伝統と技術、デザイン力のあるプロダクト、日本人の感性が活きたアートや音楽などの文化、日本食や銘品の数々…。世界に誇るニッポンのうつくしさを伝承するD&DEPARTMENTに、プロジェクトへの熱い想いを伺った。
新たに作らないデザイン
ロングライフデザインとは、モノの作られ方や売られ方などのデザインを取り巻く環境が揃ってこそ、長く作られ、使われ続けるモノが生まれるという考えのこと。
例えば、D&DEPARTMENTが2014年から展開している「FROM LIFESTOCK」プロジェクトでは、まだまだ使えるのに在庫として溜まり続けていくものや、流行が過ぎたことで価値がないと思われてしまっている「デッドストック」を倉庫から出し、「ライフストック」…つまり「生きた在庫」と呼び、その価値を活かした次のものづくりに繋げている。
この取り組みは、機屋の倉庫に大量に眠っていた生地見本や残布を活用し、売り場という舞台に出せないものか、というところからスタートした。その土地らしさを活かした商品開発を心掛けているが、自分の住む都道府県でどのような生地が作られているかを消費者に知ってもらうのも目的のひとつ。商品を制作している産地の生産者やコラボしてくれる企業の協力、そしてお客さんがものづくりに参加するなど、活動の輪が徐々に広がってきているという。
爆発的に市場が伸びるわけじゃないけれど停滞もしない。D&DEPARTMENTは作る人、流通させる人、それを使う人たちで小さいコミュニティのようなものを作っていきたいと主張する。その根幹には、「作らないデザイン」のマーケットを開拓したいという想いがある。常に新しいデザインを生み、新製品を発売し続ける高度経済成長期の価値観から脱却し、普遍的で長く使え、環境や地域の営みと調和するデザインを追求していく。作り手、使い手にとってもそのデザインが継続する仕組みを創り出す未来が近づいてきている。
D&DEPARTMENTが誇るニッポンの銘品
TABLE LIGHT FROM LIFESTOCK
D&DEPARTMENTのホテルでも使われているライトを自宅やオフィスで使えるように商品化したもの。シェードは、産地に残る生地見本などを再利用するプロジェクト「FROM LIFESTOCK」の生地を、スタンドの台座は三重県の菰野石という石材を使用。
SAMPLING FURNITURE CONTAINER サンボックス
業務用コンテナとして日常のさまざまな場所で活用されているサンボックスに、高さを出せる台のようなフレームを組み合わせて、新しい使い方を提案。ライフスタイルに合わせていろいろな使い方が楽しめる。
現在進行中の注目プロジェクト
d design travel 最新刊『福井号』
47都道府県、その土地に長く続く「個性」「らしさ」を観光ガイドとしてまとめるプロジェクト。「必ず、自費でまず利用すること。実際に泊まり、食事し、買って、確かめること」を編集方針のひとつに掲げ、地域住民参加型のワークショップを実施。『福井号』は2024年2月刊行予定。
d&RE WEAR 2024 SPRING SUMMER
「洋服の大量廃棄」という社会問題に対し、シミや色あせなどで着られなくなったお気に入りの服を染色して、再びアイテムとして蘇らせるプロジェクト。定番カラー「黒」「紺」に毎回異なる「シーズンカラー」を加えた3色での受付を年2回開催。2024年春夏は灰色がかった黄色が限定色。
D&DEPARTMENT
ロングライフデザインがテーマのストアスタイルの活動体。物販・飲食・出版・観光などを通して「息の長い、その土地らしいデザイン」を発掘&紹介する。
https://www.d-department.com/