スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
夏のお洒落に加えたい、大人な浴衣の着こなし
今年は例年にも増して暑い夏になりそうという予報が出ています。毎年更新していく最高気温、一体今後はどうなっちゃうんでしょう? あまりに暑いのは困りものですが、夏は陽が長いし、エネルギッシュで明るいイメージ。やっぱり良い季節ですよね。梅雨が明けたら本格的に夏本番。花火や夏フェス、楽しいイベントが目白押しなんてひとも多いのでは? そんな心踊るイベントにお出かけするときにぴったりなのが浴衣。夏ならではのおしゃれの代名詞です。
20代以上を対象としたとある調査によると半数以上のひとが浴衣を持っているそうで、着ていく場所のトップは花火大会。花火大会のある日はそこかしこで浴衣を着ているひとをたくさん見かけ、日本文化が継承されているようでなんだかとっても嬉しくなります。
しかし同じく調査によると30代になると浴衣着用率がぐんと下がるのだとか。20代デートでポピュラーな花火大会も30代になると行かなくなるのか、浴衣でおめかしをする必要がなくなるからなのか、そのあたりは定かではないのですが、年齢を重ねるに従ってだんだんと浴衣から遠のくひともいるようです。
持っている浴衣が子供っぽくなっちゃって、というのも耳にします。浴衣離れの一因は浴衣の選びや着こなしが年齢とともにアップデートされていないことにもあるのではないでしょうか。
浴衣は元来外へのお出かけに来ていくものではなく、あくまでも涼むためのカジュアルな装い。つまりドレスコード的には来ていける場所が少ないアイテムです。花火大会などの夕涼みがてらのイベントなら問題ないのですが、お昼間のちょっとした外出には向きません。でも夏に浴衣って可愛かったり格好良かったりするのでちょっと着てみたいですよね? 実は浴衣でも準着物のような着方をすれば、なんと観劇やちゃんとしたレストランやホテルのディナーまで行くことが出来るのです!
もしも「これから毎年夏は浴衣を来てお出かけしたいわ」と考えていて、もしも持っている浴衣が綿素材のカジュアルなものだったとしたら、ぜひ!ここは浴衣を新調することをお勧めします(綿素材の浴衣はどうしても着て行ける場所が限定されてしまうからです)。
浴衣であっても夏着物と同じようなドレスコードに格上げされる素材がいくつかあります。
1. 絹紅梅(きぬこうばい)。絹の地糸に木綿糸を割合としては絹85%、綿15%くらいで織り込んだ生地。格子状の畝を表面に浮き立たせた薄手の平織物で、この畝があるので肌に張り付かずさらりとした着心地。
2. 麻(あさ)。通気性にとても優れています。風合いのある織地や染めの色合いが粋。無地めを選べば合わせる帯で印象を大きく変えることができます。一枚あると便利。
素材としてはこの2つがおすすめです。そして着こなしのポイントは「半衿をつけて足袋を履く」つまり着物のように浴衣を着ることです。そうすることで浴衣で出向ける場所は劇的に増えます。半衿なんて大変そう!と思うかもしれませんが、今は衿付き肌襦袢なる優れものがありますので心配ご無用、簡単に着ることができます。そして今は着方を誰かに習いに行かなくてもYouTube先生がいるので、いつでもどこでも着方を知ることができます、便利な世の中です。
大人の浴衣の着こなし(半衿&足袋を履く)は、お着物を着ている感覚で気持ちもとっても華やぎますし、おしゃれしてるぞという高揚感、大人の着こなしをしているという特別感も味わえます。そして着ていたら「素敵ですね」と褒められること必至です。私は街で浴衣を着物風にきれいに着ているひとを見るととついつい目で追ってしまいます(素敵ですねと声をかけたことも何度もあります、笑)。
着物を着たいけれどなかなか機会がない!とか、着るのが大変そう難しうそうと思っているひとは結構多いと聞きます。浴衣を夏着物のように着ることは着物を着る練習になるのではないかと思います。浴衣で着慣れていくと、着物自体への抵抗も少なくなります。着物デビューに憧れを持っているひとも、この夏まずは大人浴衣に挑戦してみてはいかがでしょうか?