「ファッションはもっと自由に!」そんなポリシーを抱くスタイリスト長澤実香さんがモード・コンサバなおしゃれをナビゲート。今月はメゾン マルジェラの2022年春夏コレクションをお届けします。
袖を通したときに初めてその美しさが完成する
フィッシュネットのような実用的な素材のチュールコートは、袖を通すと柔らかく優しいシルエットが生まれる。質感のコントラストが刺激的なルック。
包み込むようなフォルムでコージーな雰囲気を演出
シアーなコートとチュールのコートをレイヤードし、ボトムスには大胆に広がるサーキュラースカートを。優美でラグジュアリーな要素と、歴史が染み込んだような風合いの対照的な組み合わせが、新しい感覚を生み出している。
無垢な強さを表現した新時代のドレススタイル
胸元の刺しゅう、ロングリーンなシルエット、そして上から重ねたチュールのレイヤリングが印象的なドレススタイル。ホワイトドレスは精巧ながら未完成風に仕上げた刺しゅうが、エレガントなシルクドレスに奥深い魅力を放っている。
赤ステッチで際立たせる未完成という世界観
作業工程をトレースしたような白いステッチと赤い糸が、装飾のように施されたアーティスティックなジャケット。メゾン マルジェラの持ち味である、一般的な美的感覚を超えた大胆さを楽しみたい。
「大胆なカッティング、切り離されることから生まれる独自のフォルムなど、メゾン マルジェラの独創的で情緒的なクリエイションは、いつも私たちをワクワクさせてくれます。あえて未完成の美を打ち出し、人が体を入れることで完成させる――。ファッションがコミュニケーションツールになることを改めて教えてくれるブランドです」(長澤さん)
石橋静河(いしばししずか)
1994年7月8日生まれ、東京都出身。15歳より4年間のバレエ留学から帰国後、2015年舞台『銀座鉄道の夜2015』で女優デビュー。初主演映画『夜空はいつでも最高密度の青空だ』で第60回ブルーリボン賞新人賞ほか数々の新人賞を受賞。近作に映画『あのこは貴族』、舞台『近松心中物語』、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」など。1月28日(金)に出演映画『前科者』が公開。
長澤実香(ながさわみか)
1974年生まれ、北海道出身。雑誌・広告のスタイリングのほか、ベビー服ブランド「Hijiki.」も手がける。モノの背景に宿るストーリーや、まとう女性像からスタイルを提案。モデルや女優からの支持も厚い。
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