女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。
ジメジメする梅雨時は、粘膜のかゆみや赤みが気になりますね。特に人に相談しにくい症状のなかには、腟や外陰部のかゆみやおりものがあります。いつもと違う、かゆみやおりものの症状は心配で不安だけれど、病院に行くのは恥ずかしくて・・・という相談をよく受けます。どんな症状なら婦人科を受診すべきか、チェックしてみましょう。
かゆみ、おりもので注意すべきは“STI”
恥ずかしがる必要はありません。デリケートゾーンのかゆみやおりものは、10代後半~40代のどの年代の女性にも起こりやすい症状です。
そこで、かゆみやおりものなどの症状で心配すべきは、性感染症ですね。
性感染症は、クラミジアやヘルペス、コンジローマ、淋菌など、若い女性を中心に増加傾向にあります。
英語ではSexually Transmitted Infection、略してSTI(エスティーアイ)と呼びます。Infectionの「感染していること」をDiseaseという「病気」に置き換えて、STDと呼ぶこともあります。
病気のもとになる菌やウイルスは、性器の周辺や精液、腟分泌物、血液などに存在して、セックスなどによって感染します。
性器による性交だけでなく、オーラルセックス、ディープキスなどによっても感染します。
クラミジア、淋病、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、HIV感染症など、およそ15種類の性感染症が知られています。また、子宮頸がんのHPV( ヒトパピローマウイルス) も性行為によって感染します。
気になる人はこんな症状をチェックしてみて!
では、さっそく、気になる症状をチェックしてみましょう。
□ 通常性行為をするときにコンドームを使わない
□ セックスパートナーが複数いる
□ セックスをすると下腹部が痛い
□ 尿をすると痛い
□ 陰部がかゆいまたは痛い
□ 最近おりものが増えた
□ おりものの匂いが気になる
□ 性器周囲にイボや水疱がある
□ 太ももの付け根が腫れている
□ 最近全身倦怠感が強い
上記の項目で、ひとつでも当てはまるものがあったら要注意です。婦人科を受診しましょう! 特に、性行為をするときにコンドームを使わない人は、ハイリスク! 自分の体を守り、性感染症予防のためにもコンドームは必ず使いましょう。
婦人科で行う性感染症の検査ってどんなことするの?
かゆみやおりものなどの心配な症状があった場合、婦人科で受けるべき検査を紹介します。これらは症状がなくても、20代~40代の女性なら年1回は受けておいてもいい検査項目です。
女性特有の検査ですから、知っておくと役に立ちます。恥ずかしがらず、早めに婦人科で検査してもらうと安心です。
万が一病気がある場合でも、早めに治療すれば大事にならず、簡単な治療で済むことが多いのです。
おりものや性感染症の検査ですることは?
いつもと違うおりものやかゆみ、性感染症の不安があった場合に行うのは、こんな検査項目です。
●おりもの検査
腟から“おりものを採取”して、細菌、クラミジア、淋菌、カンジダ、トリコモナスなどを検査します。細い綿棒でおりものをそっと取るだけなので痛みはなく、数秒で終わります。
おりもの検査では、下着を脱いで内診台に上がる必要があります。結果が出るまでには数日~1週間程度かかります。
まずは検査だけして1~2週間後に結果を聞きに行き、異常があれば薬を処方してもらうのが一般的な流れです。ただ、おりものを見ただけで明らかに病気が疑われる場合は、検査結果を待たずに薬が処方されることもあります。治療はお薬で治るものがほとんどです。怖がらず早めに検査しましょう。
検査では、腟炎、外陰炎、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、腟カンジダ症、腟トリコモナス症などの病気の有無がわかります。
不妊症の原因になる病気もあるので、性経験がある女性は、年1回程度は行うとよい検査です。
●性感染症(STD)検査
心配の可能性があれば、“採血”で、梅毒、エイズ(HIV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどの検査ができます。
梅毒の人は、エイズにも感染しやすいという報告があるため、両方を検査します。B型、C型肝炎ウイルスへの感染の有無は、行っておきたい検査です。
おりものに血液が混ざっている場合は、がんの可能性も考えられますので、放置せずすぐに婦人科で検査しましょう。
また、おりものの異常やかゆみに、下腹部の痛みをともなうこともあります。心配な症状がある場合は、自己判断するのではなく、受診することをまず考えましょう。
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