竹細工や木工との組み合わせや、パリの造詣美術家とのコラボなど、常に陶器の新しいスタイルを発信している窯元「蘇嶐窯(そりゅうがま)」。清水寺に程近い窯元はギャラリーを兼ね、日常で使いたくなる心惹かれる作品が溢れている。(ライター/和多亜希)

蘇嶐窯の器には優しい伝統技術が宿る
京焼青磁(青磁釉を施した磁器)の第一人者から技法を受け継いだ初代の伝統技術をアップデートしながら、常に新しい作品作りに邁進する4代目の涌波蘇嶐氏の作品に、福岡の小石原焼出身の奥さまが地元の伝統技法を融合させたものが現在の「蘇嶐窯」の作品のベース。
シンプルで伸びやかにろくろ成形した形状に、小石原焼の技法である飛びカンナや刷毛目を付け、作品にアクセント。リズミカルな幾何学模様を施したデザインは整然とした美しさや他にはないストーリー性を感じさせてくれる。

今春リノベーションしたギャラリーの上階はキッチンを兼ね備え、器に料理を盛って提供するというシェフとのコラボイベントや新作の使い心地を試すイベントなどを不定期で開催。器のフォルムや色による料理の見せ方、器と料理の意外な組み合わせ、どんな料理でも美味しそうに見える器マジックなど、イベントに参加すれば器のことが増々好きになりそう!
土偶の可愛さがたまらない、人気の縄文コレクション
息子さんの夏休みの宿題がきっかけで誕生したという縄文コレクション。今では人気作品として、ギャラリーではすぐに目に留まるはず。癒やしのオーラを発揮する「愛でる縄文」や、器として使いたい「いれる縄文」、箸置きとして楽しめる「置く縄文」など全6シリーズ。
青磁×飛びカンナの名作はどれも完璧な美しさ!

涌波家が代々受け継いできた青磁に、飛びカンナを施した「蘇嶐窯」のスタンダードは、器というより工芸品の域。深い色合いの青磁釉、無駄を削ぎ落したシンプルで美しいシルエット、リズミカルに弾く飛びカンナという作り手の技の結晶を、日常の器として贅沢に使ってみたい。
美の競演ともいえるコラボ作品、どれがお好み?
蘇嶐窯では竹工房喜節とのコラボ「Spiral」をはじめ、写真家の町田益宏氏とのコラボ「Blue 青の光の中で」や花屋「Maestro」とのコラボで新しいフラワーベースを提案する「vivo」など、様々なコラボ作品を生み出してきた。パリの造詣美術家のオレリー・マティゴさんとのコラボでは、奇想天外な作品も誕生。そんなアート性と実用性を兼ね備えた作品群を一堂に見ることができ、買い求められるのもギャラリーならでは。
名料亭の依頼から誕生。素朴×洗練が解け合う美しさ

京の三ツ星料亭の依頼から試行錯誤して仕上げた、練り込み無釉磁器。土に色を入れて練り込み、釉薬というツヤをいれずに焼き上げた器は、素朴な雰囲気を醸しながらもシックで上品。ジャンルを問わず、どんな料理にも合いそう!
蘇嶐窯には他にもまだまだ素敵なコレクションを揃えている。イベントなども不定期で開催。