【低用量ピルを詳しく解説】生理痛&生理コントロールに役立つ使用法は?

低用量ピルの効果は、避妊だけではありません。低用量ピルには、つらい生理痛を改善する作用があります。さらに、生理周期のコントロールができることは、女性にとって嬉しいこと。その月の仕事や出張、イベントの予定など、生活のリズムを計画しやすくなります。避妊だけではない、低用量ピルの役立て方を紹介します。

フランス人女性たちの人生を変えたもの第1位!

日本で低用量ピルが認可されたのは、欧米に遅れること30年、1999年です。日本では認可が遅れましたが、逆に、30年前に認可されて低用量ピルを早くから飲んできた世界の女性たちの健康状態が、現在どうなっているかを知ることができます。

ピルを飲んできた欧米の女性たちの生活は、どうだったと思いますか? 健康被害が起こったり、不妊症の人が増えたでしょうか?

答えはNOです!

欧米では、今も生理のある女性たちの50%~70%が低用量ピルを服用しています。たとえば、フランスでは約40%の女性が低用量ピルを服用していて、出産率が上がり、人口は増加しています。

そして、フランス人女性に「ここ20年で女性の人生を変えるのに最も貢献したものはなんですか?」と調査した結果があります(1990年 複数回答*)。

第1位「ピルを服用した生活(避妊)」59%
第2位「責任ある地位につけること」43%
第3位「家庭用器具の進歩」39%
第4位「男性向きだった仕事につけること」37%(以下略)

* Le Nouvel OBSERVATEUR/FEMMEs du 6 au 12 decembre 1990

低用量ピルのメリットはたくさんある!

低用量ピルには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンが含まれています。低用量ピルを1日1錠、決まった時間に飲むことで、ほぼ100%の避妊が可能です。

低用量ピルには、飲み始めときに多少のマイナートラブルはあります。けれども、それ以上にさまざまなメリットがあります。

低用量ピルのメリットは、毎日内服することによって、避妊効果以外にも、

□ 生理周期のコントロール
□ 生理痛の改善
□ ニキビの改善
□ 生理不順
□  PMS(月経前症候群)の改善
□  卵巣がんの予防(発症率の低下)
□ 子宮体がんの予防(発症率の低下)

など、多くのメリットが得られます。

ピルの中でも、エストロゲン量が少ないのが低用量ピルです

ピルは1錠中に含まれるエストロゲンの量によって、高用量、中用量、低用量、超低用量に分類されています。

・高用量 ⇒ エストロゲンの量が1錠中50μgより多い
・中用量 ⇒ エストロゲンの量が1錠中50μg
・低用量 ⇒ エストロゲンの量が1錠中50μgより少ない(低用量ピルは30μg~35μg)
・超低用量:エストロゲンの量が1錠中30μgより少ない (後ほど紹介するヤーズ、ルナベルULDは20μg)

* μg(マイクログラム)

ピルにはたくさんの種類があって選べます

低用量ピルに含まれる女性ホルモンのひとつ、エストロゲンは、すべて同じ種類の”エチニルエストラジオール”というエストロゲンが含まれています。
もうひとつの女性ホルモンのプロゲステロンの種類と開発された順番によって、低用量ピルは4種類(4世代)に分けられています。

近年、超低用量ピルの種類が増え、これは月経困難症の病名がつけば保険適用になります。

●低用量ピル(自費)
シンフェーズ、トリキュラー、マーベロン、ラベルフィーユ、ファボワール

●超低用量ピル(保険)
ヤーズ、ヤーズフレックス、ルナベルULD、フリウェルLD、ジェミーナ

自費と保険がありますが、病院の窓口で支払う費用は、そんなに大きく変わりません。ちなみに、自費の低用量ピルは、2千数百円というところが多いと思います。保険のピルでも結局そのくらいになります。    

低用量ピルと超低用量ピルのおもな種類を紹介します!

低用量ピル(OC)と超低用量ピル(LEP)のおもなものを種類(世代、プロゲステロン剤の種類)ごとに紹介します。日本でも低用量ピルや超低用量ピルを何のために使いたいか、その目的に応じて選べるようになりました。女性ホルモンに詳しい婦人科医に相談してみてください。

●ノルエチステロン(第1世代ピル)
プロゲステロン剤にノルエチステロンを使用したピルは、最初につくられた低用量ピルです。ノルエチステロンの作用で生理の経血量が減り、生理痛を和らげる効果に優れたピルです。

「シンフェーズ」  ⇒   サンデースタートピルと呼ばれ、1錠目を日曜日から開始し、出血(生理)が週末にかからないように工夫されています。

「ルナベル(LD)」 ⇒ 月経困難症で保険が使えるピルです。低用量ピルでエストロゲン量が35μg。

「ルナベル(ULD)」 ⇒ 月経困難症で保険が使えるピルです。ルナベルULDは超低用量ピル(エストロゲン量が20μg)。今、日本で発売されているピルの中で、1周期中(28日間)、最もエストロゲン量が少ないので、血栓症リスクを軽減することが期待できます。

