あの人きれいだな、かわいいなと思うとき、人は口もとを見ていると言います。美しさやかわいらしさの印象を決めるのに、口もとが重要な役割を果たしています。さらに健康にも大いに関係があります。「美容、健康のために、口もとが9割の役割を担っている!」という歯科医師の石井さとこ先生。口角が左右均等にキュッと上がった美しい口もとをつくる方法を伺いました。
口の動かし方が全身の健康のカギ!
「口をきちんと動かしているかどうかが、全身の老化のカギを握っています。
私たちの表情を印象づけるのは口もとです。口角が左右均等にキュッと上がっている口もとは、好感度が高くて、前向きな印象に見えます。自分では思い切り笑顔をつくったつもりでも、への字の口角では、老け顔で寂しい印象が残ります」と石井さとこ先生。
そういえば、話すときに滑舌が悪くて、ペチャペチャ音を出して話す人がいます。見た目は若くても、話しているときにこの音が聞こえると、年齢がずいぶん上に感じます。
「ペチャペチャ音は、唾液の量が減って、口の中が乾燥することが原因です」(石井先生)。
美しい口もとは、唾液の量と質も変える!?
美しい口もとで笑うには、口腔内が健康であることも大切。今、口腔内の健康は、糖尿病や認知症、うつ、腸内細菌、免疫など、さまざまな全身の健康に影響していることが研究の最先端でもわかってきています。
「たとえば、前歯が欠けていたり、歯周病があったり、口腔内の不調をもっていると、笑顔がぎこちなくなり、不安そうな、不機嫌そうな口もとになるのです。不安な口元だと、セロトニンなどの幸せホルモンの分泌が低下し、口腔内の不調や心身の不調にもつながります」(石井先生)。
歯科に通って、歯の色を明るくしたり、歯周病を治療したり、虫歯や欠けた歯の治療をすることで、気持ちが前向きに変化。舌やくちびるの動きが良く、口をきちんと動かして食事を噛み、滑舌(かつぜつ)よく言葉を話し、自信をもって笑えます。
唾液もしっかり出ます。唾液の量と質は、全身の健康に大きな影響があることもわかってきました。唾液は、量だけでなく、サラサラな質の良い唾液を出せることが大切。
そのためには、舌や口周りの筋肉をきちんと動かせるようにしておくことが重要です。
滑舌の悪さや顔たるみに影響する“舌骨筋”の衰えとは?
「のど仏の指1本分上にある、骨を支えているのが舌骨筋(ぜっこつきん)。この舌骨筋の衰えが、滑舌の悪さや顔のたるみにもつながります。
舌の位置は、舌先から根元まで上あごに付いているのがベストな状態です。この位置が下がって、下の歯や下あごに付くようになると、滑舌が悪くなり、顔のたるみにもつながってしまうのです」(石井先生)。
つまり、舌骨筋もほかの体の筋肉同様、老化で弱くなるので、鍛える必要があるのです。
舌骨筋が衰えると、舌骨の位置が下がり、咀嚼(そしゃく)する力やものを飲み込む力が弱くなってしまいます。すると将来、誤嚥(ごえん)性肺炎などにかかりやすいリスクが上がります。
舌骨筋を鍛える「舌アップエクササイズ」
「今は、小顔がもてはやされていますが、小顔の人は、あごが小さく、舌があごにおさまりにくくなります。ですから、舌やあごの力も弱くなる傾向があり、二重あごになりやすいのです。そうならないために、舌骨筋のエクササイズをしましょう。舌骨筋を鍛えるには、“舌アップエクササイズ”がおすすめです」(石井先生)
舌全体を上あごの裏、前歯の裏につけたまま、口を開けたり閉じたりを5回繰り返します。これはインナーマッスルである舌骨筋を刺激する働きがあるエクササイズ。あごが疲れてくるのを感じたら、効いている証拠。
ふだん使わない部分をストレッチするので、最初は難しいですが、このエクササイズをすることで、舌骨筋に連動して舌の動きが良くなり、口もと周りの血流もアップして顔のたるみを防いでくれます。
舌を正常な位置に戻しリフトアップを図る“舌回しで口みがき”
「舌を正常な位置に戻して、鍛えるには、“舌回しで口みがき”がおすすめです。方法はとても簡単。舌を上下の歯の表面を滑らせるようにグルグルと回すだけです。
難しければ、歯茎全体を舌で左右に行ったり来たりするだけでも十分です。真面目に行うと、かなり疲れて、ふだん舌を動かしていないことに気がつきます。
舌の動きが刺激となって、唾液がたくさん分泌されます。口もと周りを鍛えてフェイスラインを引き上げる効果もあります」(石井先生)。
全身の健康と美しい口もとづくりには、毎日のケアが大切ですね。
お話を伺ったのは…
ホワイトホワイト ルミネ新宿店
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