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MYSELFウェルネス

2025.05.23

一歩踏み出す勇気をくれる「自分を信じる気持ち」の育て方

“わたしの心地よさ”を基準に行動することが、ウェルビーイングに生きるカギになる。そのために、もっと自分自身を知る=自分のトリセツを手に入れませんか? 保健学博士の島田恭子さんがナビゲート。【連載「自分学 わたしのトリセツ」vol.28】

「わたしにもできる!」を信じるチカラ

新学期が始まり1ヵ月が経ちました。
私が講師で伺う大学でも、この間まで高校生だった、ピカピカの1年生たちがたくさん! 開講中の「コミュニケーション」の授業では、443人の受講生たちが、キラキラした目を輝かせ、授業を聴きに来てくれます。そんな彼らに「最初の授業で、何を伝えようか…」考えに考えました。その結果お伝えした、「”私にもできる!”を信じるチカラ」について、今回はご紹介してみたいと思います。

「なんだか自信がないな…」「私に本当にできるのかなぁ」——そんな不安が心をよぎったとき…。ちょっと立ち止まってしまいますよね。

でも、そこで一歩、踏み出す勇気をくれるのが、心理学でいう「自己効力感(Self-Efficacy)」という心のチカラです。
自己効力感というと、ちょっと難しいですが、簡単にいうと「私ならできる!」という、感覚のこと。この自己効力感が高い人は、新しいことにチャレンジするときにもあまり躊躇せず、困難な状況でも粘り強く取り組むことができます。

もう数十年以上も前に、アルバート・バンデューラ博士によって提唱された自己効力感、私たちの行動や感情にとても大きな影響を与えることがわかっています。

自己効力感ってどうやって高まるの?

自己効力感が高い人と低い人、その差はどこから生まれるのでしょうか? これからご紹介する4つの要素が、深く関わっているんです。

1つ目は「成功体験」。
これまでの人生で「できた!」という経験を積むことが、自己効力感を高める方法です。たとえ小さなことでもいいんです。”自分の力で”何かを達成した!という経験が、「私にはできる」という確かな自信につながっていくんですね。
これは行動科学でも「達成行動」といって、成功の積み重ねが私たちの脳内の報酬系を刺激し、ドーパミンが放出されることで、さらなる挑戦意欲が高まる、という好循環のメカニズムが、研究で明らかにされています。

2つ目は「代理経験」。
自分に似た誰かが頑張って成功している姿を見ると、「私もがんばるぞ」とか「自分もできるかも」と勇気が湧いてくること、ありませんか。例えば友人や家族が目標を達成している姿を目の当たりにすると、自分の可能性も信じやすくなります。これは博士の”社会的学習理論”の中心的概念であり、人間が模倣を通して多くを学ぶという心理学的根拠に基づいています。

3つ目は「言葉の力」。
「あなたならできるよ!」とか、「やってみよう!」と励ましてくれる人がまわりにいると、やる気が沸いてきたり、自然と自分自身への信頼感も高まります。
自分が自分にかける言葉も大切! 自分自身に向けてポジティブな言葉をかけ続けると、徐々に自己効力感が育っていきます。この連載でも、リフレーミングという言葉、学びましたね。

そして4つ目は「気持ちの状態」。
心が落ち着いてリラックスしているときほど、「私にもきっとできる!」という自信が生まれやすくなります。逆に緊張していたり、不安が強い状態だと、自己効力感は弱まってしまいます。自律神経のバランスを整えておくことはとても大事。睡眠をたっぷりとり、いつも心と体を良い状態に整えておくことが、自己効力感を高めるのに必要なのですね。

自己効力感の効用

自己効力感の効果は、さまざまな研究が明らかにしています。心理学の分野では、自己効力感が高い学生ほど難しい課題に果敢に取り組むことで成績が良くなることが示されていますし、職場でのパフォーマンスやキャリアの成功にも大きな影響を与えるとされています。自己効力感が高い人は、自分の目標達成のために、主体的に行動し、問題に直面しても柔軟に対処する力があるからです。健康科学の分野でも、慢性疾患をもつ患者さんが自己効力感を持つことで、治療に積極的に参加したり、健康的なライフスタイルを持つようになることが分かっています。

日常生活で自己効力感を高めるには?