「フリウェルLD 」  ⇒  フリウェルLDとルナベルLDは全く同じ成分のピル(製造会社の違い)。

●レボノルゲストレル(第2世代ピル)
プロゲステロン剤にレボノルゲストレルを使用したピルは、第2世代のピルになります。

「トリキュラー」  ⇒ 3相性ピルと呼ばれ、女性ホルモンの生理的な周期変化に対応させるために、1周期服用する間にも、ホルモンの量を3段階に増減しているのが特徴。これによって、第1世代のピルに比べて、1周期中(28日間)のエストロゲンの総量が少なくなりました(ルナベルULDを除く)。また、生理サイクルをコントロールする機能も向上し、ピル服用中に不正出血を起こす割り合いが低下すると言われています。

「ラベルフィーユ」⇒ トリキュラーのジェネリック医薬品。

「ジェミーナ」 ⇒ 生理痛を改善する目的で、保険適応となっている超低用量ピル。トリキュラーやラベルフィーユと違って、1周期内でのホルモンの量が一定となっている一相性ピルです。

●デソゲストレル(第3世代ピル)
第3世代のピルは、新しいタイプのプロゲステロン剤で、アンドロゲン作用(男性化症状)を抑えるデソゲストレルやゲストデンというプロゲステロン剤を使用したものです。

「マーベロン28」 ⇒ 日本ではニキビに悩む人たちに人気があるピル。

「ファボワール28」 ⇒ マーベロンのジェネリック医薬品。

●ドロスピレノン(第4世代ピル)
第4世代ピルは、ドロスピレノンというプロゲステロン剤を使用したものです。    

「ヤーズ」 ⇒ 超低用量ピル。月経困難症で保険適応されています。

ヤーズには、ほかのピルにない、次の3つの特徴があります。
①ピルの中で唯一”抗ミネラルコルチコイド作用”があって、むくみにくいと言われています。

②24錠タイプ(ほかのピルは全て21錠タイプ)で、休薬期間が4日間と短く(ほかのピルは休薬期間7日間)、周期内のホルモンの変動が少ないため、下腹部痛や頭痛などのマイナートラブルの軽減が期待されています。

③アメリカでPMDD(PMSより精神症状が強いタイプ)に対して、治療承認を得ていますので、PMDD改善の期待もできます。日本では、月経困難症で保険適応されています。

「ヤーズフレックス」 ⇒ 2017年4月からヤーズの姉妹ピルとして発売。月経困難症、子宮内膜症による月経痛で保険適応されています。ヤーズフレックスは、ヤーズの3つの特徴があり、さらにピルの連続服用によって生理(月経)回数をできる限り減らす作用があります。月経の回数を減らすことができるため、PMS症状をの減らすことが期待されます。

気になるピルの副作用は?

ピルは、避妊効果を維持しながら、できるだけ副作用を少なくするという試みが積み重ねられてきました。でも、第1世代がいちばん古いピルですが、副作用が強いかというと、そうでもないのです。また、第4世代のピルがすべての副作用が少ないかというと、そうでもないと言われています。

低用量ピル、超低用量ピルのようなエストロゲン含有量が少ないピルであれば、副作用の有無や強さは、開発の時代の古さではなく、その人とピルとの相性によるのではないかと言われています。

ピルは、副作用というよりも、”マイナートラブル”というような軽くて一時的なものがほとんどです。マイナートラブルとして多いのは、不正出血、気持ち悪い(吐き気)、むくみです。

不正出血は、初めてピルを飲み始めたときに起こる人が約15%いると言われているマイナートラブルです。ダラダラと少量の出血が続くことがあります。ホルモンバランスが安定する2シート目を服用するころは、ほとんどの出血はなくなります。飲み忘れや飲み遅れで、出血することもありますので、きちんと服用することも大切。気持悪さや吐き気がある人は、食後すぐに飲むと改善することがあります。

いずれのマイナートラブルも生活に支障があるほどの人は、ほとんどいません。もしも、吐き気やむくみなどでピルを続けられなかったら、プロゲステロン剤の違うピル(世代が違うピル)に変えて試してみるのもいいでしょう。

ピルの重大な副作用は血栓症です

マイナートラブル以外に、ピルで考えられる最も重大な副作用は、血栓症です。血栓症は、血管の中に流れる血液が固まってしまうことによって、血液の流れに栓をしてしまう病気です。

ピルによる血栓症は、ふくらはぎを流れる静脈に発症することが多いと言われていて、ふくらはぎや太ももが腫れて、強い痛みをともないます。

リスクを高くなるのは、更年期世代の40歳後半になった女性が服用する、また若い女性でも1日15本以上喫煙をする人、肥満の人は、静脈血栓症のリスクが高くなると言われています。

服用開始から最初の3ヵ月、特に最初の1ヵ月に血栓症を起こすリスクが高いことも知られています。禁煙は大切です。

そして、血栓症のリスクの頻度は、かなり低いです。しかし、リスクがまったくないわけではありませんので、医師に自分のリスクがどのくらいかをよく相談してください。

文/増田美加

増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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