スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
自分で考え、判断を下すために

突風のような慌ただしい衆議院選挙が終わって、さて日本にはどんな未来が待ち受けているのでしょうか? あなたは今回の選挙に1票を投じましたか?
解散からわずか16日間という異例中の異例な選挙、もちろん戦後最短です。ほとんどの党が異党同音に消費税減税や廃止・社会保険料見直しを謳っていたけれども、政策を練る時間がなかったせいか、じゃどうやってその分の財源を確保するのかといった具体的な内容(一番知りたいところ!)や各党の政策の明確な差や主張がいまひとつ伝わってこなかったなぁという印象でした。いったい何に対して票を投じたらいいんだろうかと迷った方も多かったのではないでしょうか。
加えてAIの進化に伴うフェイクニュースが数多く出回ったり、SNSでの真偽の定かでない情報の洪水。真実を見極めることに意識をおかないとならない難しい時代に入ってきた、時代の潮目みたいなものも見えた機会だったように思います。
信じられる情報ソースやきちんとしたオピニオンがあったら、判断材料になるのにな。そう思ったときにふと、久米宏さんが生きていたら今回の選挙についてどんな見解を語ってくれたのかなと思いました。
先日ご逝去されたニュースキャスターの久米宏さん。「中学生にも分かるニュース番組」を、というのが久米さんの信条だったと聞きます。誰にでも理解しやすい噛み砕いた解説、それは徹底的に久米さんが伝えるニュースを調べ尽くし、それを表現するにふさわしい言葉を選び尽くしていたから成立していた。十二分に咀嚼したものを伝えてくれていたからこそ誰にでも飲み込めるニュースになった。
ときに辛辣な意見を軽妙な語り口調でズバリと語る久米さんのニュース解説はいつも筋が通っていてスカッとしていてためになった。決して自分と同じ意見ではないときでも、とても勉強になったし納得ができた。日々社会で起こる物事(真実)を深く考える手助けをしてくださっていたように思う。
中学生にでも分かるやさしい表現であるにも関わらず、広く共感力を持つその言葉たちは久米さんの情熱と覚悟から生まれていたのだと思う。そしてそこに説得力を持たせたのは徹底的な情報収集。その両方があったから真の言葉が紡げた。政治に関してもフェアな観点から権力に迎合することなく伝えてくれる様は、私たちの代弁者として頼りになる存在だったと思う。

今回の選挙での有権者ファーストではない政治のあり方(準備期間が短かったために十分な論点がない=私たちが選ぶ基準を持てない、在外投票となる海外有権者は投票期間が短すぎて投票することができないひとが多発した問題、真冬に当たってしまい雪深い地域では掲示場設置箇所が大幅に縮小されてしまったり、街頭演説が思うように出来ない、同じく雪のために投票に行くのが困難などなど)は多いにツッコミどころがあったように思う。混沌としたこの時代を真摯な姿勢で伝えてくれる久米さんのような報道のヒーロー登場を待望したいところだけれど、身を切ってそれをしてくれるひとはかなり稀有だろうからなかなかすぐには現れないだろうなぁ。となると、正しい判断を下すためには(選挙だけではなく、これから起きるであろう様々な問題に対して)私たち自身が常に能動的に情報収集をしたり社会の動きに敏感である必要があるのではないかと思います。
積極的に社会に関心を持つ、そんなひとがちゃんと増えて「これっておかしいよね」とか「こうしていくと解決するんじゃない?」なんて議論がなされる世の中になったらしめたもの、多くのひとがそんな意識を持つようになって良い方向に向かう芽が育ってくれたら嬉しいですよね。誰だって、明るい未来を生きていきたいですもんね! これからは自力本願が、よりよく生きるキーになってきます。この選挙を機に社会全体に目を向けること、ルーティンにしてみませんか?