それでは自己効力感を日々の生活のなかで少しずつ育てていくには、どうしたらいいのでしょう? 先ほどご紹介した自己効力感の源となる4つの要素に連動して、私たちが今日からできる、小さな4つのヒントをお伝えしておきましょう。

まずは「小さな成功」を積み重ねていくこと

大きな目標を掲げることも重要ですが、それをいきなり達成しようとすると、途中で挫折してしまいがちですよね…。まずは小さな目標を一つずつ、クリアしていくことから始めます。
例えば、「毎日10分だけ読書をする」「週に1回だけ軽い運動をする」「週末は新しい料理に挑戦してみる」などなど。本当に小さなことでいいんです。小さくてもこの成功体験は、私たちの脳内の報酬回路を刺激し、「自分はやればできる」という感覚を少しずつ強化していってくれます。細かく達成感を感じることで、次の行動へのモチベーションが生まれ、気づいたら継続的な行動につながっていくんです。目標を達成したら、自分をしっかりと褒めてあげてくださいね。

次に自分のロールモデルを見つける」こと

私たちは、自分と似たような状況にある人が、困難を乗り越え、目標を達成するのを見ることで、「自分にもできるかもしれない」と感じることができます。身近な人だけでなく、メディアで活躍する人など、いろいろな理想のロールモデルを探してみましょう。その人がどのように考え、どのように行動しているのかをつぶさに観察し、具体的にどのような点が自分にとって共感できるか、を見つけていくことがポイントです。共感できる部分を、少しずつ、自分の行動にも取り入れてみましょう。こうしてロールモデルの成功体験を追体験することで、自己効力感を間接的に高めていくことができるんです。ただし、ロールモデルはあくまで参考であり、完全に同じようにする必要はないことをお忘れなく。自分のペースで、できるところから、見習っていくスタンスで、やってみてくださいね。

さらに「言葉を意識する」こと

私たちが普段使っている言葉は、私たちが思っている以上に考えや気持ちに大きな影響を与えています。ネガティブな言葉ばかりを使っていると、自己肯定感が低下し、自己効力感も損なわれてしまいます。意識的にできるだけ、ポジティブな言葉を使うように心がけましょう。
例えば、「どうせ無理だ」ではなく「やってみよう」、「失敗したらどうしよう」ではなく「うまくいったらラッキーだな」といったように。言葉を言い換えるくせをつけていくと、少しずつ気持ちも変わっていきます。また、目標達成をイメージしながら「私はできる」「いつか成功する」といった肯定的な自己暗示(アファメーション)を取り入れることも有効です。朝晩の習慣にしたり、通勤中、散歩中につぶやいたりすることで、自己効力感を段階的に育てていくことができます。言葉の力は、私たちが思っている以上に大きいのですよ。

最後に心身のメンテナンス」

自己効力感は、私たちの心身の状態と深く結びついています。私は軽い風邪を引いただけでも、気持ちが後ろ向きになることを感じます。心身が疲れている状態では、なかなか前向きな気持ちを持ちづらいのは、皆さんも体験済みなのではないでしょうか。日常生活でストレスを溜め込まないように意識し、自分に合ったリラックス方法を見つけて実践することが大切ですよね。この連載でも常々お伝えしている、お散歩など軽い運動や十分な睡眠、バランスの取れた食事も、心身の健康を保つ上で欠かせませんのでぜひ取り入れてみてください。

「わたしはできる」を信じて

「自分ならできる!」っていう自信。もちろんこれは、生まれた時から決まっているんじゃなく、日々の体験でどんどん育てていけるものです。だから、毎日の小さな成功体験を積み上げ、自然と自信をつけていく、というプロセスが重要なんですね。

なにか難しいことにぶつかったとき。すぐにあきらめる前に「とりあえず、ここのこの部分だけちょっとやってみようかな」と軽い気持ちで動き出してみる。たとえ小さなことでも、出来た!っていう実感があるとそれが自信になり、次のステップに進むモチベーションにつながります。自己効力感を高めていくと、目標を達成できるだけでなく、毎日の生活自体がもっと楽しくなりそうです。自分を信じて積極的に行動することで、新しい可能性が広がったり、達成感を味わえる機会が増える。「私なら大丈夫」を積み重ねて、いつか、何があっても前向きに進んでいける、しなやかな自分を、手に入れたいですね。

参考文献
・Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. W.H. Freeman and Company.

・Schwarzer, R., & Jerusalem, M. (1995). Generalized Self-Efficacy scale. In J. Weinman, S. Wright, & M. Johnston (Eds.), Measures in health psychology: A user's portfolio (pp. 35-37). NFER-NELSON.

・Maddux, J. E. (2009). Self-efficacy: The power of believing you can. In S.J. Lopez & C.R. Snyder (Eds.), Oxford Handbook of Positive Psychology (2nd ed., pp. 335-343). Oxford University Press.

島田恭子(しまだきょうこ)
予防医学者・保健学博士。医学や心理学の知見を、女性のウェルビーイングに役立てたいと活動中。(社)ココロバランス研究所代表。
https://customer-harassment.org/kyokoshimada/

TEXT=島田恭子

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