SUPER EIGHT・横山裕さんが、約15年ぶりとなるソロツアー『ROCK TO YOU LIVE TOUR』を完走。6月にリリースされた初のソロアルバム「ROCK TO YOU」を引っ提げ、全国11都市でロック魂あふれる熱いステージを繰り広げた。ここでは、9月16日のZepp Haneda公演の模様をレポート。
「あなたにロックを届けに来ました」熱量MAXのステージが開幕

現在、“武者修行”として1年間限定のソロプロジェクト「ROCK TO YOU」に取り組んでいる横山さん。ソロファンクラブの発足や初のソロアルバム「ROCK TO YOU」リリースに続き、7月からはソロツアー『ROCK TO YOU LIVE TOUR』を開催。自身初となるライヴハウスを中心に、全国11都市・全21公演を行った。
ツアー最終地となった東京・ZeppHaneda公演初日。大きな拍手に包まれて開演し、ステージを覆う紗幕に横山さんのシルエットが浮かび上がると、会場は一気に大歓声となった。
「今日は俺たちロックしに来ました。ただ、ロックの定義が分かりません!」「俺さ、マジで“今日が最高やんな”と思うライヴやりたいんよ。だから全力でかかってこいよ!」
そう叫んだ後、白幕が落ち、ついに姿を現した横山さんに再び大きな歓声が上がる。オープニングを飾ったのは、アルバムのリード曲「ロックスター」。ロックとは何かを追求し、不器用ながらも等身大の想いをストレートに綴った一曲。疾走感あふれるサウンドに力強い歌声を乗せ、派手にライヴの幕を開けた。続く「HERO」ではクラップを誘い、会場全体の一体感を高めていく。
序盤から、音楽に身を任せて手を挙げ、歓声が鳴り止まない会場。そんな熱気を前に、横山さんも「最高にブチ上がってるじゃない?」と笑顔。改めて「横山裕です!40(歳)超えてギター始めちゃいました。ギター始めてロック目指してます!」と挨拶。そして、芸名の「横山“裕”(ゆう)の“YOU”」と本名「横山“侯”隆(キミタカ)の“キミ”」は、いずれも“あなた”を意味すると語り、「『ROCK TO YOU』。俺、あなたにロック届けに来ました」と力強く宣言した。
「目の前の“あなた”に届けたい」という想いを軸に、自分の存在意義を歌った「存在意義」のパフォーマンスを経て、ライヴは小MCヘ。横山さんの「乾杯しない?」のひと声で、会場にいる全員がドリンクを掲げる。「『ROCK TO YOU』の完走と、今これ言ったらホットだなと思うのは、俺のマラソン完走。あと、あなたの幸せに…乾杯!」と音頭を取り、全員で水分補給を行った。
この日発表された大阪・此花区観光アンバサダー就任に「おめでとう!」と声が飛ぶと、「ありがとう」とひと言。グループやソロ活動に加え、ドラマやイベントと連日忙しいなかで迎えた公演。「怒涛のように毎日が過ぎていって…今何日ですか? 16日? 早いね」と、充実した日々を振り返った。ドラマ『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~』の撮影について「昨日もアクションシーンやってました、朝8時から。もう体が動きません…(笑)」と明かすと、客席からは驚きの声が上がった。
「今回『ROCK TO YOU』アルバム一本でセットリスト作ってます。SUPER EIGHTの曲はやりません。それは僕の信念、美学で。武者修行で、SUPER EIGHTの曲をやるのは違うなと思って」とこだわりを語る一方、「でもアルバム一本でやったら、総尺が49分しかないんです!」とコメント。続けて「残りはしゃべりまーす! 調子いいとき、2時間超えてまーす!」と声を上げると、会場は大いに盛り上がった。
続いて披露したのは、SUPER EIGHTの安田章大さんが作曲、横山さんが作詞を担当した2曲。「Kicyu」ではファンを巻き込んで一緒に歌い、「cHoco レート」ではギターを置きリズムを取りながら、タイトルどおりキュートに歌い上げた。
