世の中に、これだけ多くの服や靴があふれているなかで、何を選んでどう着るか。それは、自身を表現する手段であると同時に、心の浮き沈みを司る一生の命題。寝ても覚めてもファッションを愛するOMMOディレクター 荻原桃子さんが本音で語る、服との向き合い方とは?
服に妥協したくないから。新天地で始動させた次なる挑戦
20代前半から服ブランドをプロデュースし、時代を牽引し続けてきた荻原さん。2023年秋冬シーズンからは、新天地で自身のブランド「OMMO」を立ち上げた。新たなステージへと突き動かされた理由は何だったのか。
「鎌倉へ移住したことが大きいですね。何年も迷っていたのですが、子供が小学校へ入学するタイミングで引っ越しました。どうせ移るなら、この土地でできる新しいライフスタイルを自分なりに提案してみたいと思って。もうすぐ40歳になるので、この節目に新たな挑戦をしてみたいという想いもありました」
これまで手がけていた人気ブランド「アンスリード」とは何が違うのだろうか。
「好きなものは変わっていないんです。大きく違うのは、車にも乗るようになったし、スニーカーも履くようになって。そういうときにちょうどいい丈感だったり、ナチュラルメイクでも違和感のないラフさだったり…この土地の空気になじむ服を作るようになりました。ただルーズに作るのではなく、私のなかのモードのフィルターを通して、自然豊かなこの環境にギリギリ溶け込める服を提案しています」
アクティブシーンにおけるモード感と機能性の両立という、新たなフィールドへと舵を切った荻原さん。これまで出産や育児などを通してライフステージが変わるなかで、自身のファッション観に変化はなかったのか尋ねてみた。
「若いころのようにたくさん重ねて、というのはちょっと疲れたなっていう気持ちはあるんですよね。ただ、ラフな素材一枚でもある程度キマることを裏コンセプトとして作ってきたので、実はちょっとサボっていても周りからは手抜きに見えないんだと思います。子供がいても行動範囲が変わるだけで、好きなものをあきらめる必要はないから。いかにシーンに溶け込みながら、妥協のない服を着ていられるかを考えてきたのかもしれません」
自身のライフステージや手がけるブランドが変わっても、生活の軸を成すファッションへの愛は、この先もブレることがなさそうだ。
※掲載アイテムはすべて本人私物のため、ブランドへの問い合わせはご遠慮ください。
荻原桃子(おぎはらももこ)
OMMO ディレクター。これまで複数のブランド発足に携わり、2023年秋冬から新ブランド「OMMO」をスタート。鎌倉在住。
Instagram @momokoogihara