フリーアナウンサーの青木源太さんによる美容×コミュニケーションにまつわる連載。第5回目の今回は、テカリについて。
vol.6 テカリ抑えられてる顔選手権
僕が人生で初めて買った男性化粧品は「メンズビオレ」で、中学1年生のときだった。
それまでは顔を洗うことはあっても、洗顔料までは使っていなかった。部活の先輩が「俺くらいになるとメンズビオレで顔を洗わないと寝られないよ〜」と言っているのがやけにカッコ良く見えて、お小遣いを握りしめて僕もすぐに買いに走った。とはいえ、思春期特有の恥ずかしさもあり、家族にはしばらく言えず、最初のうちはお風呂に入るときにこっそり持ち込んで洗い、お風呂を出たらまた自分の部屋にしまい込んだりもしていた(バカバカしくてそれはすぐにやめたけど…)。
大人になってからの僕は、いわゆるオイリー肌で、顔が脂ですぐにテカるタイプだった。男性アナウンサーもTVに出演する際はメイクをするのだけれど、特に仕事で長時間の収録をしていると、鼻やおでこを中心にまるで油田のように皮脂が溢れ出てくる。それがスタジオのライトに照らされるとテッカテカに見えて、違和感を覚えるくらいだ。
テレビ出演用のファンデーションはテカリやすいと聞いたこともあるし、何より照明も多く当たるので、合間合間に「テカリを抑える」という作業が必要になる。1時間を超える生放送であればCM中にスッとメイクさんが入ってきて出演者の顔のテカリを手際良くパフで抑えていく。その際、メイクさんが抑えやすいように鼻の下をそっと伸ばす人もいれば、無防備に顔を突き出し気持ち良さそうに身を任せる人もいる。
実は僕はこの作業を遠目で見ているのが好きだ。どんなに強面で鳴らしている男性芸能人や舌鋒鋭い論客も、このときばかりは無防備で可愛く見えてくるから不思議だ。
テレビで流れる機会はほとんどないこの表情。いつか「テカリ抑えられてる顔選手権」として特集して欲しいと思っている。
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