一曲一曲に込めた想い。仲間や後輩への熱いメッセージも

「この前ね、北海道でバーベキューやったんですよ」と、話題は先日のファンクラブ会員限定イベントへ。「今日も何人か来てくれてるよね。顔、覚えてるから」と続けると、客席から驚きの声が上がった。ファンとの交流や、休憩中にバンドメンバーとシャンパンを開けた裏話を披露し、「楽しかった」と余韻に浸る。「またなんか楽しいことできないかなって。今スタッフとかといろいろ話してます」「せっかく同じ時代に生まれたんだから、楽しいことしましょうよ」──その言葉に、会場は大きな拍手で包まれた。
ステージは、横山さんのど真ん中にど直球な生き方を詰め込んだという「ど真ん中」へ。ギターを掻き鳴らし、一人ひとりの心に訴えかけるように歌い上げた。続く「黄金期」では、コール&レスポンスで会場をさらに熱気あふれる空間へと導き、そして、渋谷すばるさんが作曲を手がけた「繋がる」の披露へ。歌う前には、渋谷さんへの想いをじっくりと語った。
「彼が脱退して8年経つね。8年前の記者会見の残像が忘れられへんかった。なんであいつ辞めんねんとか、俺がもっと説得したらあんな結末になってないんかなとか、自分に問いかけたこともあった。いざ記者会見を迎えて、ほんまにこの日が来んのやってめちゃくちゃ悲しかったし、あいつの門出やのに、俺真っ先に泣いちゃってさ。『今日が来ないでほしいです』って」と、当時を再現するように語ると、会場からは思わず笑いがこぼれる。それに「おい、笑ったな?(笑)」と笑みを返す横山さん。
「でもさ、これ笑えてるのが最高なんですよ。8年前だったら、笑えてないんすよ。でも、今、あなた笑えてるんすよ。それって、俺たちが今生きてる未来が最高だからですよ。あいつが覚悟を持って脱退という道を選んで、今もすごいボーカリストとして輝き続けてさ。それってすごいことやねん、ほんまに。ひとりでやるって。あいつの男の決断のおかげで、俺、ギター持ててると思うねん」と胸の内を明かすと、大きな拍手が送られた。
「全部繋がんねん。何が正解かはわからへん。自分を信じるのが大事で。まず自分を信じて、最終的に“花丸”にしたらいいねん。俺はマジでそう思ってる。だから俺とあいつは繋がれてる。もちろん俺とあなたも繋がってる」──そう語り、パフォーマンスへ。力強く歌う姿に、会場は温かなまなざしを向けた。
さらに「これも繋がってるんです」と紹介したのは、Aぇ! group「神様のバカヤロー」。ジュニア時代から可愛がってきた後輩のカバーだ。
「俺がプロデュースって言ったらおこがましいねんけど、彼らに曲を作ってとお願いして、こじけん(小島)が歌詞を書いてくれて、それを才能ある佐野(晶哉)が受け止めて、芯になる正門(良規)のギター入って、リチャ(草間リチャード敬太)のサックス入って、すえ(末澤誠也)の唯一無二のボーカルが入って…すごいかっこいい曲なんですよ」と力を込める。「ずっと客席で『こいつら絶対売れなあかん』と思って見てました。それが6年経って、あいつらめっちゃ売れてるやん(笑)」と、今のブレイクぶりをうれしそうに語る。
そして、この日見学に訪れていた、なにわ男子・藤原丈一郎さんの話も。「丈もはじめはいろいろくすぶってどうしていいか分からんかったと思うけど、今はなにわ男子で…何日連続でドームやんの?」。藤原さんが手で“5”を示すと、「俺ら抜くな!(笑)」と驚きながらも、「すごいうれしいよ。あんなちっちゃかったガキが(笑)、なにわですごいでっかくなって。こんなにうれしいことない」と笑顔を見せた。
さらに見学していた嶋﨑斗亜さん(関西ジュニア)、川﨑皇輝さん(少年忍者/ジュニア)へも「大丈夫やから、絶対。見てくれてる人はいるから。頑張ってください」とエールを送った。
15年前の想いを胸に、「オニギシ」で感動のフィナーレ

