こんばんは、アートテラーのとに~です。
皆さま、コロナ疲れはしていませんか? 3月25日現在、新型コロナウイルス感染防止のため、東京国立博物館や国立西洋美術館をはじめ、国内の主要な美術館の多くが今なお臨時休館を余儀なくされています。
その一方で、アーティゾン美術館やBunkamuraザ・ミュージアムなど、一部の美術館博物館が新型コロナウイルス感染予防対策への取り組みを徹底したうえで再開し始めました。少しずつではありますが、日常を取り戻そうとしているようです。
厚生労働省による新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解でも、美術鑑賞は感染のリスクが低いとされていますが、それでもまだ室内での美術鑑賞に不安が残るという方のために、屋外で美術鑑賞が楽しめるとっておきのスポット「ファーレ立川」の魅力をお伝えしたいと思います。
さまざまなパブリックアートが楽しめる「ファーレ立川」
JR新宿駅から中央特快で約25分。都心からもアクセスしやすいJR立川駅の北口に、日本が世界に誇るパブリックアートエリアがあります。
その名は、ファーレ立川(イタリア語の「創造する=fare」に立川の頭文字「t」を加えて「FARET」)。立川高島屋 S.C.やパレスホテル立川を含む11の建物が配置された敷地の中に、ロバート・ラウシェンバーグやドナルド・ジャッド、宮島達男さんや川俣正さんといった36ヵ国92人の一流アーティストによる109もの作品が設置されています。
竣工は1994年。アートディレクターを務めたのは、北川フラムさん。“大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ”や“瀬戸内国際芸術祭”の総合ディレクターも務めている人物です。
何よりも特徴的なのが、「機能を物語に!(ファンクションをフィクションに!)」というコンセプト。多くのアーティストに、街頭や散水栓など、街の機能を果たすものの制作を依頼したのです。
例えば、シンガポール出身のタン・ダ・ウによる《最後の買い物》。買い物カゴをモチーフにした巨大なこの作品は、ビル空調用の排気口の役割も果たしています。
ほかにも、ニューヨーク出身のヴィト・アコンチが制作したのは、自動車がスパッと縦半分に切られたオブジェ(椎名林檎の『本能』のPVを連想した方もいらっしゃるのでは?)。こちらは、ベンチ兼車止めとなっています。車止めを車にする・・・実にウィットに富んでいます。
また、ファーレ立川の作品はアートであり街の機能でもあるため、パブリックアートには欠かせないキャプション(タイトルや作家名、制作年などを紹介するもの)が付けられていません。
見るからにアート作品とわかるものも多いですが、なかには見た目ではわかりづらいものも。どうぞ宝探し感覚で、ファーレ立川内を散策してみてください!(公式HPにマップは掲載されています)
思わず写真を撮りたくなる“映えるアート”
ファーレ立川にあるアート作品は基本的に触ってOK、写真撮影もOKとなっています。世界中でここでしか撮影できない写真がたくさん撮れますよ。
フランスの女性アーティスト、ニキ・ド・サンファルによるヴィヴィッドなベンチに座って撮影するもよし、スウェーデン生まれのポップアーティスト、クレス・オルデンバーグが口紅をモチーフに制作した作品の横に立って作品の大きさをアピールするもよし。アイディアの思いつくまま、思う存分写真撮影を楽しんでみてくださいませ。
作品によっては夜になったライトアップされるものもあるので、日没後に訪れるのもおすすめです。
○をあげたくなる!?アート作品
ファーレ立川のプロジェクトに参加した92人のアーティストのなかで個人的にいち推しなのは、スイス生まれパリ在住の現代アーティスト、フェリーチェ・ヴァリーニです。
ペデストリアンデッキの銀色の通風口(?)の一部に何やら黒い線がペイントされています。特に何かの形を表しているようではなさそうです。
少し進んだ場所から、再び黒い線を眺めてみます。やはり何かの形を表しているわけではなさそうです。しかし、ある1点に立ってその黒い線を眺めてみると・・・思わず「ナニコレ!」と叫んでしまうことでしょう。
なんと、完全な円がそこに浮かんでいるではないですか!
ちなみにフェリーチェ・ヴァリーニによる円は、ファーレ立川内にあと2つ点在しています。果たして見つけることはできるでしょうか?
皆さまからの質問大募集!
「デートにピッタリの美術館は?」「カフェがオススメの美術館って?」という具体的な質問から、「現代アートって、何が面白いの?」「何であんなに美術品って高いの?」「ピカソってすごいの?」という誰にも聞けなかった質問まで。
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