年齢とともに基礎代謝量は低下し、“体重がなかなか減らない”体質に…。アラサーのうちから脂肪燃焼体質になるための習慣をはじめましょう。早速ですが、“年末の大掃除”は脂肪燃焼のチャンスです! 齋藤真理子先生にアラサー世代の体重管理のこと、今話題のMCTオイル摂取のメリットや活用法についてお話を伺いました。
20代は痩せ型傾向。間違ったダイエット法に注意!
年末年始はイベントも多く、体重増加が気になるとき。ファスティングなどで調整すれば大丈夫!とたかをくくっている人もいるかもしれません…。
「イベントが多い冬は食事がボリューミィになりますし、肌の露出も減りますから、気が緩みがちになりますよね。冬は他の季節に比べて基礎代謝が高くなると聞いたことがあると思いますが、寒いと動きは緩慢になってしまいますので、どうしても体重が増える傾向にあります。そもそも20代の5人に1人は痩せ型という報告もあり、アラサーは体重が少し増えるだけでも気にする方が多いのではないでしょうか」
「よく手を出しがちなファスティングは、栄養バランスが整っている、もともと調子がいい方に向いている方法。痩せ型の方や栄養状態が悪い方が行うと、メンタルが落ち込んでしまう場合があるので注意が必要です」
痩せ型でも“悪玉コレステロール値”が高い場合も
「昨今話題の悪玉コレステロール値。その数値が高い方が増えているという研究結果がありますが、20代、30代でそこまでコレテロール値を気にしている方は少ないと思います。しかしながら、痩せ型の方は“飢餓性のコレステロール”が心配なんです。体がこのままではいけないと脂肪を蓄えるようにスイッチングし、悪玉コレステロール値が高くなって内臓脂肪をため込むような状況になっている場合も。痩せていれば健康というわけではないのです」
まずは食べているものの“質”を見直そう
お腹がすいているときにこんな食事や飲食は絶対NG
・おにぎり1個ですませる
・甘いものを飲む
・ドカ食いする
「上記は血糖値の乱高下を起こす食事の具体例。お腹がすいているときに甘いものを飲むなど、短期的にエネルギーを入れると血糖値が爆上がりします。そして反動で低血糖に。すると体が危ない状態と察知するので、本来は免疫系で使われるステロイドなどのホルモンが血糖値を上げるために使われてしまうんです。夕方以降にステロイドが枯渇した状態になると、乾燥など肌の状態が悪くなったり、不安感などメンタルに影響が及ぶこともありますし、蕁麻疹が現れてしまうことも。また風邪を引いたときになかなか治らないことだってあります。血糖値の安定化は必ず意識したいところです」
見直し1:カロリーよりも内容成分をチェック
「食事の際、カロリーを気にする方も多いのですが、大切なのは内容成分です。例えば同じ200kcalでも、ケーキで200kcal を摂るより、ハンバーグで200kcalを摂った方が体にいいことは明らかですよね。なぜなら脂質と糖質、タンパク質といった三大栄養素だけ見ても内容成分がまったく違うから。食べたものが自分のエネルギーになるということを自覚し、自分の食べているものの“質”を見直しましょう」
見直し2:「メッツ」を意識する生活に。年末の大掃除も脂肪燃焼のチャンス!
健やかな体の要は、食事の質を見直し、適度に運動を取り入れること。でも、冬は外に出てウォーキングするなど運動することがしぶりがちに…。
そこで注目したいのが、「METs(メッツ)」です。安静時(静かに座っている状態)を1とした場合、「歩行」や「皿洗い」など日々の運動の強さを表す指標ですが、この何気ない活動のカロリー消費を高める方法があるそうで…。
「歩くときに手を大きく振るなど、ひとつの動作でも大げさに動いた方がカロリー消費が高くなりますよね。そんなひと工夫のような、日常活動で脂肪燃焼効率を簡単にアップできる裏技があるんですよ。それが“MCTオイル”を摂取すること。同じ行動をしていても、脂肪が使われやすい“脂肪燃焼体質”に。年末の大掃除なども、絶好の脂肪燃焼チャンスになりますよ」
MCTオイルを味方にすると、誰でも“脂肪燃焼体質”に!
油を多めに使った料理は、ダイエット中の天敵! そう意識してしまい、油(脂質)を毛嫌いしている方もまだ少なくありません。しかし脂質は三大栄養素のひとつ。体内で重要な役割を担っていますから、避けてしまうと体全体に支障をきたすことにつながってしまう場合もあるのです。
近年は効果・効能を謳う油も多数登場し、上手に使い分けしている方も増えているようです。何となくの印象で油を抜くのは損!
