スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
ニワトリが先かタマゴが先か考える、それが魅力のもとになる!?

「ニワトリが先かタマゴが先か」これは2000年以上前から存在している有名な問いですが、このことについて深く考えたことはありますか?
鶏がいないと卵は生まれない。だから鶏が先に存在したという意見と、卵が先にないと鶏に成長しない、だから卵が先に存在したという意見。どちらももっともに思えます。鶏の立場だったら「私が先にいないと卵産めないんだから私が先よ」と主張するでしょうし、卵の立場だったら「私が成長して鶏になるんだから私が先よ」と異議を唱えそうです。禅問答みたいですが、答えはループになってしまいます。
実際この論争はいろいろな解釈をされています。科学的には「鶏が先」、生理学的には「どっちか論争中」、数学的には「卵が先」、キリスト教やヒンドゥー教では「鶏が先」なのだそう。このニワトリタマゴどっちが先問題は各界で大真面目に研究されていたり論じられているのです。どの観点から見るかで答えが違うというのが面白いですよね。でも本当の答えは出ない。なぜならいま私たちが確認できる鶏と卵の関係は、完全に循環しているのですから(簡単にはどっちが先って言えない)。
この問いは答えが重要なのではなく、それぞれの結論に至るまでのプロセスや仮説について考えることこそが大事なんじゃないのかな、と私は思います。なぜこのようなことをふと思ったかといいますと、最近世界情勢があまりにも混沌としているから。
たとえば今なお続く戦争。それぞれがそれぞれの立場を主張する様は「我こそはタマゴを産む偉大なニワトリじゃ!」「いやいや何を言うか、ニワトリがこの世いるのはタマゴがいたからこそだ!」なんていうのとまったく同じだなと感じられます。この論点では何の解決も導き出すことはできません。本当は平和的に相手の立場をちゃんと考えて、逆の視点を持ってくれると良いのになぁなんて思ってしまいます。ま、そんな平和な思想を持っている国家代表ばかりだったら泥沼化することなんてないでしょうし、どの国も思惑があるでしょうし、国家レベルの諍いは一個人の願いでは動かすことは出来ません。こと戦争に関しては1日も早い平和的解決を望むしか術がありません。

でも戦争に限らずいろいろな問題に対して、その原因や要因、その現状について考えたり思いを巡らせることは一個人でも出来ます。誰がこの戦争を始めたのか? その目的は? 協力する国の目的は? どことどこが結びつくと、起こるケミストリーは何? 関税が上がることで世界経済はどうなる? 円高を誘発した要因は? 円安になるメリット、デメリットは? ――などなど、今は考えたり知っておくべきことがたくさんあります。どれも対岸の火事どころか、みんなの明日の生活に関わってきそうなことばかりです(物価が急にあがっちゃうかもしれないし、今は何事も変化が電光石火です)!
ここに「ニワトリタマゴどっちが先」方式を持ち込むと両方の側面から実情が見えてきて深く物事の核心に近づくことができます(「風が吹けば桶屋が儲かる」、原因があって結果が起こるという諺もちょっと近いですね)。目の前で起こっているすべての事柄はニワトリタマゴと同じで、全て違う立場や事象が密接に繋がっていて、引き起こされる動きの連鎖で出来上がっています。その連鎖を辿っていくと自分なりの真実や考えが見つけられます。すると先の予測も立てられるようになって、自分の人生を力強くサバイブしていく方法なんかも見つけられちゃたりします。
「ニワトリタマゴどっちが先=要因と結果、その連鎖で起こることについて熟考する」ことは、何も世界情勢だけでなく、身のまわりに起こっている問題解決にも役立ちます。何か疑問や興味が湧いた事柄に出合ったら、これはニワトリなのか?タマゴなのか?どこが出発点なのかを当てはめて考えてみると、表面だけで見ていた事実より面白い真実に出合える確率が高まって、自分の意見がしっかり持てるようになります。そしてそれはあなたの見えざる魅力となって放たれていきます。ニワトリとタマゴどっちが先的発想を持つこと、おすすめしたいと思います。