クライマックスに向けて、会場のボルテージを上げたのは「プライド」。感情をぶつけるように歌う横山さんに応え、客席も声を合わせる。「今日のこの気持ち、絶対に忘れたらあかんで。今日のこの気持ち忘れへんかったら、たいていのことは乗り越えれるわ。俺が言ってるから間違いないやろ!」「俺とあなたで最高な人生歩んでいこうな!」と熱いメッセージを送り、会場をひとつにした。
そして、最後の曲は「オニギシ」。「この曲、15年前のソロツアーでやってました。大阪城ホールにひとりで立って、それをおかんが見に来てくれて、すっごい嬉しかった。でもあんまり嬉しさを表現できんくて、お互い照れくさい時間が流れてた。おもむろにおにぎりの差し入れを俺にくれて。おかんもこの曲が大好きでした」と優しい声で語る。
その約1ヵ月後、青森公演の本番直前に、母の訃報を受けた。「信じられんかったし、俺どうしたらいいんやって。本番できるかなってすごい不安でした。でも今帰ったら、おかんが一番嫌やろうなと思って、ライブすることに決めた。そのツアーで今と同様『オニギシ』をラストに歌ってたんやけど、その青森公演では歌えなくて、号泣しちゃって。みんな何が起こったか全然分かってなくて、どうしたどうしたって、不安にさせて申し訳なかったなって今は思います」
だからこそ今回のソロプロジェクトでは、アルバムに「オニギシ」を収録すること、それを青森で歌い切ることを目標に掲げてきた。「この前青森で歌ったんやけど、泣いて歌われへんかった(笑)。でもそれでいいんやなとも思った。それが俺やし、しゃあないよ」と微笑む。
さらに、24時間テレビでメンバーが「オニギシ」を歌ってくれたことにも触れ、「めっちゃくちゃ嬉しかったのよ。最高の親孝行できたなって。本当にメンバーに感謝しています」と感謝を口にする。
「確かにおかんはいなくなったんですよ。でも、いてくれたことが大事なんです。いてくれたから俺が生まれて、弟たちが生まれて、素敵なメンバー、SUPER EIGHT、後輩、あなた、スタッフ、たくさんの方に出会えてます。全部、おかんなんです。おかんが繋げてくれました。いてくれたことが大事なんやなって、ほんまに思えるようになりました」と話し、「オニギシ」のパフォーマンスへ。
幼少期の写真を映したスライドショーを背に、想いを込めて丁寧に歌うと、会場は温かな感動に包まれた。曲の終わりには「ありがとうって、いつでも言われへんから。言えるときに言ったほうがええねん。だから俺、言うな。ありがとう」と、母の教えを重ね、ファンへ感謝を伝えた。
アンコールでは「ロックスター」「存在意義」の2曲を披露。全力でステージを楽しみ、笑顔で応えるファンに「めっちゃええ顔をしてるな!」と呼びかけ、「ありがとう」とピースを残して、ステージを後にした。 デビュー20年を経てもなお挑戦を続け、多くの人を魅了する横山さん。ギター1本で全身全霊、目の前の“あなた”にロックを届けるその姿からは、音楽への情熱だけでなく、人との出会いや繋がりを大切にする優しい人柄が伝わってくる。まわりを包み込むような愛にあふれたステージは、観る者すべての胸に温かく響き、今の「横山裕」を余すことなく感じられる時間となった。
【横山さんコメント】
ライブハウスツアーは初めての経験で特別なライブになりました。この空間、時間、かけがえのない思い出の場所たちになりました。この夏、いろんな仕事がある中、マラソン完走・ツアー完走と、無事完走できそうなことにホッとしております。
次はすばるとの対バンと SUPER EIGHT としての武道館がありますが、そこで自分がどう表現できるのか楽しみです。
【セットリスト】
01 ロックスター
02 HERO
03 存在意義
04 Kicyu
05 cHocoレート
06 ど真ん中
07 ⻩金期
08 ポインセチア
09 繋がる
10 神様のバカヤロー
11 プライド
12 オニギシ
EN1 ロックスター
EN2 存在意義
横山裕(よこやまゆう)
https://rock-to-you.jp/
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