髙地優吾さん（SixTONES）の初の単独主演舞台『Come Blow Your Horn〜ボクの独立宣言〜』は、終演後、誰もが笑顔で劇場を後にできる傑作コメディ。シャイボーイとプレイボーイを華麗に演じ分ける髙地さんにクギ付けに！ 初日の直前に行われたゲネプロ＆初日前会見の様子をレポート。
内気な少年がプレイボーイに！？ハートフルコメディの幕が上がる
SixTONESのメンバーとして活動すると同時に、キャンプに温泉、ゴルフなど多種多様な趣味でバラエティで大活躍する髙地優吾さんは、舞台上でもその空間を制する才能の持ち主。舞台『夏の夜の夢』（'22）や3人芝居『星降る夜に出掛けよう』（'23）など、毎年舞台で活躍する髙地さんが初の単独主演を務める舞台『Come Blow Your Horn〜ボクの独立宣言〜』が今月3日に幕を上げた。原作は、アメリカを代表する劇作家、ニール・サイモンが3年半の歳月をかけ何度も書き直しを重ねて完成させたブロードウェイのデビュー作『Come Blow Your Horn』。
髙地さんが演じるのは、兄に触発されプレイボーイに変わっていく、控えめで内気な主人公バディ・ベーカー。プレイボーイで独身生活を謳歌するバディの兄・アラン役に忍成修吾さん。アランの本命の恋人・コニー役に岡本玲さん、女優志望でバディを誘惑するペギー役にGINGER読者にもおなじみの松井愛莉さん。そして、バディとアランの心配性でおちゃめな母・ベーカー夫人役に高岡早紀さん、バディとアランの厳格な父・ベーカー氏役に羽場裕一さん、と実力派俳優が脇を固める。
物語は、控えめで自分に自信がなく内気なバディが、誕生日を機に実家を出て兄・アランの家へ転がりこむところからスタート。親から独立するというバディの決心に喜んだアランから、ガールフレンド・ペギーを紹介され待っていると、そこに現れたのは母だった！ 登場人物たちに振り回されがちなバディは次々と襲いかかる窮地をどう乗り切る！？ そして、3週間の時が経つと、そこには派手なジャケットに身を包み、すっかりプレイボーイになったバディの姿が！ 兄弟ふたりの対照的な性格や行動が波乱に波乱を呼ぶ、ドタバタストーリー。アランの家を舞台に繰り広げられる、小粋な会話の応酬にクスリと笑いを誘われる傑作コメディが開幕した。
髙地優吾「舞台は毎年やっていきたい」
――ゲネプロを終えた今の感想は？
髙地優吾さん（以下、敬称略） ギリギリまでお兄ちゃんとのやり取りを確認したりして役に向き合っていたので、正直ゲネプロが始まる前は緊張していたんですが、始まっちゃえば楽しくできたのでひとまずホッとしています。
――稽古中、大変だったこと、楽しかったことを教えて！
髙地 セット転換はなく、お家のなかだけで繰り広げられるので、ドアから登場人物が入れ替わり入ってくるんですが、やってきた人に対しての対応やキャラクターっていうのを瞬時に作っていかなきゃいけないのは大変でした。あとは、二幕からバディが遊びに慣れてるプレイボーイにガラッと変わるので、演じ分けは大変だったかな。稽古場で楽しかったことは…キャストの皆さんも大人なのでこれといって思い浮かぶことが…。（静かすぎて）SixTONESとは大違いだなと思いました（笑）。「同じ6人なのにこんなに喋らないんだ」って。
高岡早紀さん（以下、敬称略） みんな台本にかかりっきりだったってことだよね。あなただってそうでしょ（笑）！
髙地 そうです（笑）。僕も含めてみんな台本にかじりついてました（笑）。
――このお話をいただいたときのお気持ちは？
髙地 正直、僕で大丈夫かなっていうのが最初不安でした。でも、台本を読ませていただいたときに「これめっちゃ面白いわ」って思ったので、そこで安心したというか。台本に支えられる部分がすごく大きかったので、そこに頼って頑張ろうかなという気持ちでした。こんなことを言うと無責任かもしれないですが、“座長”ってタイプでもないので、カンパニーの皆さんと一緒に頑張れたらいいのかなと。皆さん優しい方だったので、僕も飛び込んで頑張ります。
