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TIMELESSPERSON

2025.07.15

祭りのあと、の祭り【いとうあさこ】

タレント・芸人として活躍するいとうあさこさんが日々のあれこれ、想いを綴るエッセイ。【連載「あぁ、だから一人はいやなんだ。】

単独ライブ翌日の打ち上げ話

毎年、単独ライブが終わった後の解放感はすごい。ただライブ終わった直後は、打ち上げがあるんですが、もうほぼ飲めず食えず。昼前くらいにおにぎりを口に入れたのを最後に、栄養補給のゼリーとかアミノ酸の粉とかでパワーを補いつつライブをやる。リハやら準備やらでバタバタなのもありますが、何にも固体が喉を通ってくれなくなっちゃうんです。だからめっちゃ腹ペコなはずなんですけどね。打ち上げは毎年そうなっちゃうくらいクタクタ。疲労困憊、ってやつです。なのでいつも後から「終わったなぁ」をしみじみ感じる。今年の“それ”は翌日の夜、やってきました。

ライブ翌日は朝から衣装や小道具の片づけ、山積みの宿題など、とにかく夕方までやる事が多過ぎて超しっちゃかめっちゃか状態。でもねぇ、私、頑張れました。というのも夜に“ご褒美”が待っていたから。ニンジンぶら下げたお馬さん、なんて表現、もう使わないかな。でもホントにそんな感じで駆け抜けたんです。

その“ご褒美”は、大久保さんとの飲み。え? いつもの事って? いやいや。実は私のライブ当日、大久保さんもかなりハード&ヘビーな丸一日の大仕事がありまして。だからお互いを労おうと以前、一杯だけ、と立ち寄ったお店がお料理も美味しそうだったので、そこで二人の打ち上げをすべく、前に予約をしておいたのです。メンバーは私と大久保さんと近所の仲良しのスタイリストちゃん。約束は19時。近所のお店だったのもあって、ギリギリ18:48まで作業をしてしまい、早め行動好きの私なのにうっかり19時ジャスト到着に。「すいません!! あと1分で着きます!!」近くに来た時にLINEをした。

お店は2階なのですが、以前行った時は1階入り口から入って、奥の階段から上がっていった。1階入り口到着。ガラス張りなので中が賑わっているのが見えた。貸切パーティ? どうやって入る? ん? 何か張り紙が貼ってある。“2階のお店の入口は…”という文字が見えたとたんに中の若者たちが「いとうあさこじゃねぇ?」「ウケる! あさこが覗いてる!」「ホントにあさこだ!」私は貼り紙を読んでいたのですが、ガラス張りですから。向こうからしたら私がめっちゃ覗きこんでいるスタイル。

とりあえず、逃げた。どうしよう、お店の入口がわからない。あ、大久保さんが同じ目に合わないよう、再びLINE。「入口がわからない(笑)」とりあえずビルの裏に回ってみる。2階に上がる階段発見。上がってみたけれど、どう見ても普通のマンション。するとそこにお住まいのおじいさんと遭遇。「どうした?」「あ、お店を探していて。入口がわからなくて。」「なんてお店かな?」看板を指さして「ココなんですけど、以前入った入口が塞がっ…あ! お店に電話してみます! すいません!」電話するとお店の方が迎えに来てくださいまして、無事到着。「先週から入口変わったんです」との事。

すぐ二人にLINEでお店の入り方を送る。時刻は19:05。二人とも何故か既読にならない。薄暗いお店のカウンターで一人ソワソワ。19:10。「あれー? 誰も来ない(笑)」あえて明るくLINEを送る。うんともすんとも。あれ? 時間違う? まさか、今日じゃない? 悲しいがな、自分の記憶にまったくもって自信がございませんから、私。「予約って今日の19時でよかったですか?」お店の人に聞いてみる。合っていた。

そこで頭の中に浮上した“二人一緒にいる”説。スタイリストちゃんは大久保さんの現場に行く事があるので、きっと二人は一緒で、仕事が押していて電話出来ず。終わったら「ごめん!」と連絡が入り、スタイリストちゃんの車で二人一緒にすっ飛んで帰ってくるに違いない。

ただ元々一人飲みが出来ない私。いやね、何か作業、例えば単独ライブ前だったらネタ書きとか、があれば、一人でファミレスとかは行けるんです。でもそういうやるべき事もなく、となると、とたんにどうやって過ごしたらいいかわからなくなる。今、まさにその状態。お店の方が気を遣って「先に何か飲まれます?」など何度も声をかけてくださるのですが、そんなわけでお断りを。大好きな“トウモロコシを育てて貿易する”ゲームをやろうかとも思いましたが、今の携帯って画面がデカいじゃないですか。他のお客さんにそれが見えて「あのカウンターの人、誰も来なくて、ずっと一人でトウモロコシのゲームやってるよ。かわいそう」とか思われても何ですし。とりあえず、カウンターの中の小さなキッチンでお料理をしている方の背中を穴が開くほど見る、に徹した。

何度もLINEを開いてみるけれど、既読はつかない。最終的に一人でここで飲んで帰る、を想像して震えだす。すると、19:30。突如として二人ともに既読がつく。「ほら。やっぱり一緒にいたんだ。」その確信も、あっという間に覆される。19:31、同時にLINEが来た。大久保さんからは「ごめん、マッサージがのびて。今向かいます。」スタイリストちゃんからは「あさこさん! 19時半からですよー。」

ちょっと待って、ウソでしょ? 一人は予定が延び、一人は時間勘違いで同時にLINEって、どれだけ気が合ってるのよ。でもとにかくひとまず、ホッ。「無事でした。」お店の人にも報告。まずスタイリストちゃんが飛び込んでくる。「すいません! あさこさん!」ずっと19時だと思っていたのに、何故かいつからか19時半だと思いこんじゃった、と。わかる。あるよ、それ。

その数分後、飛び込んできた大久保さんのお顔がめちゃくちゃテカテカ。聞くところによると初めて行った近所のマッサージ。元々お願いしていた80分コース。ギリギリだけど19時に間に合うはずだったそう。オイルも使うから当然腕時計ははずしているし、部屋にも時計がなく。そこは片言のアジアのおばちゃんお一人でやっていて、ボロボロの大久保さんの体を見て「ワタシガ、ナントカスル!」と全身めっちゃやってくれて。途中から大久保さんも「さすがに長くないか?」とは思っていたそう。結果2時間以上やってくれたようで、時計を見たら19時半。ただまさかスタイリストちゃんもいないとは思っておらず、言っても二人で先に飲んでいてくれるだろうと思っていた、と。私が「スタイリストちゃんも勘違いで今来た(笑)」と送るとすっ飛んできてくれた。だから汗なのかオイルなのか、顔が超テッカテカ状態だったのです。

そんな答え合わせで大笑いしながら、乾杯。お料理は想像以上にめちゃくちゃ美味しく、お互い大仕事が終わった解放感でゆっくりたっぷり飲みました。祭りのあと、の祭り、だな。最高の時間をありがとう。充電完了。また、進みます。

【本日の乾杯】“祭りのあと、の祭り”の一品目がこれ。生ガキにキュウリのソース。初めての組み合わせ。あまりの美味しさに3人カウンターでのけぞりました(笑)1ℓ瓶という、これまた初めてのワインをガブガブ。ああ、沁みる。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:あぁ、だから一人はいやなんだ。
いとうあさこ

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