世界のトレンドをリードしてきたラグジュアリーブランドは日々進化しています。変わらず素敵なブランドの、変化する舞台裏を取材。今回は、業界のサステナビリティを牽引するステラマッカートニーをフィーチャー。
ブレないサステナブル精神
「サステナブル」という言葉をこのブランドから知った、という人は決して少なくないだろう。ステラ マッカートニーは、2001年の設立以来、レザー、ファー、フェザー、接着剤にいたるまで、動物由来のものをいっさい使用しないことを宣言してきた。明日の地球を守るため、人と地球、そしてそこに住む動物たちのために責任を持つことをブランドポリシーとしてきたのだ。
それはもちろん今でも変わらない。より誠実なものづくりを実現するためオーガニックコットンやリサイクルポリエステル、バイオアセテートを早くから採用。また環境や生物に負荷がかかるPVCやアンゴラウール、ヴァージンカシミア、モヘアの使用を禁止した。
ステラ マッカートニーが環境問題に立ち向かい、こだわりぬく姿は当初大変稀有なものだった。しかしながら20年が経ち、多くの人は同ブランドをサステナビリティのリーダーとしてその動向を見守り、真摯なあり方に賛同している。
クリーンなストア&オフィス
ステラ マッカートニーは資材一つとってもその選択に妥協はない。使用されるすべての包装素材は、森林管理協議会により、サステナビリティ認証もしくはリサイクル資源に認定されている。
さらに、母国イギリスのオフィスとストアにはクリーンな風力エネルギーを採用。それ以外の国でもできる限りLED照明や再生エネルギーを使用し、いくつかの店舗はLEED認証も受けている。
ほかにも必要な家具はオークションで入手したり、意識的に地元で入手するなど、外側からは見えない部分でも実直に持続可能性に向き合っている。
誠実な舞台裏に惹かれて
ステラ マッカートニーにはいくつかのアイコンが存在する。なかでも私たちになじみ深いのはチェーンが印象的なバッグ、ファラベラではないだろうか。ファラベラはレザー調に仕上げたポリエステル100%のボディに、何度でもリサイクル可能なアルミニウム製チェーンが光るブランドのアイコンバッグ。ライナーにもペットボトルなどの使用済み廃棄物から再生されたリサイクル素材を使用しているヴィーガン・バッグだ。
ファラベラをはじめ、ステラ マッカートニーにはブランド自体のファンが多い。皆がどこかでものづくりの工程にも誠実な商品を求めていた結果だ。このバッグを手にするとき、私たちはデザイン性の素晴らしさだけではなく、ブランドの背景までも手に入れることができる。知らないうちに見えないストーリーまで含めてのおしゃれを楽しんでいるのだ。サステナブルな舞台裏を知り、丁寧なもの選びをする。それが私たちが今できる“ちょっといいコト”に繋がるのかもしれない。