美容家・神崎恵さんの心の機微を綴る連載「Megumi’s Mirror」。今回のテーマは「がんばること」。
vol.8 “がんばり星人”も悪くない
今も昔も、がんばることが好きです。
なんとなく、最近は「がんばる」という言葉が敬遠される、時には否定されるような風潮を感じています。
それでも、だれがなんと言おうと、私はがんばることが好き。
歯をくいしばって、しんどいとか、つらいとか弱音ひとつはかず、寝る間も惜しんでがんばる。がんばるというと、そんな昔の“スポ根”アニメやドラマを思い浮かべる人もいるかもしれません。ちなみに、ジンジャー世代は、スポ根の意味、わかるのでしょうか? スポーツ×根性、の合成ですが、今、「苦しくても、悲しくても〜」という有名な歌(バレーボールのスポ根アニメ「アタックNo.1」の主題歌)が思い浮かんだ方、同世代です(笑)。
話がそれました。がんばると言っても、がんばり方は人それぞれです。必死でもがく様子や疲れた姿を見せる人もいれば、表面的には涼しい顔をしているけれど、見えない足元ではジタバタともがいている人もいる。
20代の人気YouTuberの方が、こんな感じのことを言っていました。
「トップを獲るために、戦略や情熱はもちろん必要だけど、やっぱり、努力するしかない。がんばり続けた人にしか見えない景色があると思う」
これを聞いたとき、がんばることに、世代や時代は関係ないと実感しました。
私は、美容という仕事柄、そこには夢やキラキラが詰まっていると思うから、滝汗をかきながら、ひとりでもがきあがく姿は見せません。
「仕事もして、子育てもして、プライベートも充実。本当に3人も子育てしているなら、お弁当も夕食もあんなに手の込んだものは作れないはず。金銭的にもサポート的にも、神崎さんのような余裕がある人だからできること」
SNSで日々発信をしていると、ときどき、こういうご意見もいただきます。
いやいや、舞台裏は火の車ですよ! 余裕なんて1ミリもありません。そう言いたい気持ちをぐっとおさえて、深夜、大好きなマッコリを片手に、トッポギをつまみます。決して、ため息はつかずに。
ミッキーマウスだって、あんなに忙しいのに、絶対に疲れを見せないでしょう? ミッキーが「あぁ、疲れた…」って大きなため息をつく姿を見たら、多くの人はがっかりするはず(ちょっと見てみたい気もしますが)(笑)。
とにかく、がんばらないと手に入れられないもの、がんばった人だけが見ることができる世界は絶対にあります。
とくに、30代はがんばりどきだと思います。結婚や出産、昇進や転職、ライフイベントが目白押しの世代ですが、ここでふんばって“がんばった貯金”をしておけば、40代、50代と心と体の筋力が少しずつ低下するときに、必ず助けてくれます。
じわじわと、その貯金が効いてくる。これ、本当です。
「がんばり続けていると、いいことがあるよーっ!」。そう、昔から“がんばり星”に生きる“がんばり星人”の私は、大きな声で言いたい。
「私、なんでこんなにがんばってるんだろう…?」と、泣きたくなる夜もあります。
でも、その涙はムダじゃない。がんばることはダサくない。夢や目標にむかってひた走ることは絶対にカッコ悪くない。泥臭くても汗臭くても、涼しい顔でも、がんばることで「自分を信じる力」は確実に育ちます。
なんだか今回は説教臭くなってしまったな… 。でも、こんな時代だからこそ、言いたいんです。「がんばり星人も悪くないよ」って。
神崎恵の【Megumi’s Mirror】をもっと読む。