週末の過ごし方で、来週の気分はきっと変わる。だからこそ、観る映画にはちょっとこだわりたい。気分転換にも、インスピレーションにもなる一本をピックアップ。今回は、5月15日(金)公開の『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』をお届け!
親になった今、そして子どもだった頃の私へ

母の愛って、どうしてこんなにも一直線なんだろう。映画『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』は、フランスに実在する親子の物語をもとに、近すぎる愛がもたらす幸福と戸惑いを、あたたかなユーモアと音楽で描いた実話ベースの一本。
1963年のパリ。内反足で生まれ、「歩けない」と診断された息子・ロランに対して、母・エステルは一切の絶望を受け入れない。「この子はきっと歩く」——その思いだけを信じて、医師の言葉にも、周囲の常識にも背を向けて突き進んでいく。その姿は頼もしくもあり、正直ちょっと過保護にも見える。

でも、親の立場で観ていると、その強引さすら他人事ではなくなってくる。我が子に何かあったらどうしよう、守れなかったらどうしよう。母の行動は、そんな不安が形になったものなのだと、ふと胸に落ちる。一方で子どもの目線に立てば、どれだけ愛されていても、距離が近すぎると苦しくなる瞬間があることにも、思わずうなずいてしまう。親は親なりに必死で、子は子なりに自分の人生を生きたい。そのすれ違いが、とてもリアルで、だからこそ優しい。

ロランの心の支えになったのは、家族が大好きだったシルヴィ・バルタンの歌。私たちにも馴染みの深い「あなたのとりこ」をはじめとする軽やかなメロディは、彼にとって夢であり、学びのツールであり、世界とつながる居場所だった。彼女の音楽が親子の間に入り込み、言葉にできない感情を代わりに伝えてくれるのも、この物語ならではの温度。
親になった今の自分としても、かつて子どもだった自分としても、どちらの気持ちも思い出させてくれる。完璧な距離感なんて、きっと一生わからない。それでも、不器用に向き合い続ける親子の姿に、観終わったあと、大切な誰かを思い出すはず。
【5月15日(金)公開!】『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』

監督・脚本/ケン・スコット『⼈⽣、ブラボー!』
原作/ロラン・ペレーズ
出演/レイラ・ベクティ、ジョナタン・コエン、ジョセフィーヌ・ジャピ、シルヴィ・バルタン
※新宿ピカデリーほか全国公開
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