キレイになるためには外側からのケアだけではなく、気持ちのメンテナンス、意識革命も重要です。
美容業界でも絶大な信頼を集める美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、独自の視点で「いい女」に近づくためのヒントをお届けします。
マスクに教えられた顔立ちの力学。人は相手の目を見ているようで見ていない?
こんなことってないだろうか? 何度も会っている人なのに、マスクしていると声をかけられても誰だか全くわからずに戸惑うこと。逆に声をかけたのに、誰?って顔をされたこと。声をかけた方は、いくらマスクをしていたってわかるでしょうにと思う。しかし、わからない人は本当にわからない。髪型を頻繁に変える人や声にあまり特徴がない人は、想像以上に、存在が消えてしまう。一体誰?と思われがちなのだ。
人間は人の目を見ているようで、実はあまり見ていない。どんなにアイコンタクトしていても、目の記憶はあまりない。顔写真においてプライバシーを守るための黒い帯が、目元に置かれるのは、あくまで写真だから。動画だったら、口元を隠さないと誰だかわかってしまう。マスクは表情も伝えないからこそ個性が消え、存在を隠すのにはぴったりなのだ。
「顔の美醜は、目元でなく口元が決める」という法則もその裏付け。口元の主張が強い分、目元の役割は薄くなるのだ。
じゃあ私たちは、なぜこんなにアイメイクに必死になるの? ふと不思議に思うけれど、逆に言えば、口元をいくらメイクしても美しさの評価が変わるわけではない。目元ならばいくらでもメイクでいじれてしまうから、美しくなる絶対の決め手はやっぱりアイメイクなのだ。そういうふうに目元はいくらでも変えられるからこそ、その人であるという証拠にはならないのかもしれない。マスクに教わる顔立ちの力学。思いがけないこの学び、明日のメイクに生かしていきたいもの。