「オイル=太るというイメージをいまだに持っている方もいると思いますが、MCTオイルの作用はむしろ逆。“脂肪燃焼を高めて体脂肪を減らす”オイルとして注目されています。そもそもMCTオイルとは『Medium Chain Triglyceride』の略で、中鎖脂肪酸100%の油のこと。ココナッツやパームフルーツなどから抽出している植物由来のオイルです」
「オイルには飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。オリーブオイルなどは体にいいといわれる不飽和脂肪酸で、飽和脂肪酸は体にあまり良くないというひっかかりをもっている方もいるかもしれません。でも飽和脂肪酸のなかにも良質な油があり、それがMCTオイルです。母乳や牛乳などにも含まれている成分で、エネルギーになりやすいという長所があるため、1950年代から医療現場やスポーツ分野では栄養補給のシーンなどで使用されてきました」
MCTオイルの分解メカニズムをみてみると…
「オリーブオイルやキャノーラ油などは、長鎖脂肪酸中心の油。体に入るとリンパ管を通って血管に渡され、体内に貯蔵されるという経路を通ります。簡単にいうとエネルギーとして分解されるための経路が遠回りなんです。一方でMCTはLCTとは違い、すばやく肝臓に入り、エネルギーになります」
「エネルギーを生み出す回路には2つあり、糖質が中心の食事は“糖燃焼回路”が活発で、糖質のエネルギーを全部使い切った後に“脂肪燃焼回路”がやっと動くイメージです。“脂肪燃焼回路”はたやすく動かないんです。ところがMCTオイルを食事と一緒に摂取すると、“脂肪燃焼回路”のスイッチがオンに。
MCTオイルがダイレクトに肝臓へ通じる門脈に入り、独自回路でそのまま分解が進んでケトン体が発生、エネルギー産生に重要な細胞内のミトコンドリアが活性化されます。すると糖と脂肪を燃焼する回路が同時に働く、脂肪燃焼体質(:脂肪を使いやすい状態)にシフトするのです」
MCTオイルの効能は?
突然ですが、ファンデーションを落とすときを想像してみてください。油分配合のベースメイクは、オイルなど油分を含むものでクレンジングするとすっきり洗うことができます。体の中でも同じことが起こるのです!
「ちなみに“皮下脂肪”と“内臓脂肪”を混同しないでくださいね。皮下脂肪は下半身にたまりやすく、落ちにくい体脂肪。美容クリニックには皮下に脂肪溶解注射をする施術がありますが、それはフォルムを美しくする方法です。見た目は痩せているのにお腹ぽっこりなど隠れ内臓脂肪はその方法では解消できません。『内臓脂肪を減らすためには“油”を摂るのが近道』といわれていますから、内臓脂肪が気になる方はMCTオイルのような “脂を落とす油”を積極的に、適度に、摂り入れましょう」
MCTオイル摂取は、体内脂肪の代謝を促進するだけでなく、肌や体調管理に役立つことがわかっています。
MCTオイルの作用
- 抗炎症性サイトカインの分泌を高め、炎症を抑制
- 抗菌作用がある。腸内の悪玉菌を減らし、腸内環境を改善
- 代謝を良くするため、空腹予防にも
- 血糖値の爆上がりを防ぐので、肌の糖化を加速させない
- ケトン体が増えると血流が改善、冷え性の改善効果も
- 脳の栄養不足改善 etc…
MCTオイルの摂取法は?
「デメリットが見当たらないといわれるMCTオイル。唯一の欠点といえば加熱に向かないことがあげられます。小さじ半分(2.0g)程度を、普段の食事にかけたり、混ぜたりするようにしましょう。チャーハンにMCTオイルを追い油すると、パラパラ、ツヤツヤして美味しくなります。MCTオイルはどのタイミングでも摂取できますが、代謝の観点では朝昼の食事での摂取がおすすめです。すぐにエネルギーに変換され、代謝が上がると、手足が温まってくるなどの実感が得られると思いますよ」
選ぶべきMCTオイル製品は?
「ブームとなったココナッツオイルは、クセがあるので料理に使いづらいという声もありました。MCTオイルはココナッツなどのヤシ科植物由来のオイルですが、無味無臭で味を邪魔しないという点も使いやすいポイントです。しかしながら海外産のMCTオイルにはニオイが強いタイプもありますし、炎症性のオイルが混合しているものがあります。安心できるメーカーの食用オイルや加工食品などを選ぶほうがよさそうです。
それから、ある程度筋肉がある人ほど脂肪燃焼は活発ではやく、MCTオイルの届き方も変わってきます。軽い筋トレなどを習慣にし、筋肉をつけておくと、日々のカロリー消費がよりアップすることも覚えておきましょう」
“面倒くさい”が脂肪を増やす引き金にもなります。大掃除など面倒だと思っていた日常活動×MCTオイル生活で、身の回りも体もすっきりさせましょう。2025年新しい年の始まり、MCTオイルを上手に取り入れて脂肪燃焼体質な人を目指しませんか。
編集部おすすめ!MCTを使用した商品
編集部が見つけた、いつもの生活に即取り入れやすい商品をご紹介。明日からそっさく!という方、ぜひ参考にして。
教えてくれたのは…
齋藤真理子先生
医療法人社団山本メディカルセンター理事長。形成外科医、分子栄養学認定医、医学博士。著書に『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)がある。