【カツセマサヒコさんインタビュー】こんなはずじゃなかった人生でもいいじゃない!

人生の葛藤を描いた小説『明け方の若者たち』に、今注目が集まっています。著者であるカツセマサヒコさんがこれまで歩いてきた道、そして仕事について思うことを聞きました。

今の場所で、居場所を見つけてみてもいいと思う

一般企業を経て、Webライター・編集者へ転身。そしてツイッターのヒットも追い風となって、小説家デビューしたカツセさん。順風満帆に見えるけれど、実はキャリアで悩んでいた時期は長かったといいます。

「はじめはクリエイティブなことやりたいという漠然とした夢だけを持って就活して、受かった印刷会社に就職しました」

しかし、希望とは異なる総務部に配属。

「月に何回かはロッカーで泣いているような日々でした。こんなはずじゃなかった人生でも、その環境のなかでうまくやれていたらポジティブに生きられると思う。でも僕はその上に仕事ができないことが加わって。能力の低さと、どうしようもない現実がしんどかったですね」

当時、SNSの波が来ていました。ツイッターで話題になって、人生が変わった人を何人か見て、自分にもできるかもしれないと思っていたそう。

「自分の発信に一定の評価が得られたら、誰かが声をかけてくれるかもと、SNSで成功した人を見て考えました。可能性は低いですが、続けたらなんとかなる気がして、ブログを始めたんです」

そのブログが、見事に編集プロダクション代表者の目にとまることに。周囲に反対されながらも、カツセさんはそこで働くことを決意します。

「それまでの人生で一番の葛藤だったと思います。4万人規模の企業から、6人のベンチャーへ転職ですから。

僕がラッキーだったのは、
書くことを仕事にしても嫌いにならなかったこと。嬉々として転職しても、お金をもらうほど書くことが好きじゃなかったら、すぐにまた転職を考えていたかもしれない。
好きなことを仕事にするって美談に思われがちですけど、仕事にしたら嫌いになる可能性はずっとつきまとうと思っています

そして、転職がすべてではない。今の場所で見つける幸せも肯定したいと話してくれました。

「印刷会社にいたとき、転職間際で部署から必要とされていると思えるシーンが何度か起きて。5年目にして初めてでした。

転職とか独立の方がカッコいいみたいな風潮がありますけど、その職場のなかで必要とされる存在になる方がよっぽどすごいということを、今になって感じます。

そのなかで居場所を見つけて自己肯定していく人生も素敵だと思います」

著書『明け方の若者たち』でも、こういうことが言いたかったと話してくれたカツセさん。今まさにキャリアに悩んでいる人は、一度自分の居場所を整えてみてもいいかもしれません。

カツセマサヒコ●1986年生まれ、東京都出身。大学卒業後、一般企業に就職。その後編集プロダクションへ転職し2017年独立。デビュー作『明け方の若者たち』( 幻冬舎)が発売中。

撮影/なかむらしんたろう

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