――セリフ量も多かったように思います。
髙地 お兄ちゃんほどではないですが、多いですよね。日常会話っぽくてスムーズに言えるところもあれば、ニール・サイモンらしい言葉遊びが散りばめられているところもあって、多少苦戦しました。でも今思えば、セリフを（自分のなかに）入れるのも楽しかったです。セリフ量に苦労したというよりかは、インプットしたものを思いどおりにアウトプットできないことが苦しかったですね。
――ご自身の役との共通点というのは何かありましたか？
髙地 台本を読んだときは、一幕の内気なバディのほうが僕は得意かなって思ってたんです。人を信用しない部分や内気な感じが得意な気がしたんですが、蓋を開けてみたら二幕のお調子者のほうが得意だって気づいて（笑）。
高岡 プレイボーイなところ？
髙地 そんなわけないじゃないですか！ 知ってるでしょ、裏でダンマリしてる姿を（笑）。二幕でおちゃらけてるほうがギアが上がって入りやすいんです。一幕の小心者のバディとかマンハイム（※アランのウソにより成りきることになる映画プロデューサーの名前）とか、スイッチを入れる瞬間が難しいなと思いました。だから今回の舞台で新しい自分に出会えたように思います。
――私生活には影響しそうですか？
髙地 しないです！ 私生活はバディ君みたいに肩身の狭い生活をしているので（笑）、みんな平和でいればいいな〜ってスタンスです。
――人生が変わったという意味では、デビュー前とデビュー後で1番変わったことってどんなことですか。
髙地 いろんなことが変わったんですけど、一番といえば支えてくれる大人の数が増えたことですかね。デビュー前は自分たちで「こういうのやりたいよね」って話していても、実現するのがなかなか大変だったんですが、今はやりたいことをポロッて言うと「こうしたらいいんじゃない」ってアドバイスをくれる方が周りに増えたので、そういう意味ではグループとしても個人としてもやりたいことはやらせていただいてるなと感じます。
――そういう意味では、今回の舞台もご自身発信で？
髙地 そうですね。正直に言うと映画やドラマの映像系より舞台をやっていきたいという思いがあって。舞台は稽古を重ねるなかで新しい自分を引き出したうえでステージに立つっていうのが好きなので、舞台は毎年やりたいなっていう思いはあります。
――バディは誕生日を機に変わっていきますが、今まで過ごした誕生日のなかで一番印象に残っている出来事は？
髙地 20歳の誕生日ですかね。僕が芸能界に入るきっかけになったバラエティ「スクール革命」っていう番組の泊まりロケがちょうど20歳の誕生日で。内村（光良）さんを筆頭に皆さんがシャンパン開けてお祝いしてくださったのがすごく印象的でした。こんなに芸能人の方に囲まれてお祝いしてもらえることなんてそうそうないと思いながら、お酒をいっぱい飲みました。けれど、あんまり美味しくなかったな（笑）。個人的にアルコールが得意じゃないから、ソフトドリンクと炭酸水があればいいかな！
――自分自身について変わりたい部分は？
髙地 小心者なところ。勢いで「やっちゃえ！」って思える性格の人がすごく羨ましいんです。いつも「大丈夫かな。なんとかなるかな」って1人でブツブツ口癖のように言っているので、二幕のバディみたいな「勢いでいけるべ！」って性格になれたら嬉しいですね。
「楽しくできた」とゲネプロを振り返る髙地さんは、少し安堵した表情を浮かべつつ、数時間後に控える初日本番に向けて自信がついた様子。肩をすくめて困り果てるバディも、長い手足でクルクルと踊るバディも、真逆の性格を巧みに演じて、物語のなかで主人公の成長していくプロセスをしかと感じさせてくれた。どちらも魅力的なバディなのは、髙地さんだからこそ。
果たしてバディは無事に“自立”できるのか、バディ＆アラン兄弟の行き着く先は――？ クスッと笑えて何ともあたたかい気持ちになるこの舞台、ぜひ注目して。
