恋愛、仕事、結婚に家族や病気…。30歳前後は、常にたくさんの悩みがつきまとい決断することも多いタイミングです。それぞれのテーマで、「する前」と「してから」を取材。今回は、子宮の病気について山田ゆかりさん(仮名 40歳/広告系勤務)に聞きました。
File1. 子宮の病気、する前としてから
「毎日仕事で忙しくしていたら、あっという間に40歳。その時々で彼もいましたが、いざ結婚、となると踏ん切りがつかなくて」
そんな山田ゆかりさんが、子宮頸がんの前段階だと判明したのは35歳のとき。経過観察のため3ヵ月毎に通院をすることに。
「医師も出産できる体のままで、と言ってくださり安心しました。もともと“絶対子供が欲しい”とは考えていなくて。むしろ『デキたらどうしよう』と心配するくらい。でも“産めなくなるかも”と思ったら怖くなりました」
通院を始めて4年が経ち、悪化することもなく、安心していたころ。山田さんは大きな仕事のリーダーに任命された。そこから数ヵ月はほぼ休みはなく、半年ぶりで病院に行くと悪化が判明。すぐに手術を、と言われたけれど、仕事の予定が立てられないことで、手術の日程も決められずにいた。
「『この日なら』と決めても、直前まで仕事で問題が起きるかもと落ち着きませんでした。結局日帰りで手術し、そのまま会社へ」
お腹を切るような手術ではなく、術後は大きな不調もなかったそう。けれども本来なら手術後、傷ついた体を休めることは必須。
「なぜそんなに頑張ってしまったんだろう、と今は思います。運良く妊娠も可能な体でいられていますが、会社は体のことまでおもんぱかってくれません。何が大事か考えないといけなかった」
再発したら次はお腹を切る手術に。そうなっても耐えられる体をと、食事にも気を配り、将来についても考えるように。
「子供を授かるって、奇跡のようなことなんですね。田舎の両親のことを考えると授かり婚は避けたい。『正しいタイミングで産まなければ』とずっと思っていたんです。でもそれっていったいいつなんでしょうか。20代前半では若すぎると言われ、20代後半から30代は仕事で“もっと頑張らないと”となる。それを越えたら、もう40代」
縁があれば子供は欲しい。けれどそのために全集中して取り組もうとは思っていない。
「悠長なこと言っていられる年齢でないのはわかっていますが、ご縁がなければしかたないこと。ただし産むという選択肢はギリギリまで持っておきたいと考えるようになりました」