いなくなった誰かを、ずっと好きでいるということ

ドッグラバーはそれこそ世界中にいて、かけがえのないパートナーとして愛犬と仲睦まじく暮らしています。パリの街にもそんな幸せそうな、飼い主&犬のカップルやファミリーがたくさん。その素敵な関係を、ちょこっと覗き見。  

大切な家族が天国に旅立った

この写真は、元気だったころのナナと、ボク。
大好きな家族の一員だった、ナナが天国に行ってしまった。
それは、今年初めのころのお話。
もう歳も取っていたし、あちこち弱っていたから・・・お別れが近づいていることはわかっていたんだけど。
パパがボクを学校まで送ってくれて、ナナが家で一人ぼっちでいるときに死んじゃったんだよ。

ボクは、学校にいて、ちょっとだけナナことを忘れて遊んでいたから。
もしかしたら、どこにいてもボクがナナのことをずっと想っていたら、死ななかったんじゃないかって、何度も考えて落ち込んだ。
「それは違うよ、ショーン。ちょうどそのときに、天国からナナにお迎えが来たんだよ」って、みんなになぐさめられたけど。
その夜はずっと泣いた。胸のところがずっと痛くて。   

ナナが消えてしまってから、パパは散歩の相棒を失って元気がなかった。
ママも、ずっと淋しそうだったな。
そこにずっといたのに、急にいなくなってしまったことが信じられないよ。
朝起きて、もしかしたらぜんぶ夢で、ナナが足元にいる気がして。急いで確かめて、何度もがっかりした。

新しい家族の話

そのあとは、コロナのせいもあって、いろんなことが変わっていった。
いつもと違うことだけらけで、落ち着かない毎日。ナナがいないことも含めて、今までとぜんぜん違う生活。
パリもロックダウンになって、パパとママと一緒にノルマンディの古い家に行くことが多くなった。こっちのほうが、安心だからね、って。

そんな大変なときだったけど、ボクはボニーを育て始めたんだよ。

春の終わりごろ、フレンチブルの赤ちゃんがやってきたんだ。
犬を譲りたい人と探している人が見ている掲示板サイトで、このコのことを見つけたんだよ。
可愛すぎて、驚いちゃった。
どんどん育って、大きくなっちゃうことにも驚いてるけどね。犬を赤ちゃんのところから育てるのって、初めてだったから。

見て! 2ヵ月でこんなに大きくなったよ。
こっそり話すけど、ボクはずっと妹が欲しかったんだ。だから、ボニーが女のコでうれしかったなぁ。

パパが初めて飼った犬も、白黒柄のミックス犬だったんだって。ナナも白と黒だったし、ボニーもそう! しかも3匹とも女のコ。その理由は、パパいわく「抱っこしたときに、おちんちんが邪魔にならないから」なんだって。・・・ほんとに!?

そっくり写真も公開します(笑)。ボクとボニーはどっちでしょう?

右の写真は、14歳のときのパパとシーベル(フランス語でとってもキレイ、って意味)。虐待されていた犬を救い出して、ケガさせられていたのを治してあげたんだって。

みんなで寄り添う田舎暮らし

パリから離れて、夏の間はずっとノルマンディの古いおうちで過ごしていたんだよ。パパとママ、ボク、そしてボニー。

パパはおうちの修理をしたり、ママは庭の手入れをしたり。ボクは勉強したり、ボニーと遊んだり。パリにいるときよりも、時間がたっぷりあって、しかもゆっくりで。
「ボニーにいろいろ教えるには、この環境がちょうど良かったな」ってパパが言っていた。

初めてボニーを抱っこしたときに、パパは「同じフレンチブルでも、ナナの匂いとは違うんだな」って、ナナのことを思い出してしんみり・・・。

ボニーはフレンチブルなのに、鼻が高いんだよ。これから少しずつ、低くなっていくのかな(笑)。ナナみたいに。

「ママね、ナナに『モンシロチョウになって遊びにおいで』ってお願いしたのよ。そしたら、裏庭をお散歩しているときに、たくさんのモンシロチョウが飛んできたの」って、ママが教えてくれた。

ナナは蝶々になって、ボク達の様子を見に来たんだね!

ナナ、見てみて! ボニーはボクのこと、大好きみたいだよ!
どこにでもくっついてくるんだから!

でもね、ナナ。ボニーがいて楽しくやっているけど、ボニーはナナの代わりじゃないからね。
ボクはボニーがいてくれてうれしいけど、ここにナナもいたらなって。ずっと想ってる。

ママがね「いつかナナの生まれ変わりみたいな子に出会えたらいいな」って言ってるけど。
うん、そうだね、いつかまたボクのところに来てくれるかな?

それまでは、モンシロチョウだったり、花だったり、風でもいいから。
ときどきボクの近くに現れて、ボクのこと見てて。パパとママとボニーのことも見てて。

みんなずっと、何度も何度でも、ナナのこと思い出して、ナナのこと話して、ナナのこと忘れないからね。それが、好きってことだもんね。
ナナはあまのじゃくだから、うんって言ってくれないかもだけど、ボクのこともずっと忘れないでいて。約束!

撮影/MANABU MATSUNAGA

MANABU MATSUNAGA/フォトグラファー
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MANABU MATSUNAGA/フォトグラファー
北海道生まれ。幼少の頃から父の影響で写真を始める。ポートレイト、ルポルタージュなど幅広く活躍中。パリ在住。
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