前に、まずは、ニューヨークの人々がどれだけピーナッツバターを食べているかということをちょっとお伝えしておきますと・・・。
スーパーマーケットのジャムなどの瓶詰め商品が置かれているコーナーでは、棚の一角を独占してナッツバターが並んでいます。ピーナッツバターのみならず、カシューナッツ、くるみなどナッツの種類もいろいろあり、最近はアーモンドバターもシェアを拡大中のようです。
上の写真は、アメリカのスーパーマーケットではお馴染みの「バルク(BULK)」と呼ばれる量り売りのコーナー。ここで、ナッツや、ドライフルーツをマシンから好きな量だけ取り出して買うことができるんですよ。
余談ですが、ピーナッツってナッツの仲間に思われがちですが、実はマメ科の植物で豆の一種だということをご存じでしたか?(ちなみに、私自身もナッツの一種だと思っていました・・・)
ピーナッツの英語表記をよく見てみると、確かに「Pea(豆)nuts(木の実)」となっています(今更ながら発見!)。日本でも、中国から渡来した豆を意味した「南京豆」という別名があるくらいですもんね。
豆のなかでも特に栄養価の高い大豆の特長として、たんぱく質の含有量が多いことがあげられますが、実はピーナッツもたんぱく質が豊富なようです。
その量を比較してみると、乾燥大豆よりは少ないものの、ゆでた大豆や納豆の1.5倍以上にもなっています。さらに、脂質に関しては、アーモンドやクルミよりも控えめ。
というように、ピーナッツはまさに、豆とナッツの栄養効果のいいとこ取りなわけですね!
実は甘くないアメリカのピーナッツバター
アメリカ人にとっては、ピーナッツのなかでも、とくにピーナッツバターは子供の頃から朝食のトーストやランチボックスのサンドイッチで慣れ親しんだ味。ジェリーと一緒にサンドしたり、何でもディップして食べるまさに国民食です。まあ、日本でいうところの「納豆」や、「梅干し」のような存在?(笑)
ちなみに、日本でピーナッツバターといえば、ピーナッツ風味の甘~いペーストが真っ先に頭に浮かんでしまいますが、アメリカ人が大好きなアメリカのピーナッツバターは、実は甘くはないのです。
FDA(アメリカ食品医薬品局)では、原材料の90%以上にピーナッツを用いたものを「ピーナッツバター」と定義し、それ以下の物は「ピーナッツバター」としては認めていないのだそう。
そんなピーナッツやピーナッツバターは、日本人女子からしたら「食べたら太る」「ニキビができる」というちょっと危険な食べ物のイメージ。私自身もずっとそんな印象を持っていました。
しかし、それはもはや都市伝説ともいえる誤解で、慶應義塾大学医学部教授の井上浩義先生によると、ピーナッツには冷え性解消、美肌やダイエットなどの効果が期待できる、女性にうれしい食べ物なのだそう。
うーむ、侮れないピーナッツの魅力、井上先生さらに詳しく教えてください!
