転生し、人生のやり直しを繰り返していくドラマ『ブラッシュアップライフ』。主人公の頑張る姿に、人生について少し考えてみた人もきっと多いはず。スタイリストの青木貴子さんが考える今できることとは。
やり直せたら、よりよい人生が待っている⁉︎
少し前にテレビで放送されていたバカリズムさん脚本の『ブラッシュアップライフ』。話題になりましたよね、観ていたひとも多いのではないでしょうか?
コメディタッチでありながら実は感銘を受けるドラマでした。3月に終わったから、いまさらながら感もあるかもしれませんが、今回ちょっと振り返ってみたいと思います。
観ていなかったひとのために、ちょっとだけあらすじ。不慮の事故で若くして亡くなった主人公は、死後の世界で人間以外の生き物への生まれ変わりを宣告されます。その理由は生前に徳を積まなかったから! 他生物への転生を不服に思った彼女は、次回人間に生まれ変われるよう徳を積むべく、死んでしまう前と全く同じ設定の人物として生まれてくるところから人生をやり直す。
前回の記憶を保ちながらの生活はなんでも楽勝!なので、順調に徳を積んだり学業に励んだりとブラッシュアップされた(さらに良く磨き上げられた)2巡目を生きる。が、またもや不慮の死を遂げ…同じ設定の家庭に何度も生まれ変わる。そして同じ轍は踏まないといった具合に、慎重になったり努力を続けた結果、前世と変わらぬDNAを持って生まれてきた同じ設定の人間なのに、どんどん別人のように優秀になっていく。何巡かやり直しを繰り返していくうちに人生の目的も変わってきたり、周りの人物との関係性も変わってきたりと、何しろ壮大なタイムリーパー系なお話。
喜怒哀楽ありの大筋のストーリー自体も素晴らしいのですが、何度も生まれ変わるたびに繰り返されるお約束事件を毎回違った形で解決したり、物語を紡ぐ仕掛けが秀逸! バカリズムさんお得意の「日常あるある」の事象や会話が散りばめられていて、テレビを観ながら「これ、あるある!」って言葉が何度口をついて出たことか。
主人公の幼少期から思春期にかけてが90年代後半以降という設定なので、その当時流行っていたものや(小学生時代のたまごっち、とか)ドラマや漫画がばんばん出てくる。携帯電話で番号を交換するときって、電話同士がくっ付くほど近づけてたっけ、とか。さまざまな面白エピソードも満載でクスッと笑ったり懐かしかったり。
そしてこの「あるある」ですっかりドラマの中の世界に引き込まれちゃう。共有感を感じることで主人公と同調した気持ちが強く芽生える。すると彼女の気持ちをどんどんダイレクトに感じるようになる。「あるある話」は呼水で、それによって主人公への感情移入が深くなるという仕組み(だと思う)。
選択を変えれば未来は変わる
バカリズムさんの術中にまんまとハマってしまったあとは、主人公と同じように人生って何が目的?とか、よりよく生きるってどういうこと?って真剣に思い始めるように。シリアスなドラマではないのに、根底では本質とか、真理ってなんじゃろか?ということまで考え始めちゃいました。何組も別の友人同士の集まりのときにこのドラマの話題になって、どの集まりでもそんな深い会話に結構なりました。みんな面白いうえに、ほろっとしたり、真剣に考えさせられたり本当に見応えがあったねって異口同音に大絶賛でした。
同じ人間(自分)に生まれて来ても志が違えば違った人生になるということを、わかりやすくみせてくれたこのドラマ。やり方次第で人生いくらでも変えられるよっていうエールだったり、いろんな選択肢があるんだよってことをバカリズムさんは暗に言ってくれてるのかなぁと思いました。そうか、明日からでも違った選択をすれば違うゴールに進んでいけるんだと気がついたら、ちょっと勇気をもらったような気になりました。生まれ変わらんでも自分を変えることは今からでもできますものね。
見応え十二分だった『ブラッシュアップライフ』。見逃した方は配信サービスサイトで観られます。8月にはBlue-rayとDVD BOXも販売予定。何回見直しても、まさにループで楽しめる。そしてなぜか前向きに、そして「まっ、いいか」という気持ちにもさせてくれ、人生に肯定感を持てるようになれるいいお話。観ていない方も、観た方にもいまさらながらおすすめの逸品です(笑)。