「全裸監督」や「今際の国のアリス」など、日本発でも話題のオリジナル実写作品を数々生み出しているNetflix。プロデューサー・岡野真紀子氏に制作の裏側を徹底取材!
Q. なぜみんな、Netflixオリジナル作品に夢中になるの?
キーワードは「現実逃避」と「共感性」
Netflixでは素晴らしい作品はどんな国や地域でも生まれ、人の心を動かすものだと考えています。観る人の言語や文化が違ったとしても、普遍的な共感を呼ぶ作品であればあるほど、その作品はより多くの視聴者に届き、愛されるものだと思います。例えば、「今際の国のアリス」ではその土地(渋谷や日本)に根付いているカルチャーを映したローカルな作品を制作することに成功しました。同作品は魅力的なビジュアルもあり、手に汗握るスリラー作品であり、観た人同士で議論ができる作品でもあります。現実逃避と共感性がヒットの理由だと考えています。
Q. 年間どれくらいの作品を企画・制作しているの?
納得がいくまで突き詰めるからこそ、作品本数やローンチ時期にはバラツキあり
Netflixでは放送クールというものがないので、年間の公開本数などは特に決まっていません。また、Netflixでは特に誰かの承認や決裁、「ハンコをもらう」ということがないんです。ローカルに裁量が与えられていることで、私たちがお客様に届けたいものを、スピーディかつ納得いくまで進められます。
Q. 日本オリジナルコンテンツが話題になったきっかけは?
「今際の国のアリス」と「Devilman Crybaby」
日本発のオリジナル作品に手応えを感じ始めたのは、実写は「全裸監督」や「今際の国のアリス」、アニメは「Devilman Crybaby」。特に「今際の国のアリス」のシーズン1は、2020年12月に配信されるやいなや、世界70ヵ国以上でTOP10入りを果たし、日本国内のみならず世界中を熱狂させ、大きな反響をいただきました。SNSでは、独特な日本文化に対する関心が高く、漫画やアニメなどの親しみやすさから反応をいただくことも多いです。
「今際の国のアリス」はサバイバルドラマということもあり、リアリティとは無縁でもよいのですが、現実の世界の延長線上にあることを印象づけることを意識。冒頭の無人化した東京・渋谷のスクランブル交差点を栃木県足利市に建設。交差点の道路と改札口以外はほぼCGで作成されています。
Q. 作品をつくる側の人間をも魅了して止まない理由とは?
世界観を追求するものづくりと環境づくり
Netflixは、クリエイター・キャストが“つくること”に集中できる環境を提供し、クリエイターの意思を最大限尊重し、一緒につくり上げることを重要視しています。クランクイン前には全スタッフ・キャストへのリスペクトトレーニングを行ったり、1日の撮影時間にリミットを作ったり、大事なスタッフ・キャストと万全の体制で一緒にものづくりを実現しています。
季節や時間の移ろいを表現するために250ヵ所をも超えるロケ地で行われた8ヵ月にも及ぶ長期間の撮影。圧倒的な映像美は、Netflixだからこそ叶えられたもの。
「今際の国のアリス」シーズン2ではVFX技術を駆使して、植物化した渋谷を実現しています。VFXと、とことんリアルを追求した美術チームの職人技が光るシーンがあることで、『今際の国のアリス』の世界と視聴者を結びつけ、没入感を作り出しています。
Q. 豪華なキャストをキャスティングできる理由は?
設定やシナリオを作り込んでオファーするから
Netflixではシナリオや構想が完成してから出演オファーを行うので、実際にオファーを行う段階ではかなりの熱量を持って相談をさせてもらっています。作品によっては構想やシナリオが完成するまで2年前後の時間を費やしているものもあるので、オファー時の熱量は計り知れないかと...(笑)。
岡野真紀子(おかのまきこ)
WOWOWなどを経て、2021年にNetflix入社。過去の担当作品は「コールドケース〜真実の扉〜」「そして、生きる」(ともにWOWOW)など。’23年公開予定のNetflix映画『クレイジークルーズ』や『ちひろさん』を担当。