スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
「感謝する気持ち」がもたらす幸福感

先日テレビのスポーツニュースを観ていたら、バスケットボールB2鹿児島レブナイズに新加入した選手について報道をしていました。その選手の名前は井上大道、高校途中からアメリカにバスケットボール留学、今季は特別指定選手(将来を嘱望される若手が実践経験を積めるチャンス)として鹿児島でシーズン終了まで所属する予定とのこと。この選手、なんとなんと世界的に著名なバスケットボール漫画『スラムダンク』の作者である井上雄彦氏のご長男!というからびっくり。息子さん、バスケの道を歩んでいたのね!と感銘を覚えました。
今後の目標を聞かれると「まずは試合出場。父親の名前にも、漫画のキャラクターにも負けられない」と抱負を語っていました。そのインタビューで父親の雄彦氏から何かアドバイスは受けましたか?との問いには「“不安があったら感謝をしろ。不安を感じるときは何かに感謝していないからだ”と言われました」と回答。おお、これは名言! 『スラムダンク』作中でも心に響く言葉をあまた伝えてくれた井上雄彦先生(←尊敬の念からつい先生呼びになってしまう、笑)ならではの息子さんへの愛あるエールと生き抜く術の伝授だなと思いました。
確かに不安があって気持ちが落ち込んでいたり、やさぐれているときには感謝の気持ちが起きにくい。感謝がないと周りからも乖離して孤立するし、孤立するとますます不安が高まるし、負のループに巻き込まれていってしまいがち。そんなとき「不安に思うときは何かに感謝していないのだ」という言葉を思い出せれば窮地に立っても「じゃ、いま自分は何に感謝していないのだろう?」と感謝すべきことを探す心持ちになります。この時点で不安だけを見つめている自分から一歩離れることが出来ます。感謝すべき大切なことに気が付ければ、「ああ、自分はいま不安でしょうがないけれど感謝できるものは持っている」と、心に余裕が生まれるのではないでしょうか。

感謝とは自然や人や何かから恩恵や厚意を受けたことに対して有難いと思う心。探そうと思えばたくさん湧き上がってきますよね、感謝したいこと。「あ、天気が良い。気持ち良く過ごせるな有難い」「よく眠れてスッキリした、有難い」「今日も元気だ、有難い」といったいつもは気にかけていないことに対する有り難さも感謝を探すと見えてきます。あと不安に思ったり嫌なことがあったとき「これは自分が足りていなかったり、改善することをわからせるために神様が与えたもう試練? ならば有難い!」と思えたら窮地からは脱することが出来ます。感謝することはネガティブからポジティブに思考を変換するきっかけになってくれます。
感謝の気持ち、これって本当に大切であり大きな力を生む原動力になるよな…。この井上雄彦先生の「不安があったら感謝をしろ」(=感謝をすれば不安を克服できる)という言葉は、あらためて「感謝するということ」に意識を向ける好機になりました。
「感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく」これは松下幸之氏の言葉。「感謝することは見返りを求めるものではない」「理想は、生きていることに感謝する、生かされていることに感謝することなんだ。そのような人間性を身につけて欲しい。そうすると必ずいいことが起こるよ」これはいずれも稲盛和夫氏の言葉。識者の「感謝すること」に対する考え方や捉え方、これらの言葉を紐解いてみてはいかがでしょうか? より良く人生を歩んでいけるヒントや教えがたくさん詰まっています!