34歳以下の「若年性乳がん」ってどんな病気?  どんな人が注意すべきなの?

20代、30代の若い世代の乳がんのことをテレビや雑誌などで耳にすることが増えました。「若年性乳がん」とは、34歳以下の乳がんのこと。今、乳がんは、日本女性でかかる人が最も多いがんで、罹患者数、死亡者数も増加し続けています。けれども若年性乳がんは、40代、50代の乳がんと比べて決して多くはないのです。とはいえ若年性乳がんはよく知られておらず、不安に思う人が多いのも事実。「どんな人がかかりやすく、何に注意すべき?」について、自身も乳がんを経験した女性医療ジャーナリストの増田美加がまとめました。

20代、30代の若年性乳がん、実は多くないのです

乳がんは圧倒的に40代〜50代の患者さんがかかる率(罹患率)が最も多く、推定では2016年の発表だと日本女性は8人にひとりと言われています。これは欧米女性とほぼ同じ割合で、年々増加しています。これにくらべて34歳以下の若年性乳がんは、1割にも満たない数です。(国立がん研究センターがん対策情報センター 年齢別乳がん罹患率の推移より)

ですから、20代、30代で若年性乳がんにかかるリスクは決して高くありません。必要以上に心配する必要はないのです。

では、どのような人が注意すべきでしょうか?

気になるのは、遺伝性乳がん、卵巣がん症候群とのかかわりです。若い年齢で乳がんを発症した場合、遺伝性の可能性があります。
34歳以下の若年性乳がんを特に気をつけたい人は、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいらっしゃる場合です。

若年性乳がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」とかかわっていると言われています。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが告白したことでも有名ですね。
ただし、遺伝性の乳がんは、乳がん、卵巣がんにかかった方、全体の約1割以下。これもそんなに多い数字ではありません。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)については、「日本HBOCコンソーシアム」http://hboc.jp を参考にしてください。

けれども、血縁(母、姉妹、祖母、叔母、いとこ)に乳がん、卵巣がんの方がいらして心配な場合は、20代30代でも一度、乳腺科専門医を受診して相談されるといいと思います。

若年性の乳がんでない場合は、乳がんも卵巣がんも、遺伝性でないがんのほうが多いことは、忘れないでください。ですから、血縁に乳がんや卵巣がんの人がいないからと言って、乳がんになりにくい、ということではありません。

若年性乳がんの詳しい情報はこちらから…

若年性乳がんについての詳しい情報は、「厚生労働省 若年乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラム」 http://www.jakunen.com が参考になります。
治療についてや、QOL(クオリティーオブライフ)や患者さんの情報が少しずつ構築されています。若年性乳がんの患者会ともリンクされています。

20代、30代は、自治体などの乳がん検診はありませんので、もしも20代、30代でも、乳房にしこりなどの症状があれば、乳腺専門医がいる乳腺科、乳腺外科、外科(乳腺専門)を受診することが大切です。多くの産婦人科は、乳腺は専門ではありませんので、間違えないようにしてください。
症状がある場合は、検診ではなく、受診(診療)で健康保険が使えます。

乳房に特に気になる症状がなくて、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいらっしゃらなければ、必要以上に心配しなくて大丈夫です。34歳以下で乳がんにかかる方は、乳がん全体の1割にも満たないのですから。

文/増田美加


増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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