スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
秋分の日から冬至まで夜はどんどんと長くなっていきます。特に秋分の日から立冬(2021年は11月7日)過ぎにかけて、夜が長くなっていく季節のことを「秋の夜長」と言います。気候も良く、穏やかな夜。今時分はついつい遅くまで夜更かしをしてしまいますよね。世の中はまだいつもの日常ではないから、なんとなくモヤモヤしているというひとも多いみたいです。過ごしやすくゆったりとした時間が流れるこの時季は、カームダウンして自分を見つめたりするのにぴったりな時ではないでしょうか。
ひととは欲深いイキモノである
モヤモヤがあったとしたら、改めて自分を見つめ直してみる。すると意外と普段は気にしないようにしている(ある意味、意識的に!?)、自分の一面を発見できたりします。
自分を評価したり考えたりするときに、ほかの何かを基準にしてしまうことはよくあることです。自己を認知するときにはどうしたって比べる対象が必要になるから。ただそこにある実態を認知するに留めれば問題はないのですが、たまに考えすぎると“他人”や“自己の目標”と今の自分とのギャップに思いが至り、その差に苛まされたりすることがあります。
「あの人と比べて私はここが足りてない」やら、「自分の目標とする未来にまったく届いていない」やら。この発想が出てくると面倒なことになります。足りない足りない、でも欲しい!の“足りないけど欲しい病”になってしまうからです。わかっちゃいるけど落ち込んだり、不甲斐なさに悩んだりといった症状が特徴。秋はいい季節ですが、ここから冬に向かって日も短くなって来るし、寒くなるしで寂しい気持ちになりがち。だからこそ、落ち込んで心を冷やしている場合では無いのです!
ひとは何故、無いものに対して苛立ったり、落ち込んだりするのでしょう。それは人間が単純に欲深いからです(笑)。この欲は収まることがありません。ま、だからひとたるもの、欲を満たすために発展してきたとも言えるので悪い面ばかりではありません。
「足るを知る」VS「無いを知る」
足りないものにばかりフォーカスするのではなく、あるものに感謝しましょうというのが、「足を知る」という考え方。足るを知るは老子の「足るを知るものは富む」という言葉が由来。今あるもので満足することを知っている人は本当に豊かな人間であるという意味。
ひとの感情はフォーカスをどこにおくかで感じ方がまったく変わってきます。足りないことに焦点を当てていると、そこばっかり気になっていつまでも満たされない思いを抱いたまま満足できない。だって無いんだもの、満たされるわけないですよね。絵に描いた餅はお腹に入ってこない。絵餅では空腹は満たされない、それと同じです。
でも目の前にある小さな満足や感謝が積み重なったものは揺るぎない事実として、心を満たしてくれます。この言葉は、自分にとって必要な質と量を見極めることが大切、と説いています。一つの考え方として、とても素晴らしく「ああこれでもいいのだ」と、現状を肯定できるようになります。
しかしながらきっと正直に思うところ「無いもんは無い、いらんもんはいらん、欲するもんは欲しい!」ですよね。現状に感謝しつつ、無いものを欲して満たしていくのが人生の質を向上させる生き方な気がします。だから「足るを知る」の前に「無いを知る」ってことが大切なんじゃないかと思います。無いがわかればそれを埋めるべく動き出すことができるからです。
「無いを知る」と人生が動き出す!?
モヤモヤの原因が何か自分に足りないことだった場合、「まずは自分にはこれが無い」と認めたところから、大きな話ですが人生に変化が始まります。無い物ねだりしていても何も変わらない、無い無いに固執する時間も意識ももったいない。「無いって認める! では有るように変えてやろうじゃないの!」という着目点の転換と、やる気が重要な起爆剤に。無いって事実は変わらないけど、それを受け止めたときからすべてに変化が始まります。「いやぁそんな簡単なもんじゃないでしょう」と言って、何もしないと何も始まりません。こっから先はやるかやらないかにかかってきます。
最近(コロナで社会状況が変わってから)自分の未来を真剣に考え直して、新しいことを始めたり方向転換を始めたりしたひとが周りに多くいます。それこそ、2年前には微塵も考えたり行動したりしていなかったことへの挑戦です。まだしっかりとしたカタチにはなっていなくとも、みんなとても楽しそう。無から生みでた有はとっても力強く発展していくから夢中になれるのかもしれません。
これはどんなことにも応用できます。容姿、環境、お金、仕事、恋愛。自分に無い何かがわかったらこっちのもんです(笑)。そこに至るためには、自分に無いものは一体何なのか? これを真剣に掘り下げることがポイントです。ここに関してはうんとうんと考えて絞り出す必要があります。いちばん大変なのは生みの苦しみ。生んだらあとは育ちます(笑)。
「無から有が生まれる」ビッグバンの威力の凄さ。この私たちが存在している地球だって、無い状態から突然生まれたわけなんですから。これはもう宇宙が示していてくれる、紛れもない事実(蛇足ですが、150億年前、宇宙にあるものすべては1ヵ所に集まっていて、あるときビックバン=大爆発が起きてそれが粉々になり広まって今の宇宙が出来上がったんだそうです)!
無から有を生み出すビッグバンは、魔法のようにすべてを変える現実の法則です。無いを知ってビッグバンを起こし、有るを生み出しましょう!