女性の子宮トラブルで不快なもののもうひとつが、おりもの。生理同様、いつもと比べて違いがあるようなら危険信号。STD(性感染症)など、重大な病気が進行している可能性も。普段から気にかける意識を持ちましょう!
いつもと違うおりものは要注意!
おりものは、子宮頸部、子宮内膜、腟から出る酸性の分泌物。腟内部のうるおいを保ち、粘膜を守り、汚れを排出したり、バイ菌が子宮内に侵入するのを防ぎます。女性のカラダを守る大切なものです。女性ホルモンの分泌や健康を判断するバロメーターで、量やニオイ、色などは生理周期や健康状態によって変わります。
おりものは、排卵期に向けて少しずつ増え、排卵期には卵の白身のような透明のゼリー状でよくのび、精子を受け入れやすい状態に。排卵後は量が減り、粘り気のある黄白色のおりものに変化します。これらは正常なおりもの。いつもと違う量やニオイが気になったら、STD(性感染症)も考えられます。放っておかず婦人科を受診して。
こんな症状はありませんか?
□ 外陰部に水疱やイボがある
□ 性交時や排尿時に痛みがある
□ 性交後に出血がある
□ おりものの量がいつもより多い
□ おりものの色が違う。ニオイが強い
□ 外陰部がかゆい、痛い
→ひとつでもチェックがあった場合は、何らかのトラブルが隠れている可能性が!
不正出血も心配な場合が・・・
不正出血とは、生理以外の性器出血のこと。不正出血は排卵時出血など、多くの人が経験することですが、注意すべきものもあります。
放置すると貧血が進んだり、重大な病気が進行していることも。早めに出血の原因と部位をはっきりさせることが大切。なかには子宮体がん、卵管がん、腟がん、外陰がん、子宮肉腫などが原因のことも。
→性交時出血、生理痛がひどくなる、貧血があったらすぐ婦人科へ!
性感染症の早期発見のために婦人科へGO!
性感染症には、さまざまな種類があります。最近は自覚症状のほとんどないクラミジア感染症やHIV感染症が広がっています。性感染症は性行為によって、皮膚や粘膜を通して感染する病気。カップルの片方がかかった場合、パートナーにうつしている可能性が。
本人が治療して治ってもパートナーも治療しなければ、その後の性行為で再び感染・・・。これをピンポン感染といいます。ふたり同時に治療することが大切。
予防には、コンドームを正しく使うことが重要です。感染を放っておいたり、症状がないため気付かずにいると、女性は不妊症の原因になったり、妊娠、出産時に赤ちゃんに感染することも。女性は婦人科でおりもの、尿、血液、腟分泌物検査などを行います。ほとんどのSTDは薬で治療できます。
放っておくと大変!STD(性感染症)
トリコモナス腟炎
腟トリコモナス原虫がおもに性行為で感染して起こる病気。原虫のため、性行為以外に下着、タオル、便器、浴槽での感染の可能性も。症状はあわ状で悪臭の強いおりものの増加。外陰部や腟の痛みや強いかゆみも。
クラミジア
女性の性感染症で最も頻度が高く、自覚症状がないのが特徴。気付かないうちに進行して、子宮や卵巣にまで炎症が広がり、不妊の原因にも。おりものの増加、頻尿、排尿痛、性交時出血や上腹部痛をともなうことも。
尖圭コンジローマ
性器や肛門周辺にカリフラワー状のイボができる。尖圭コンジローマは、低リスク型の6、11型HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因。高リスク型16、18型HPVは子宮頸がんに。出産時に母子感染する場合がある。
淋菌感染症
クラミジアに次いで多い。淋菌(病原菌)が性器や喉、直腸などに感染。おりものの増加程度で感染に気付きにくい。進行すると激しい下腹部痛と発熱が。子宮外妊娠や不妊症の原因にも。感染中、出産すると赤ちゃんへの感染も。
性器ヘルペス
水疱ができ、破れて強く痛む。女性の初感染時は、排尿がつらいほど痛む。一度感染するとウイルスが潜み、抵抗力が落ちると再発することも。妊娠中に発症すると母子感染の危険があり、帝王切開をすすめられる。
HIV感染症
エイズウイルスで、正式にはヒト免疫不全ウイルス。ヒトに感染すると免疫力を低下させる。感染して治療をせずにいると、免疫力が弱くなりさまざまな病気が起こる。ほかのSTDに感染していると、HIV感染率は数倍増加する。