子宮と命を守るため、20代30代女性はHPVワクチンを接種するメリットがある!

日本で子宮頸がんが増加しています。特に、20代~30代で子宮頸がんにかかる人が増えていて、40代まで多くなっています。今、20代~30代がもっとも気をつけなければいけないがんは、子宮頸がんです。
罹患率だけでなく、死亡率も20代~40代までが増加しています。20代30代の子宮頸がんの予防のために有効なのは、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)です。子宮頸がん検診とHPVワクチン接種を組み合わせることで、子宮頸がんは99%予防できるがんなのです。

子宮頸がんにかかる人、亡くなる人が増えているのは日本だけ

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世界では今や子宮頸がんは、亡くなる率も、罹患する率も下がりつつあります。いまだに子宮頸がんの死亡率も罹患率も、両方が増加しているのは、先進国で日本だけ、です。

日本では1万人もの女性が毎年新たに子宮頸がんにかかり、また、子宮頸がんで亡くなる日本女性は毎年約2,700人もいるのです*。

子宮頸がん検診で、子宮頸がんを早期発見できれば、治療で命は助かるかもしれません。でも、これから出産する女性たちが治療で子宮を失ってしまったり、流産率が高まったり不妊に悩んだりする可能性もあるのです。

  • *「国立がん研究センター地域がん登録全国推計値2013年(上皮内がんを除く)」データより。

海外では検診+ワクチンで頸がんが減少しています

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子宮頸がん予防のために有効なのは、子宮頸がん検診と子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)です。子宮頸がん検診を行うことはとても重要ですが、検診だけで子宮頸がんの予防はできません。
 
子宮頸がん検診とHPVワクチン接種を組み合わせることで、子宮頸がんは99%予防できるがんになりました。
子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)を地球上からなくすことも可能になってきています。

しかし今、残念なことにHPVワクチン接種は日本だけが進んでいません。海外ではHPVワクチンの接種率は6割~9割にものぼっています。日本の接種率はわずか1%以下です*。
海外では、検診とワクチン接種を組み合わせることで、頸がんの死亡率も、罹患率も減ってきています。このままでは、HPVが日本だけに蔓延する状況になりかねないのです。

  • *「Countries Including HPV Vaccine in their National Immunization Programs (NIPs): Year Introduced, Target Age Groups, Delivery Method, and Coverage, 2006-2015a」より

HPVワクチン接種が進んでいない理由は・・・

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ではなぜ、日本で子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の接種が進まないのでしょうか?
HPVワクチンは、世界に遅れてやっと日本でも認可され、2013年4月、小6年~高1年の女子に無料の集団接種が開始になりました。
ところが、ワクチン接種後の全身の疼痛や運動障害(有害事象)が大きく報じられ、その調査のため、厚生労働省は、HPVワクチンの積極的な接種推奨を一時停止してしまったのです。

今もこの状態が続いています。
HPVワクチン接種後に報じられた重い有害事象は、数十万から数百万回に1回というかなり稀な確率でした。そして、重い症状の多くはすでに回復しています。

さらに後日、調査、研究を進めたところ、これらの有害事象はワクチンの中身や接種と無関係に、中高生の年齢では一定頻度で自然発生することが明らかになりました*。ですが、厚労省はいまだ積極的な接種推奨を再開していません。

  • *「第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会資料」より

20代30代でもHPVワクチンは有効です

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「すでにセックスを経験している人が、ワクチンを打って意味があるの?」と疑問に思う人もいると思います。
性交渉を行なう前、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染する前の中高生の子どもたちに接種することは大事です。でも、仮にHPVに感染している20代、30代でもワクチンは接種するメリットがあります。

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、全部で100種類以上あり、がんになるのは約15種類。そのうち、16型と18型は、20代、30代が感染するHPVの約70%を占めています。
HPVワクチンは、この16型、18型の2タイプを予防可能です。20代~30代では16型、18型両方に感染している人はほとんどいません。
仮に、どちらかに感染していても、もう一方の感染は防げます。そして、多くのHPV感染は、免疫力で自然消滅するので、ワクチンは再感染を防げるのです。
 
しかし、ほかのHPVタイプの頸がんは防げないので、検診も併せることが予防のために重要になります。HPVワクチンは婦人科などで接種可能です(下記参照)。

HPVワクチンの接種の相談を受けているクリニック

HPVワクチンの公費助成は、小6~高1が対象でした。大人の女性に対する公費助成は最初から行われていません。そのため、ワクチン接種は自費になります。おもに、婦人科クリニックで希望すれば、今も相談や接種が可能です。

HPVワクチンは、6ヵ月間に3回の接種が必要。自費で接種する費用は、3回合計で約4万5千円から5万円くらいが一般的です。
全国でHPVワクチンの接種の相談にのってくれるクリニックリストは、こちらのサイトから探せます。

「NPO法人女性医療ネットワーク」 cnet.gr.jp/

国際女性デーに専門家が厚労省に声明と要望書を提出!

国際女性デーにあたる2019年3月8日に、医学・科学の専門家、ジャーナリスト、法律家等からなる「守れる命を守る会」が厚生労働省に、声明と要望書を提出しました。
これまで、ほかにも日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本小児科学会、医会ほか多数の専門家が同様の声明や要望書を出しています。
 
子宮頸がん予防(HPV)ワクチン接種の積極的勧奨再開に関する声明と要望書です。

「守れる命を守る会」では「国がHPVワクチン接種勧奨の一時差し控えを現在も継続しているため、国民は「国がHPVワクチンの安全性に関して自信を持てないでいる」と誤解を募らせています。接種勧奨の一次差し控えをこれ以上継続する合理的な理由は見当たりません。HPVワクチン接種の積極的勧奨再開を強く要望し、厚生労働省の速やかな対応をお願いします」と記者会見を開きました。

世界が子宮頸がん撲滅へと動いているなか、世界中で私たち日本女性だけが、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染のリスクを抱え、子宮頸がんにかかり命や子宮を失うかもしれないデメリットにさらされているのです。

文/増田美加


増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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