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TIMELESSPERSON

2025.06.30

「恋愛作詞家」とも呼ばれる小竹正人は思う。恋の相談相手にはものすごく口の堅い人を選ぶべし

さまざまな経験、体験をしてきた作詞家 小竹正人さんのGINGER WEB連載。豊富なキャリアを通して、今だからわかったこと、気付いたこと、そして身の回りに起きた出来事をここだけに綴っていきます。【連載/小竹正人の『泥の舟を漕いできました』】

第39回「恋愛ホラー劇場」

今日も今日とてやってきました、知人からの恋愛相談が。

恋の歌詞を何百曲も書いて、「恋愛作詞家」などと言われることもあるせいか、まあ男にも女にもどちらでもない人にもそれはよく恋愛相談される私。
みんなどうしてそんなに恋をしたがるんだ?と思う一方で、私も不毛な恋愛ばかりをしまくっていたなぁと穴があったら入りたくなる。いや、穴がなくても掘って入りたくなる。

それに気づくまで相当な時間とエネルギーを費やしたが、恋は私にとって厄介以外のなにものでもなかった。
刹那的なしあわせを感じる一方で、心の穏やかな部分をやすりで擦られ、自分が自分じゃなくなり、仕事にも私生活にも影響しまくり。安らぎと不安がいったりきたりギッタンバッコン。この相反するシーソーゲームに私はいつも疲弊していた。

一番嫌だったのは「嫉妬」である。昔から私は、人間の持つ感情で一番醜いものが嫉妬だと思っているのに、恋をしているとそれを常に自分が握りしめていることが本当に面倒だった。もう恋なんてしないと思うのも束の間、いつだって前ぶれもなくやってくる恋にまたまた翻弄され、なぜ性懲りもなくまた恋に溺れるのか?と自分にうんざりし続けた数十年。

何十年もの付き合いの小泉今日子氏と飯島直子氏、この2人だけに私はいつも恋愛相談をしていた。

優しくて冷静で聞き上手の2人に、昼夜問わず不安やネガティブな妄想をぶちまけ、ときに八つ当たりをして、…恋愛相談なんかじゃないな、「世にも奇妙な恋愛ホラー小竹劇場」を2人に見せていただけだな。
アドバイスなんていらないから、もう何が何だか趣旨がまったく見えない私の恋愛話をただただ聞いて欲しかった。2人ともよくぞ我慢して聞いてくれたもんだ。恋に盲目になっているときの私って相当ウザくて怖かっただろうなあ。

いつだって突然、ジェットコースターのように始まる私の恋愛に閉口しながらも、その恋愛が終わるたびにただ一言「おかえり」といってくれていた2人。今世ではもう恩を返しきれないので来世で恩返しをさせていただきたい。
ちなみに、今日子には「恐怖の恋愛暴走特急」と名付けられていたし、直子には「かなり重症の恋愛疾患」と言われていた。

ただただ恋を謳歌して、ただただバラ色の恋愛生活を送る人もたくさんいるのだろうが、私は結局のところ恋愛にものすごーく不向きな性分なのだ。

そんなこんなで40代前半のある日、ハタと「恋愛はもう要らないな」と思い立ち、友人知人に「もう余生で恋愛はしない!」と宣言し、きっぱり恋から卒業した。それからもう恋はしていない。しなくていい。

って、私からしたら大人でもなく子どもでもなく、身も心も人生で1番美しい時期を過ごしているようなGINGER読者の皆様に、とんだ恋愛ホラー体験記のようなものを読ませてしまったが、あくまでも私の恋愛模様がカオスで恐怖なだけで、私の周りには羨ましいくらい素敵な恋をして充実した人生を送ってる人が山ほどいる。ご安心を。

あっ、恋愛を地獄だったとしか思っていない私を気の毒がっているそこのあなた! 心配しないでください。おぞましい思い出がみっちみちに詰まった引き出しを開けて歌詞を書くことがまさかの私の生業になってます。もはや現実だったのか妄想だったのかわからなくなった私の過去の恋愛たちは、おそらくあの曲やこの曲で成仏されました。

前述の小泉氏と飯島氏が共演する国宝級ドラマ「続・続・最後から2番目の恋」を見終わり、何があっても人生は続いていくんだな、たとえホラーな過去でも自分次第でそれを糧にできるんだな、と悟りをひとつ開いてもらったような心持ちになっている私(おめでたい)。
その私が今日恋愛相談してきた相手に返した言葉は、「恋愛の悩みって誰か聞いてもらうとちょっとだけ楽になるからいくらでも聞くけど、恋をしているのは自分だから、結局自分で解決するしかないよ」である。

ちなみに相談相手にはものすごく口の堅い人を選ぶべし。誰かに相談して、その誰かがベラベラと周りに広めたら、恋がかわいそうすぎるから。

What I saw~今月のオフショット

恒例のDream会。同じ年に同じ事務所に所属したLDH同期の(左から)Aya、Ami、Shizukaは私を「おだちゃん」と呼んでくれる稀有な存在。E-girls、Dream、それぞれのソロ曲、この3人は何十曲も私の作詞曲を歌ってくれています。ちなみにこの日、恋バナはほぼなし。しかし相変わらず喋りっぱなしの笑いっぱなし。Dream会は死ぬまで続行予定。

これまた恒例の佐藤晴美との近況報告会。予定がなかなか合わず、この日はまさかの朝活(朝食会)。晴美が大人になればなるほど価値観がどんどん私と似てきて、年齢差もなんのその、とにかく話が合う。近々、大きなプロジェクトを控えている晴美を私なりに精一杯応援したいと思っています。有意義な朝活、おすすめです。

小竹正人(おだけまさと)
作詞家。新潟県出身。EXILE、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、E-girls、小泉今日子、中山美穂、中島美嘉など、多数のメジャーアーティストに詞を提供している。著書に『空に住む』『三角のオーロラ』(ともに講談社)、『あの日、あの曲、あの人は』(幻冬舎)、『ラウンドトリップ 往復書簡(共著・片寄涼太)』(新潮社)がある。

TEXT=小竹正人

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