「あれ、今何しようとしてたんだっけ?」…あるあるなこの症状、実は脳の疲労の表れかもしれません。あなたの脳をセルフチェックしてみましょう!
うっかり、不眠、イライラ…それは脳のSOSかも
こんな症状はありませんか?
- ぐっすり眠れない
- 何だかイライラしている、あせっている
- 頭痛に悩んでいる
- 名前が出てこないなど、記憶力が下がっている
- うっかりミスが多いなど、集中力が低下している
- めまいがする
- 不安感がある
- 仕事のパフォーマンスが落ちている
- 周りが見えない、感情の起伏が激しい
3個以上当てはまったあなたの脳は、ストレス社会、新しい生活様式、そして何よりスマホ中心のデジタルライフで、疲弊しているのかもしれません。
それでは、どうすればいい? 銀座内科・神経内科クリニック院長の霜田里絵先生に聞きました。
新しいことを始める気力はありますか?
――そもそも脳が疲労していると、どんな症状が表れるのでしょうか?
「上記のチェックリストにもあるように、脳が疲れている方の症状は、本当にいろいろなのです。例えば『物覚えが悪くなった』という方にしても、『新しいことが覚えられない』とか『前のことがポンと抜けている』とかさまざま。ただ皆さん、記憶力がまだらに悪かったりしますね」
――一時期脳トレがブームになりましたが、脳を休ませるのとは真逆の発想ですよね。
「脳のコンディションを良くしていくにはアクセルも必要だし、ブレーキも必要。特にアラサーはトレーニングよりも、休ませることに比重を置いたほうがいいと思います。肌や体は未来のために投資したりするケアもありますが、脳は現在(いま)が大事なんです」
――では逆に脳が元気なときとはどんな状態なのでしょうか?
「仕事がはかどるとか、心に余裕が出てくるとか。きっと自分で気付くと思いますよ。新しいことを学ぼうかなと思ったら、それは脳の状態が良くなってきたというサインだと思うんです。疲れていたら新しいことをしようなんて気力はありませんからね」
今がスマホ使いを見直すとき!
――やはりスマホが脳の疲労の原因になっているのでしょうか?
「アラサーで『物覚えが悪い、脳疾患じゃないかしら?』と疑ってクリニックにいらっしゃる方も結構多いんです。『睡眠をちゃんととっていますか?』と聞くと、とれていない。その理由として『寝る直前までスマホを見ていませんか?』と聞くと『そうなんです』と。それでは脳も疲れがとれません。ただ、本人はスマホが理由だとはまったく思っていないのです」
――スマホにはいい面も悪い面もありますよね。
「便利な面もあるし、良くない面もありますね。電車でもみんなスマホを見ていますが、以前はこんな光景はありませんでしたし、情報のインプット、アウトプットのバランスは人それぞれなんですが、スマホの見すぎは間違いないですよね。スマホが出てきたのは、人間の長い歴史のなかでつい最近。脳がスマホに適応できているかは疑問ですし、スマホによって脳の使い方もちょっと変わってきているような気がします。スマホがないライフスタイルはもう考えられないですから、これからはそれとどう付き合っていくかというのを習っていかないといけない気がします」
――成熟しているアラサーの脳。脳の疲労によって今後は衰えていく一方なのでしょうか?
「運動、食事など生活習慣を見直し、脳を休ませることを意識すれば、脳のコンディションは確実にアップします。また脳は鍛えると新しい細胞ができるということも報告されていますし、何歳になっても何かをすることによって、脳は成長できるんです。特に30代なんて敵なしです。ただアラサーは自分を磨く努力をする人としない人の差が大きくついてしまう世代。前向きに美しい人生を歩めるように、脳を休ませる習慣を始めましょう」
どうしたって脳が疲れてしまう時代。一日のなかで脳を休ませる習慣を取り入れるには? 次回は霜田先生に、日常のなかでできることを伺っていきます。
霜田里絵(しもださとえ)
銀座内科・神経内科クリニック院長。医学博士。日本神経学会専門医であると同時に、日米の抗加齢医学会の専門医の資格も持ち、脳とアンチエイジングを専門とする。