今の美容業界を支え、牽引し続けている女優・田中みな実さんに、「おしゃれとメイク」「美しさを滞らせないための秘訣」について、特別に語っていただいた。
定番メイクを手放すと、“次の顔”が見えてくる
30代後半に足を突っ込んだ私が、このところ心がけているのは「メイクとファッションの新陳代謝」。ベージュやブラウントーンの使い慣れたアイシャドウパレットばかりを買い集めてしまうなら、新作は思い切って、やや難易度の高いイエローや水色のラメが入ったドキドキするパレットを迎え入れてみよう。
すると、
「さて、どう自分の目元に落とし込む?」
と、試行錯誤が始まります。
メイクが変わると、いつもの服がどこか物足りなく感じ、むくむくと物欲が湧いてきます(笑)。
定番モノにだって毎年流行があり、似たような服でも“今年っぽい”アイテムに惹かれてしまう。今季は襟元のデザインやデコルテの開き具合、丈、色味など、普段は選ばないようなテイストの服に目が留まりがち。最旬パレットの小さな冒険心が、全身へ波及して、新しい自分を作り出す。
こんなふうに、メイクやファッションに意識的に“刺激”を与えてみることしています。
だって、
「いつまでも自分に飽きたくないじゃない?」
つまり「新しい自分」と出会えるチャンス
お世辞にも、若いとはいえなくなってきた。けど、ミセスというわけでもなく、その過渡期にいる私たちのメイクやファッションは案外難しい。今まで通りでは“若作り”と揶揄され、年相応を目指せば“老ける”らしい。でも、それはなんとなく肌で感じていて、何年も着ていたお気に入りがどうにもしっくりこなくなり、手放すことが最近増えた。気付けばクローゼットの中の半分以上の洋服とお別れをした。
しかし、その空いたスペースに心が躍る。新しいアイテムを迎え入れる余裕ができたから。つまりそれは、「新しい自分」と出会えるチャンスの訪れ。
ファッションアイテム選びにこだわりがあるとすれば、“肌写り”。その服が肌を美しく見せてくれるかどうか、それだけは譲れない。どんなに素敵な色でも肌をくすませてしまうものはどうせ着なくなるから、潔く諦めます。
買い物のときに身につけていくランジェリーも実はとても重要で、下着は別名ファンデーションガーメントとも称されるように、ボディの土台となる大切な役割を担っています。つまり、何をつけるかで服のシルエットが大きく変わる。一度、トレーニング帰りにふらっと寄ったセレクトショップで購入した服を、翌日着てみると何かが違う。スポブラで試着したから見え方が違ったのだと反省。ヌーブラのときも同じように注意が必要。
メイクはもっと自由でいい
メイクとファッションはアンバランスが気分。ブラックスタイルには濃いめのリップを引くのが私の中では定番だけど、あえてヌーディなコーラルあたりで、ふっくらあどけない口元を作ると、色っぽい。唇に印象的な色味をのせる日は、目元を無垢に。色は入れずに濡れたような質感だけを楽しむのも最近好き。マスカラもアイラインもシェーディングも、MUSTじゃないんですよね。メイクはもっと自由でバリエーションがあって良い。
何年か前の撮影でハッとさせられることがあって。衣装はドレッシーなのに、仕上がりは限りなくメイクレス。ヘアもニュアンスを残した程度のナチュラルなダウンスタイルで全体に超シンプル。なのにドレスに負けない圧倒的な存在感に息を呑みました。プロフェッショナルの巧みな技により作り出された究極の抜け感と、計算し尽くされたアンバランスが絶妙で、どんなヘアメイクで武装するよりも美しかったんです。
「今日、なんか違うね」は、最上級の褒め言葉
こんな風に、メイクもファッションも、思い込みを払しょくすると、その先に新しい何かが見えてくるのかもしれない。客観的な視点はそれなりに大切にしながらも、過去や常識にとらわれるのをやめてみる。「今日、なんか違うね」の誰かの指摘を最上級の褒め言葉として受け取って「そうなの! いいでしょう!」と胸を張る。私は明日、初めて買ったインポートブランドのシャツに袖を通すから、アイブロウにほんのりピンクのパウダーを忍ばせて、いつもとは違う自分を楽しむの。
田中みな実
コスメ愛を探究する美容賢者の地位はもはや不動。放映中のドラマ「ボーイフレンド降臨!」では12才差のトライアングル・ラブコメディが早くも話題に。