上手に取り入れたい豊富な栄養成分
「ピーナッツは脂肪分が多いため、太ると思われがちですが、それは少し違います。ピーナッツに含まれる主な脂質は、オリーブオイルと同じオレイン酸。身体に良いとされる不飽和脂肪酸なのです」と井上先生。
先生によると、ハーバード大学の研究では、ピーナッツを習慣的に食べる人はBMI(肥満度数)の値が低く、肥満になりたくい傾向があるということもわかっているそう。
また別の調査では、低脂肪食に加えてピーナッツからつくった高オレイン酸を摂取したグループは、6ヵ月後に中性脂肪もLDLコレステロール(悪玉)も減少したという結果が! まさにダイエットに効くことが証明されているのです。
さらにオレイン酸は、肌に潤いをもたらすうえ、血管をしなやかに保ち、酸素や栄養成分を身体のすみずみまで運ぶことで新陳代謝がアップ。心臓や血管の硬化を防いでくれるので、健康にも◎。適度な脂質は体温をゆっくり上昇させて、その状態を長く保ち、冷え性にも有効。ビタミンB1・B2・E、各種ポリフェノールが美肌に導いてくれるそうな。
「ピーナッツをバターにすることで、そのまま食べるよりも消化が良く、オイルの吸収率が2倍も高まります。それによって、脂溶性のビタミンEやポリフェノールの吸収率がアップすることも期待できますよ」と、井上先生も絶賛の食材。
ここまで聞いただけでも、今すぐピーナッツバターを買いに行きたい気持ちになりますよね。
それから、上の表をご覧ください。ピーナッツは不溶性植物繊維がやたらと豊富。食物繊維は、満腹感をもたらしたり、整腸作用、便秘改善などで知られていますが、それだけではありません。
新たな研究では、糖尿病、心臓病、がんなどの発症リスクを低下させることも明らかになりました。食物繊維が腸の炎症を軽減し、インフルエンザウイルスから保護する作用が得られるという研究結果も発表されているそう。——もう、ピーナッツさまさまですね。
正しい食べ方で効果UP!
まさに最強の食材ともいえるピーナッツ。では、医学的に正しい摂り方などあるのでしょうか? 井上先生に7つのアドバイスをいただきました。
1. 薄皮付きで食べる
薄皮には、活性酸素を無害化する抗酸化物質レスベラトロール(ポリフェノール)が含まれているのです。
2. 1日30粒を目安に
毎日食べ続けた結果、悪玉コレステロールや中性脂肪が減少したという結果が報告されています。
3. 朝一番に食べる
酸化がピークを迎える前にピーナッツを食べておくと、ポリフェノールが大いに力を発揮してくれるので朝の摂取がおすすめ。身体を酸化から守ってくれます。
4. よく噛む
健康的な食事の基本です。満腹感が得られたり、咀嚼力が鍛えられ、栄養の吸収が良くなります。(噛むことが苦手な人、高齢者などには、ピーナッツバターがおすすめ)
5. 茹でて栄養アップ!
ピーナッツをゆでることで、レスベラトロールほか、各種ポリフェノールが確実に増えることがわかっています。
6. 古いものはNG
ピーナッツは、新鮮なうちに食べましょう。オレイン酸は酸化しやすい油です。古くなると味が落ちるだけでなく、動脈硬化の原因になる過酸化脂質になります。
7. スポーツ時の栄養補給にも◎
スポーツ前の摂取にも適していて、半分が脂質のピーナッツなら、少ない量で高いエネルギー補充ができます。スポーツ中は、ピーナッツバターをお湯で溶き、塩で味を調えて、飲みやすいように冷まして摂れば水分やミネラルの補給に。さらにスポーツ後の疲労による酸化ストレスから身体を守るためにも、抗酸化物質豊富なピーナッツの摂取はぴったり。ポリフェノールのほかにも、ビタミンB3が疲労回復に役立ち、ビタミンEは筋肉の疲れを和らげてくれます。
まさに、ピーナッツに対する認識が100%改まるお話でした。ほかにも、抗がん作用、長寿、認知症や鬱の防止など、まだまだ紹介しきれないベネフィットがいっぱいのピーナッツ。
「手軽に食べて、健康を維持し、生活習慣病などを予防できれば、将来かかるはずの医療費が大きく節約できますよ」という井上先生の言葉に、ピーナッツバターを常備すると心に決めた私です。
さて、こちらはマンハッタンにあるホールフーズ・マーケット(アメリカの大手スーパー)のナッツバターマシンのコーナー。搾りたてのピーナッツバターが食べたい! 薄皮の栄養も存分に摂れるピーナッツが欲しい!と思ったら、ここで自分で作ることが可能なのです。私の住むアパートメントの近所なので、張り切って出掛けたところ・・・現在はコロナ感染防止対策でマシンは休止中でした(残念!)。
次回の記事は、今回のセミナーで習ったピーナッツバターを使った簡単レシピをお届けしようと思います! Stay Tuned!