GINGERエディターの「今、これが気になる」アイテム。今回は、メゾン マルジェラ フレグランスの新作をご紹介。
夏をもっと好きになるための、心の余白をつくる香り

季節が夏へと向かう頃、空気の密度が変わり、光は少しずつ強さを増し、肌に触れる風の温度さえ、どこか前向きな気配を帯びていくもの。そんな季節の変わり目に、香りを新しくすることは、単なるフレグランス選びではなく、‟自分の気分をチューニングするための静かな儀式”に近い。香りは、目に見えないけれど、その日の気分や姿勢をそっと変えてくれる。特に夏は、軽やかさや解放感を求める季節だから、香りを衣替えすることは、ポジティブなスイッチを押すような行為といえる。
レプリカ オードトワレは香りを‟装飾”ではなく、「記憶を呼び起こすメディア」として扱ってきた。香りを纏う人のなかにある、‟あの瞬間の空気”や“あの場所の温度”を再生すること。それがマルジェラのフレグランスが持つ哲学のひとつ。
今年の夏、マルジェラが選んだ記憶は──南国の楽園が夕陽に染まる、あの一瞬の幸福。新作「Chasing Sunsets」は、ブラジル、イパネマビーチで日が沈む直前、世界がゆっくりと金色に染まり、時間が少しだけ緩むような‟あの瞬間”を閉じ込めた香り。
トップノートでは、マンゴーやグアテマラ カルダモン ハートのフレッシュさが弾ける。肌にのせた瞬間、海辺の風が胸いっぱいに広がるような、軽やかで前向きな空気がふわりと立ち上がる。まるで、旅先で迎える夕暮れの始まりのように。
やがて香りは、チューベローズ アコードへと変わり、南国のリゾートで感じる‟ゆるやかな幸福感”を描き出す。日中の熱気が少しずつ冷まされ、肌に残る太陽の温度と、海の湿度が混ざり合うような、あの心地よい緩さが香りのなかに息づいている。
そしてラストは、ニューカレドニアのサンダルウッドそしてバニラの穏やかな余韻が、夕陽が沈んだ後の静かな時間を思わせる。空が徐々に群青色へと変わり、一日の終わりを受け入れるような安堵が、そっと肌に寄り添う。
Chasing Sunsetsは、‟夏の夕暮れ”という一枚の風景を、トップからラストまでの香りの移ろいで描く、なんともマルジェラらしい‟記憶の再生装置”的な香り。
夏の始まりにこの香りを選ぶことは、「今年の夏を、もっと好きになるための準備」のようなもの。軽やかで、前向きで、どこか旅に出たくなるような気分をくれる、そんな夏の相棒になる一本を手に入れて。
メゾン マルジェラ フレグランス
03-6911-8413

