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LIVING

2021.10.25

ネルシャツのネルってどういう意味?【大人のおしゃれワード】

知っておきたいファッション用語やテクニック、今どきの常識を、スタイリスト青木貴子さんが独自の視点を交えながら解説する連載「大人のおしゃれワード集」。今回は、秋冬ならではの素材について。

(c)Creative Lab/Shutterstock.com

前回の原稿を書いていた頃は肌寒い日が続いていたので「もう秋ですね」なんて感じで書いていましたが、どっこいあれからまた暑くなり、そしてまた先週から一気に冷え込んできましたね! 激しい変化に草木が季節を間違えてしまったみたいで、うちの梅は早くも10月に咲いてしまい、私の周りで金木犀を育てている人はほぼ100%近くが2度咲いたようです。友人は都内で桜が咲いていたと教えてくれました!

さて、前回のツイードに引き続き今回も、秋冬に活躍する素材についてお話ししたいと思います。フランネルやウインターコットン、知っていますか?

フランネルは着心地の良さ抜群の秋冬素材

フランネル

(c)Anna Hoychuk/Shutterstock.com

フランネルはツイードと並ぶ代表的な紡毛――毛羽(けば)のあるふんわりした羊毛糸――の織物で、秋冬に欠かせない素材です。毛足が長く、繊維のなかに空気を含みやすいため柔らかくて軽く、熱を逃さない。だから何しろ保温力に優れています。そして柔軟性にも優れているので、ノンストレス。シャツやワンピースによく使われます。
軽くてあったかくて着心地が良い、そう聞くとフランネルばっかり着たくなっちゃいそうですよね。

上品な印象を得たいなら、フラノを選択!

フラノはフランネルのなかでも特に厚地の織物のことを指します。綾織、あるいは平織物を縮絨(しゅくじゅう/湿らせて揉んだり叩いたりして織り目を詰まらせる)したあと、表面を引っ掻いて毛羽立たせ、刈り揃えて作られます。その丁寧に刈り込まれた毛羽がソフトな印象を生み出します。

フラノにはフランネルにはない光沢感があり、つるんと綺麗、でもソフトでいかにも柔らかそうで上質!という感じ。とても上品な雰囲気の漂う生地です。そこがとにかく魅力。

スーツやワンピースなど、なんでもありますが、とりわけフラノのワンピースはマニッシュさとフェミニンさのミックス具合が絶妙で素敵な気がします(もちろんデザインにもよりますが)。

ウインターコットンという呼び名を知っていますか?

ストリートスナップ

(c)andersphoto/Shutterstock.com

コットンと聞くと、春夏のイメージが強いと思います。「えー、冬にコットンなんてシャツ以外は着ないよ」なんて声も聞こえてきそうですが、冬には冬用のコットンがあります。それらは毛羽があり、織り目が詰まっていて、厚い。だからちゃんと暖かかったりします。どんなものを指すかというと、代表格はコーデュロイ、別珍(べっちん)、コットンネルなどです。こう書くとお馴染みの素材たちですよね(笑)。

鬼コーデュロイに注目を

コーデュロイは縦に毛羽の畝(うね)のある素材。毛羽のことをパイルと呼ぶので、コーデュロイはパイル地の一種です。コートやジャケット、パンツ、スカートによく使われます。

畝の太さや本数によって名前があり、1インチ(2.54㎝)に3本しか畝がないものは鬼コール、6本くらいのものは太コール、9本は中太コール、15本は細コール、20本以上は極細コールなんて呼ばれるらしい。

鬼コールって呼び名、面白い(笑)。ボトムスなんかでは、鬼コールくらい畝の太いものの方が断然おしゃれに見えます。ボトムスでコーデュロイ素材を買うなら畝太がオススメ。なぜなら縦線のメリハリ感が出るため、視覚効果で細見えするからです!

別珍、ベロア、ベルベット…似て非なる3つの素材

別珍と聞くとわからない人もいるかもしれませんが、ベロアやベルベットは聞いたことありますよね。あの感じを思い浮かべてください、光沢のある生地です。

実際ベルベットやベロア、別珍の違いを正確に知らない人もいると思うので簡単に。ベルベットは絹やレーヨンを、ベロアはレーヨン、アセテート、ポリエステルなどを、そして別珍は綿糸を主に使っています(綿以外の場合もあります)。素材が違うので、柔らかさや光沢感に違いがあります。そして製法もそれぞれ違います。

同じように光沢がある素材のなかでは、別珍がいちばん硬い印象がするかもしれません。その分カジュアル感が出て、普段着としても着やすい素材と言えます。おしゃれを気張り過ぎたくないけど、ちょっとおめかししたいなんてときに別珍は良いのではないでしょうか。このご時世ではありますが、年末にかけてちゃんとした服装を求められる機会もだんだんと増えていくかもしれません。そんなとき用に、ちょこっと光沢感のある別珍ジャケットやワンピースがあると活躍すると思います。

ネルシャツのネルはフランネルのネル

ネルシャツ

(c)Daniel Rossi Limpi/Shutterstock.com

羊毛糸のフランネルに似せて、綿で作られたものがコットン・フランネル。通称コットンネル。こちらも短い毛羽があります。素材が綿になると、フランネルよりカジュアル度がぐんと上がります。魅力は風合いの良さ。起毛加工してあるから柔らかく、肌馴染みが良いんです。

コットンネルの代表的アイテムはネルシャツ! 冬しか着ることができない期間限定のネルシャツはとってもおしゃれな感じがします。いつもの白シャツをネルの白シャツにしただけで、季節ならではの着こなしをしているおしゃれな人に見えること間違いなし! チェックのネルシャツも可愛いですよね。もしもネルシャツがワードローブにないとしたら、ぜひとも今季は手に入れてください。暖かいし、着心地がとっても良いですよ。メンズサイズのものを大きめに着るのもオススメです。

そして普段着だけでなく、ネル地のパジャマも暖かくって冬はいいですよ、冷え知らずで過ごせます。

季節が変わったら、着ている服たちの素材もガラッとチェンジ! メリハリをつけるとおしゃれも生活もいっそう楽しくなると思います。

青木貴子の【大人のおしゃれワード集】をもっと読む。

TEXT=青木貴子

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