6月9日にオープンした「銀座 虎あら（こあら）」は、京都のミシュラン三ツ星懐石「未在」で修業を重ねた料理人・物江氏による日本料理の伝統と革新が詰まったメニューが供されると早くも話題に。その理由を探ります。
料理で五感が研ぎ澄まされ、口福時間が訪れる
京都の日本料理のなかでも洗練された茶懐石料理で知られているミシュラン三ツ星「未在」出身の店主・物江英明さんが銀座に新しくオープンした日本料理店「虎あら」。
「料理⼈⼈⽣の集⼤成として、これまで親⽅から学んだことのすべてをこの店に詰め込みました。お世話になった親⽅への恩返しの気持ちを胸に、王道の⽇本料理に⾃分⾃⾝の経験や想いを重ねています。まずは、⽬の前の料理に真剣に向き合うこと。それがすべてだと思っています。⾷べ終えたとき、『また⾷べたい』と⼼から思っていただけるような、そんなコースを⽬指しています」という言葉どおり、先付から最後のご飯まで一品一品すべてが箸をつけるのがもったいないほど美しくて、素材の味が最大限に生かされつつも、「この味は？」と多種多様な隠し味が加わっていて、和食の王道×革新を楽しめるものばかり。
日本料理の場合、旬の食材を料理人の感性と腕で様々な形で提供されますが、「虎あら」で印象深いのが随所に提供される‟ウナギ料理”。
これは新潟出身の物江さんの最初の修行先が地元の鰻料亭だったため、そのルーツともいえる味をコースのなかに盛り込みたい…と考えたそう。なかでも初めて教わった思い出の逸品、鰻の押し寿司は、ふっくら、ふわっと香ばしく焼き上げた鰻に甘めのタレが絡んで、南魚沼産のコシヒカリの程よい酢飯との相性も抜群。
一品一品が季節感を大切に丁寧に作られた献立は、‟走り”‟盛り”‟名残り”といった食材が生かされていてその日の天候などによっても調整されているそう。そしてカウンター越し、目の前には焼台があって鰻を焼いているときには炭火の香りが漂い、食欲がそそられます。
また最後のご飯タイムも物江さんの‟おもてなし精神”と‟米どころ・新潟出身”のこだわりがたっぷり！ なんと「炊き込みご飯または混ぜご飯」「白ご飯＋うなぎ」「旬の素材と共にいただく麺」の3種類が用意される。どれか一つになんて選べない…と悩んでいると、「少しずつ、全部どうぞ」とここまででかなりお腹が一杯なのに、素敵な誘惑の一言が（笑）。
お酒の振る舞いから始まり、先付けやお造り、ご飯を経てあっという間の時間が過ぎた締めくくりには――
物江さん自らがお抹茶を立ててくださる時間。一人一人異なる虎モチーフのお抹茶椀によるお点前はクリーミィで泡のきめ細やかさが素晴らしく、程よい甘みの小豆餡を虎柄のミニクレープで包んだ「虎巻き」と共にいただくと至福の時間に。
香り、食感も多彩で、うなぎ、稚鮎、季節の野菜がふんだんに取り入れられたコースは、飽きることなくスッと食べ進められ、途中押し寿司に締めも3種類と、しっかり食したい人も大満足間違いなし。
季節を‟食”で感じたいというときはもちろん2025年の「土用の丑の日」は7月19日と31日。その前後の予定はこちらで…にぴったりの、いつまでも隠れ家であってほしい一軒。
銀座 虎あら（ぎんざ こあら）
東京都中央区銀座8-7-7 JUNO銀座誠和ビル3F
03-6263-8873
メニュー／季節のおまかせ（8〜10品程度） ¥28,000（税込・サ別）
営業時間／18:00〜、20:30〜 ※*一斉スタート
定休日／なし
